第40話 太陽系ヤンデレと愛の交流
「ま、まさか、ナ、ナナくん......。内臓か何か......売っちゃった、の?」
声が震える。
私の借金のためにナナくんが身体に傷を入れてしまって、あろうことか中身をお金と引き換えにしたかもしれない、なんて。
違っていてほしい、別の理由だって言ってほしい。
そんな私の儚い希望を打ち砕くように、ナナくんがゆっくり頷く。
「うそ............。なにしてるのよ!? なんで。なんで私のためにそんなことまでしちゃうの! 私のためにナナくんが傷つくなんて、そんなの私望んでなかった!」
ついつい怒っちゃった。約束したのに。
でもしょうがないよ。
ヤダよ......。
私のせいでナナくんに無茶させちゃった......。
でも、声を荒げて顔を近づけた私に対して、ナナくんが向けてくれてる表情は穏やかなままで。
「あはは。やっぱり怒るじゃん。ふふ、真霜さんなら絶対そうやって言うと思ってたから手紙だけ置いて行ったんだよね。でも真霜さんの誕生日までに間に合ってよかったよ。真霜さんのとこから勝手に居なくなったのは悪かったなって想ってるけど、ほんと僕がしたかったからやっちゃったんだ。僕がどうしても真霜さんを他の誰の手にも渡したくなかったんだ。ごめんね?」
「そ、そんなの......」
「僕なんかの頭と状況じゃあ、他に手がなくてさ......。それに腎臓なら2つあるし半分になっても問題ないって話だったから......。だから、僕は自分の身体で真霜さんを買った、って感じになっちゃうのかな?」
「............」
ナナくんがまた私の頭を優しく撫でる。
それだけでちょろい私は黙らされちゃうし、お腹の奥が疼いてしまう。
さっきまで怒ってたのに、それだけ私のことが欲しいなんて言われたら、気が削がれちゃう。
「もちろん、真霜さんを買った、なんて実際にはないからね。君はもう完全に自由なんだ。僕にしばられなきゃいけないなんてこともない。だけど......もしよかったらなんだけど」
ナナくんの表情がまた照れた恥ずかしそうなものに変わる。
今日のナナくんはいつも以上に表情豊かでかわいいなぁ。
それに、わざわざナナくんに言われなくったって。
「もしよかったらなんだけど、真霜さんのこれからの時間を僕にくれません「もちろんだよ!」」
食い気味にお返事しちゃった。
でも、そんなの当然だよね。
「私にはもうナナくんしかいないんだよ。そうじゃなくても何年もナナくんのことを想ってきたんだよ? そこにここまでされちゃったら、私の全部をナナくんにあげるしか無いじゃない!」
「そっか......。嬉しいな」
「私も......!」
ニコニコと微笑むナナくん。
やっぱりかわいい。
これからナナくんは永遠に私だけのもの。
腎臓を他の人に取られちゃったのは悔しくて涙がでちゃいそうだけど、ナナくんが私のためにしてくれたことだと思えば堪えられる。
これからは2週間も離れ離れになんてさせないよ。
一生傍でイチャイチャするんだからっ。
「ふあぁっ......」
私がこれからナナくんを独占する決意を固めている隣で、ナナくんは小さくあくびを漏らした。
「眠い......?」
「あー、うん。なんかここのところバタバタしてたからかなぁ。ちょっとだけ身体に疲れ残ってる気がする」
「それじゃあ、お布団に行こっか♡」
それから私達は寝室に移動して、ベッドに腰掛ける。
「ねぇ、ナナくん。ギュッてしながら寝てもいーい?」
寂しかった2週間を埋めるためにも、ナナくんに私の愛情で溺れてもらうためにも、密着して添い寝してもらいたい!
できるならこのまま交わってから寝たい!
けど、ナナくんの反応は想ったほど芳しくなくって......。
「あ、えと、うーん、それは......」
「もしかして、織女さんのところに居たときみたいに、くっついて眠ったら怖い思いするかもって心配してるの......?」
「い、いや、そんなことない、けど......」
ナナくんは否定してるけど、やっぱりまだ心のどこかで怖いのかもしれない。
私がナナくんを独占するとしても、あの子みたいに恐怖で縛り付けるのはだめ。
しっかりゆっくりじっくりと、私に溺れてもらわないとねっ!
「大丈夫。私は絶対にナナくんに痛めつけたり、恐い思いさせたりしないからね。だから私の胸の中で、ゆっくり眠っていいんだよ?」
私がそう言うと、ナナくんは無言のまま腰に手を回して抱きしめてくれた。
そしてそのまま2人同時にベッドに横になる。
彼の表情は、まだちょっと硬い気もするけど、随分穏やかに見える。
............安心、してくれてるのかな。
ナナくんの目線がちょっとだけ私の胸元に注がれてる。
ふふっ、私に性的な魅力を感じてくれてるんだねっ?
嬉しいな。
逃さないからね、ナナくん。
そのまま獣欲に溺れちゃってもいいんだよ?
