第3話 生き返り
「ゆうちゃん、ご飯できたよ。そろそろ起きなさい」
炊きたてのご飯の匂いが心地よい。うっすら目を開けた。
(生きてるのか?)
「ほら、ゆうちゃん!」
大きな声にビックリし、布団から飛び起きる。体の隅々まで確認する。
(生きてる)
「ほーら、お食べ」
80代は超えていると思われる老婆が顔をしわくちゃにしてニカーッと笑う。歯は入れ歯だろうか、やけにきれいに揃っている。
目の前に炊きたてのご飯と味噌汁、理想的な朝食と言わんばかりの卵焼きに焼き鮭。目の前に運ばれてきた。
「よく寝てたね。さあ食べよう」
老婆はもりもりと食べ始めた。
しばらく状況が掴めずにいた。僕は確かに飛び降りた。確かに、最後に遺書など残せばよかったと後悔はあったことには間違いない。もしかして、生き返ったのか?それにしては無傷だ。
「どうしたんだい、狐につままれたような顔して」
がははと老婆は高笑いした。
「それ、よう似合う」
そう言われ、ハッとした。着ていた服が…よく見ると青のシャツに、エンジのチェクのズボン。
「何で!」
あまりの趣味の悪さに、僕は後ろに倒れ込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます