2020年3月17日(火)-1

 無事に娘が昨日卒園を迎えたので、今日から終業式までは息子一人で園バスに乗る。


「○子ちゃん、○市君をバスまで送っていくけど、一緒にくる?」

「行くー!」


 ということで、なんだかんだいつも通り7時に起きた娘は、園服を着込み鞄を背負った息子について幼稚園バスが停まるところまで一緒にやってきた。

 そしていつも通りの時刻にバスが到着。バス担当の先生が「○市君おはよう! ○子ちゃんもおはよう~!」と爽やかに挨拶してきた。


「あ、登園は○市君だけで大丈夫ですか?」

「はい。娘は見送りです」

「○子ちゃんもアプリから預かり保育を申し込んでいただければ、31日までお預かりできますので! よろしければご活用ください」


 と、にこにこ薦めてくる先生。卒園とはいったい、と思わず笑ってしまった。

 初老の運転手さんもにこにこと娘に手を振ってからバスを発車させ、息子は一緒に乗らない姉のことを不思議そうに見つめつつ、手を振る私たちにバスの中から手をふりふりしてくれた。


「さぁて、原稿の〆切がやばやばで全然お掃除できていなかったから、洗濯物を干したら家の掃除! そのあと○子ちゃんにもママと一緒にお仕事をしてもらいます!」

「お仕事~?」

「イエース。君ならもうできると信じているからよろしくね」


 ということで家に戻って大急ぎで洗濯物と掃除を終わらせ、わたしはクローゼットの奥にしまっていた一式をどんっと居間のこたつテーブルに広げた。


「さぁ、今からこいつらにお名前シールを貼りますよ!」


 袋から出したそれは、一日入学で購入して二人で死にそうな顔をして家まで運んだ学用品一式! 特に大切なのは算数セット!


「おはじきと数え棒はさすがに小さいからわたしがやるか……。じゃあ○子ちゃんはまずこの時計に大きなシールを貼ってください!」

「わぁ、時計だぁ~!」


 算数セットの中央にどーんと入っている時計のダイヤルを勝手に動かしまくり、シールそっちのけで遊ぶ娘のかたわらで、わたしは小さなおはじきを全部取り出し、いざ、とシールを貼っていく。

 ……めっちゃ小さいしめっちゃズレるし数が地味に多いんですけどー!


「○子ちゃん、そろそろ遊ぶのおしまい。シール貼って。時計が終わったら今度はこの麻雀の牌が連なったみたいな紙の裏に貼っていくからね」

「はーい」


 遊びの延長という感じで取り組んでくれる娘に感謝しつつ、その後一時間ほど一心不乱にシールを貼り続ける。

 計算カードは二人で貼ったけれど、カード同士が貼りついていることが多く、それをいちいち剥がしていくのが結構面倒。

 というか娘、カード同士を剥がしていなかったから、娘がやったぶんはもれなく見直しと追加のシール貼りが必要で、地味につらい作業になってしまった。

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