エスケープ

小学生になった。

人と馴染むことができない「迷惑な子」のレッテルは今もなお張り付いていた。人と同じことができない子。協調性のない子。きっと私は学校の先生にとても嫌われていたと思う。



だけど、子供とは面白いものでこんな私にも喋りかけてくる子がいた。




「ひずみちゃん、何してるのー?」

「....」

「みんな縄跳びの練習してるよ?今度大縄の大会があるって先生言ってたでしょ?ひずみちゃんも一緒にやろうよ」

「本、読みたいんだけど。」

「んーじゃあ、私も本読む!」

「...え?」

「だって、私も本読めば、ひずみちゃんひとりぼっちじゃなくなる!お揃いだね!」



「普通の子」なら、話しかけてくれることに喜びを感じるのかもしれない。子供は「おそろい」が大好きだ。



残念ながら私はそんなこと全く嬉しくない。

「おそろい」?そんなこと私は求めてない。

一人にして欲しかった。

ほうっておいて欲しかった。


私の隣にその子は腰掛けた。





私は、逃げた。


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