極寒の國
lex
1.
冬の一番寒い日が今日だ。風が轟々と吹き荒れている。都市部とは違ってここは何もないチンケな田舎町だ。俺はなぜ今日もここで生きているのだろう。みんなこの町から出て行った。みんな俺より学があったしなあ。東京の方が住みやすいんだろうよ。俺はこの町で一匹狼気取って生きるのが好きだ。この町にいれば誰も俺に威張ってくる奴がいないからな。そんな俺も今日を生きる稼ぎを得なくちゃならない。何で稼いでるかって?決まってんだろう。もちろん喧嘩だよ。路上で恐喝するだって?はっ違うね、そんなの効率悪すぎ。地下格闘場だよ、お兄さん。俺はdoubtダウトっていう地下格闘場ではある程度名前が知られてるファイターなんだ。怖がらなくていい。正規なルートで戦う格闘家と違って報酬はかなり高い。何より俺みたいなハグレモンが高額な金を稼ぐにはここしかない。一試合で稼げる額を他で稼ごうと思ったら一生地べたを這ってなきゃならない。美味い飯を喰うにはここが一番いい。そう思わないか?
極寒の國 lex @novelstudio
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