2019年6月18日(火)-1
「うげ、幼稚園から電話だ。息子と娘、どっちがなにをやらかした?」
スマホ画面に表示される幼稚園の名にビビりながら、声だけにこやかに出てみる。
「もしもし、佐倉です」
『お世話になっております。○市君のクラスの副担任のRです』
「どうも~」
(息子のほうのクラスか。入園二ヶ月にしてなにやらかしたんだ?)
悪い予感しかしないのう……
『実は○市君なのですが、今日みんながお教室にいるときに一人でお外に出てしまって、そのとき園庭の砂を食べちゃったようで……』
「すっ……!?」
(砂を食べたぁ!?)
なぜ砂! なぜ食べる! その場面を想像して思わず「ぶっ」と噴き出すわたしもどうよって話ではあるけれども。
『ほかのクラスの先生が教えてくれて、あわてて止めに入ったんですが、何度言ってもお口を開けてくれなくて。だから実際に飲み込んでしまったかわからないのですが……おうちではお腹を痛がったりとかは大丈夫ですか?』
「全然大丈夫です、今もすやすやと昼寝しておりまして」
ちなみにこのときの時刻は午後7時だったけどね。ははは。
『よかったです。それで、わたしもちょっときつめに「お砂は食べていいんですか? ○ですか、×ですか?」って叱って聞いてみたんですが、○市君は×じゃなくて○と手で表示してきまして――』
「ぶふっ」
(いや噴き出している場合じゃない。息子、反省してなさ過ぎるだろうよ)
『怒られるときはこう、うつむいて耳を塞いで「聞こえないよ~」ってジェスチャーをするばかりで、あまり響いていないような感じがして……。なのでご家庭で○市君がいけないことをしたときは、どういうふうに言い聞かせているのか、お伺いしたいと思いまして……』
(先生の声がめっちゃ弱ってるー)
うちの息子のせいで申し訳ない……と思いつつも、どう言い聞かせているかと言われましてもねぇ……。
「わたしが短気なもので、先生のように言い聞かせる感じはなく、悪さをしていたら即座に怒るという感じでして……」
としか返せないポンコツ母の悲しさよ。そんないちいち目を合わせて諭すみたいな面倒なこと、やってられないというのがまぎれもない本音なのだよ……。
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