2020年1月9日(木)-1
「ちょっと待てよ。息子の幼稚園お鞄に遊び着が二枚入っちゃってるぞ~」
スモックと呼ばれる、幼稚園児が着る、だぼっとしたあれ。毎日持たせているけど、わりと高頻度で砂やら泥水やら絵の具やら給食の汁的なものをくっつけてきている。
今日の給食はカレーだったな。間違いない。だって鞄を開けた瞬間にめちゃくちゃ匂ってきたもん、スパイスの香り。
引っぱり出して広げてみれば案の定よ。水色のスモックの胸元にべ~ったりと、黄色いシミがこびりついてら。
それだけならまだしも、同じように黄色いシミがべた~っとついている遊び着がもう一着。
(クラスの友達のを間違って入れてきちゃったか)
この手の持ち物の間違えがわりと多いのよね、幼稚園児……それこそ年少で入園仕立ての4月は、なんなら鞄ごと取り違えが発生するほど。
とはいえ……
「年少も三学期になって、カレーをべったりつけてくる子はうちくらいかなと悩んでいたけど、お友達もこれだけつけているとわかると、ちょっと安心するな」
カレーまみれのよそ様のスモックを見てしみじみそう思うなど。
とにかくこのままじゃ返すにも返せない。こんなときこそウ○マロ石けん。
水洗いしたスモックの汚れ部分に、固形のこいつをおりゃあああっと擦りつけ揉み洗い。
そして洗濯機に放り込むと、あ~ら不思議、洗い上がる頃にはカレーのシミはきれいに落ちているのです!
「これでよし、と。四時過ぎたくらいに幼稚園に一応連絡入れておくか」
現在年長さんの娘が入園する年に、子供たちが通う幼稚園は認定こども園となった。そのため通う園児の半数は保育認定。一番早い預け時間は7時、一番遅いお迎え時間は19時となっている。
我が家もわたしの原稿の状況によっては預かり保育を使うが、教育認定のため、預かりは早くても8時、迎えは18時だ。
「なんにせよ早朝から遅い時間まで、先生方はお疲れ様だよ」
ローテーションで回しているだろうが、担任の先生の保育時間は中でも長いほうだろうと思う。
四時ぐらいになると降園する子がぐっと多くなるので、四時半頃に園に電話をかけた。
『もしもし、お電話変わりました。すみません、担任のU先生が手が離せないので、わたしがうかがいます』
電話に出たのは息子のクラスの副担任、R先生だった。
久々のR先生の声を聞くと、ふと息子が入園して少し経ったときのことが頭によぎる。
「お世話になります。あの、お友達の遊び着を間違って持って帰ってしまって、汚れていたので今洗濯を――」
そう報告しながら、わたしはぼんやり、去年の6月のことを思い出していた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます