第14話 北風系ヤンデレと脱走発覚
からんからんからんっ。
父親から受け取って、これから
「........................え?」
離れたところにある実家から帰宅してすぐ目に入ったのは、もぬけの殻の2人の愛の巣。
開けられないはずだった鍵が無様に解錠されて、大事な中身のいなくなった部屋を、呆然と眺めるだけの
「な、なぁくん......?」
部屋の中にはゴツゴツとした手錠と首輪だけがベッドに繋がった状態で放置されていて、本来その先に繋がれているはずの愛しい彼の姿はどこにもない。
「なぁくん......? どこに隠れてるの〜? 彩咲、今はかくれんぼしたい気分じゃないんだけどぉ〜? 早く出てきて〜えっちしよぉよ〜?」
数時間前にこの部屋を出たときになぁくんとした約束。
帰ってきたら
どうやらそれが果たされないまま、彼はこの部屋から逃げ出してしまったらしい。
声をかけながら部屋中を探しても、どこにも彼の姿はない。
そういえば確か、彩咲が出ていくとき、なぁくんは珍しくなぜかちょっと反抗的な態度だった。
だけど......まさかこんな意地悪するなんて。
逃げたらお手々とあんよをもらうからね、とまで脅しておいたのに、性懲りもなく逃げた............?
どうして?
裸で過ごすのが嫌だったのかな? 学校をやめさせられるっていうのが嫌だったのかな? 気持ちよくなりたくなかったのかな?
もっと精神を壊しておけばよかった? なぁくんの言うことを聞かずにさっさとえっちして快楽で縛り付けておいたら良かった?
............まぁ今はそんなことどうだっていい。あとで聞き出すだけだ。
まずは裏切り者のなぁくんをさっさと捕まえなきゃ。
なぁくんのことだからあんまり放っておいたらすぐに女の子を虜にしちゃう。
なぁくんの服に仕込んでいたGPSの信号は............。
ん? ......変わらずこの部屋の中から反応してる。
見ると、GPS付きの服が脱ぎ散らかされているのが目に入る。
「ま、まさか......なぁくんGPSに気づいてた!?」
慌てて別の服にも仕掛けたGPSの反応も確認するも、どれもこの部屋にピンを立てたまま微動だにはしない。
「そんな......。ほとんどのお洋服にGPSを仕込んでたはずなのに......っ!?」
ついていないものを選んで持ち出したのだろうか......?
ていうか、お財布とか小物にもつけてたはずなのに、そのどれにも動きが見られない。
......何も持たずに出た?
というか、この枷もどうやって外したんだろう。鍵もなんで開けられた?
外部の協力者がいた?
いや、それはないはず。
なぁくんは彩咲との2人の生活に関しては誰も手を貸してもらえない1人ぼっちのはずだし、最近ではなぁくんの言葉を『間違って』信じてしまいそうな危険人物はいなかったはずだ。
だとしたら、なぁくん自身がそれなりの時間をかけて準備した?
以前逃げ出したときとは比べ物にならないくらい厳重な枷と鍵だったはずなのに......。
............許せないなぁ......。
なにより、なぁくんが、この程度で彩咲から逃げおおせられると思い込んでることが可愛くって憎らしい。
早く調教し直して、彩咲となぁくんの愛の深さを確かめ合わないと。
あ、捕まえたらその瞬間にこの、おつむが蕩けて何も考えられなくなるおクスリを注射してあげるから、理性を失ったなぁくんに蹂躙されて、身体に教え込まれちゃうのは彩咲の方かっ。
さて、お洋服につけたGPSはダメみたいだけど、彼の耳たぶに打ち込んだGPSにはさすがに気づいてないはず。
耳たぶを切り落としでもしない限りは取り外すことなんてできないはずだもんね。
本当はそっちを常時監視しておきたいところだけど、今回みたいに大事なときにバッテリーが消耗しちゃってたら困る。
だからあれはできるだけ電池が消耗しないように必要なときだけ衛星からの電波を受信して起動するようにしている。
......よしっ、起動!
ふんふん、うん、動いてるね。
どれどれ。へぇ......もうこんなに遠くまで行っちゃったのかぁ。
うふふふふ、おバカななぁくん。
身体に埋め込まれたコレにも気づかずにせっせと逃げちゃって。
必死なところも可愛いけどさ♫
どうやらなぁくんは今、ここから80kmくらい先あたりにいて、今も移動し続けてるみたい。
場所と速さ的に..................高速道路に乗ってる?
ヒッチハイクでもしてるのかな?
どれだけ遠くに逃げたって無駄だよ。
すぐに捕まえて、従順なペットにしてあげるからね♡
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