2020年1月25日(土)

 引き籠もりの土曜日の昼。買ってきたファストフードを食べているとき、出張に出ていた夫から「夜の7時くらいには帰れるよ」とのメールが入っていた。


(やったー! これで一週間に及ぶワンオペ生活からおさらばよ!)


 明日の日曜は夫もいてくれる! 昼は外食できるぞ! ご飯作りたくないと思っても幼児二人連れでご飯食べに行くほど元気なかったから、せいぜいマックかコンビニ飯が限界だった!


「あ、というか今日ももう疲れているから晩ご飯のおかずをなんか買ってきて」

『お、おう、わかった』


 即返事をくれる夫である。

 というか、月曜から土曜の今日まで一週間、食べるものと言えばホテルの朝食とコンビニ弁当と近くの飲食店しかなかったであろう夫に、コンビニ飯買ってこいと言うわたしもそれなりに神経が図太いと思う。


 だが夫が出張で疲れていようと、こっちもワンオペ育児で疲れ果てている。これはまぎれもない事実である。


(そう、いくら未就園児の頃に比べて手がかからなくなったとは言え、やっぱり一人で子供見ているのは疲れるのじゃい!)


 買ってきたマックのハッピーセットがやれ自分の思ったものじゃなかった、やれ姉弟が使っているほうがおもしろそうだ、なんて理由で取り合いの末、ぎゃあぎゃあ喧嘩されて「ママー!?」といちいち呼ばれる日常であるなら、なおさらである。


 ということでおかず購入を依頼したわけだが、山梨から首都高も含め、2tトラックで高速道路を4時間も運転し、会社に報告書を出し、同僚を家まで送っていき、さらにスーパーによって値引きのおかずを買ってくるとは。できる夫である。


 そんな夫が満を持して帰宅した。

 わたしは飼い主が帰ってきた犬のごとく玄関に迎えに行き「おかえりなさ~い」と可愛い妻よろしく声をかけたが。


「――くっっっさい! ちょっ、めっちゃ臭いんだけど!?」


 と、歓迎ムードが吹っ飛ぶようなせりふを叫んでしまう。だって夫がめちゃくちゃ臭いんだもん。


「あ、ごめん、トラックに同乗していたのがたばこ吸うやつだから」

「たばこ臭いのもかなりすごいけど、汗とか体臭とかいろいろなものが交ざりあっていろいろ大変になってるから! お風呂! お風呂に直帰せよ!!」


 そうしてお風呂に直行ならぬ直帰させられた夫は、湯船で身体を伸ばしたいであろうにも関わらず、妻により「ついでに洗っておいて」と息子と娘をぽいぽいっと追加されてしまう。

 すごく気の毒なのだが、夫は笑顔で子供たちを洗ってやり、特に気分を害した様子もなく「子供たち上がるからタオルちょうだい~」と妻に伝えてくる。


 夫のこういうところは心から尊敬できる。

 大変できた夫を持てて、たとえワンオペで疲れていようとも、基本的に幸せな妻であり母であるわたしなのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る