「真霜さん......。僕は真霜さんのためなら、なんでも捧げられます。お金も仕事もまともに持ってない、真霜さんに何もあげられない甲斐性のない僕ですけど、僕の人生を真霜さんに預けさせてもらっても、いいですか?」
「もちろんだよ。それに、ナナくんに何にも無いなんてこと、ないよ。優しくて私のためにいっぱい頑張ってくれるし、愛情だって私だけにたくさん向けてくれるもん。それに、もしナナくんが私に何もくれなくても、全然いいの。私は、私を助けてくれたかっこいいナナくんに、私のすべてを受け取ってもらいたいだけなんだから」
「ありがとう、真霜さん。真霜さんの全部を、僕にください。僕も、僕の全部をかけて、真霜さんに尽くします」
さっき私が中断しちゃったからか、改めて言ってくれたプロポーズ。
私を真剣に見つめるナナくんをできるだけ温かい表情で見つめ返すようにして、ナナくんの耳元で優しくつぶやく。
「嬉しい............。ね、ナナくん。眠る前に、私と、1つになろ?」
それから私達は30分くらい、2人でお互いの舌を絡めたり、歯茎をなぞるような深い深いキスで愛情を確かめあった。
吐息の熱さに、私だけじゃなくてナナくんの気持ちも凄く昂っているのが分かる。
心做しか部屋の湿度が上がってきてる気もする。
そろそろいい頃合いなんじゃないかな?
「ナナくん。そろそろ、私をめちゃくちゃにして......?」
「ほんとにいいの?」
「うん、お願い。ナナくんにハジメテをもらってほしいの」
ゴクリ、ってナナくんの喉が鳴った。
下半身もしっかり膨らんでくれてる。
私に、興奮してくれてるんだ......。
嬉しい。
いよいよ私、卒業するんだ。
ハジメテはちょっと怖いけど、ナナくんは私の身体の虜になってもらって、私から逃れられないようになってもらわなくっちゃ。
ナナくんに見られたこともあるけど、自慢じゃないけど私はナナくんとの行為を妄想して自慰し続けてきた。
だから、いろんなパターンは想定済み。
年上の私がしっかりリードしてあげて、心も身体もばっちり籠絡してあげるよっ!
「来て......?」
*****
それから3時間。
私はナナくんにイかされ続けた。
..............................手とお口だけで。
「も......もう......ダメ............」
確かに「めちゃくちゃにして」ってお願いはしたけど!
こんなの酷いよ......。
リードするどころか、やられっぱなし......。
あまりの快感に脳が焼ききれるような感覚を受けて何度か気絶して、その度に続けて刻まれる快感に叩き起こされることを繰り返して。
この3時間の間、たぶん元カノの
「あ......ナ、ナナくん......。おトイレ......」
まずいよ、下半身に力が入らないっ。
このままじゃ......。
なでなで。
っ!?
このタイミングで頭を撫でられたらっ!??
って、なんでそんなに優しい笑顔なの!?
おトイレ連れて行ってよっ。
なんで何も言ってくれないの!?
............あ、もう、ダメだ。
じょろろろろ。
「あ......う......」
あぁ。力が入んなくっておしっこ漏らしちゃった......。
ほんとにもうヤダ......恥ずかしいよ。
年上の魅力でナナくんに気持ちよくなってもらって籠絡するどころか、無様で恥ずかしい姿ばっかり披露させられて。
それで私一人だけ快楽の海に沈められちゃってる。
ぐすっ。
「ま、真霜さん!? ごめん、やりすぎちゃった!?」
「うぅ......もう、やだ。私1人だけイキ続けて、何度も気を失って、それにおもらしまでして......。恥ずかしいよぉ。ぐすん」
ナナくんはまだおパンツを履いたままなのに、私はすっぽんぽんにされて、大事なところはぐっちゃぐちゃのトロットロ。
仰向けに寝かされて、力が入らないからお股も開きっぱなしで閉じられない無様な格好を晒すだけ。
ベッドは私が垂れ流した涙と涎とおしっことお汁でびちょびちょで気持ち悪い......。
「大丈夫、
いつの間にか呼び捨てになってるし......。
「ふふ、でもこれくらいほぐしておいたら、ハジメテでも痛くないかな」
あ、私のこと考えてしてくれてたの......?
嬉しいけど、絶対やりすぎだよ......。
もう感覚が鋭敏になりすぎてて、逆によくわからないよ。
「もう......いい、から............挿れて、よ......」
もう私はこれ以上どれだけ無様を晒しても一緒だから。
掠れた声でみっともなく懇願してみる。
いい加減ナナくんと1つになりたい。
それにナナくんにも気持ちよくなってほしいもん。
「行くよ?」
返事をするのも億劫な私は、ナナくんの言葉に僅かに頷いて返す。
そうして私の中に彼のものがゆっくりと侵入してきたのを感じた瞬間、お腹の奥から脊髄を伝うように電気が流れて、目の奥にスパークが走る。
そして......。
私は気を失った。
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