第4話 北風系ヤンデレと拷問までの時間
ゼリー(?)があまりにも異常すぎて、身体が勝手にえずいてしまい、
「ち、ちがっ......彩咲......ごめんなさい、ごめんなさい......許して......」
「出されたものもちゃんと食べ切れない悪い子には、お仕置きしなきゃっていつも言ってるよね。お仕置き部屋、行こうか」
彩咲は僕の前からゼリー入りの皿を取り上げる。
そして僕に繋がれた手足の鎖をベッドから解放し、首に繋がっている鎖を犬のリードのように引っ張る。
餌皿を取り上げられるのは、お仕置き確定のサインだ。
まったく欲しくないけど、お仕置きを避けるために、なんとしてでも取り返さないと......。
「た、食べます。食べるから。どうか、僕にそのゼリーを......どうか食べさせてください」
彩咲が寄越すお仕置きは、いつも僕の心を容赦なくへし折ってくる。
心の底からできるだけ回避したい。
そのためには一時の恥など恐れるに足らず。
僕はみっともなく、恥も外聞もなく地面に額をこすり付けて土下座しながら哀願する。
「そんなに食べたいんだ? うん、わかった、それじゃ食べていいよ♡」
そんな僕の請願が通じたのか、赤黒いゼリー入りの皿が僕の目の前に戻される。
「じゃあはい、ソレを口に入れて、飲み込まないでしっかり咀嚼しなさい? いい? 私が良いって言うまで飲み込んじゃダメだからね?」
「はい......いただきます............」
一度嫌がる素振りを見せてしまっただけに、こうして追加の条件が出されるのは仕方ない。
素直に命令に従って、めちゃくちゃ臭いそれを、僕は皿に直接口をつけて犬食いする。
幸いにして分量はそれほど多くない。
一口で全部済ませられるくらいだ。
口がいっぱいになって呼吸できないため、鼻で息を吸うと、血生臭さと、それとは別種の生臭い匂いが肺いっぱいに広がり、また胃の底から吐き気がこみ上げてくる。
だけどここで吐き出してしまったら、課せられるお仕置きがやばいものになってしまうのは明らか。
なので、ぎりぎりのところで吐き出さずになんとかこらえて、指示された通り咀嚼する。
素直に言うことを聞く僕の姿に満足したのか、さっきまでの昏い雰囲気が霧消し、ニコニコと微笑む彩咲。
せめて早く飲み込ませてくれ......。
そんな僕の願いをわかっているだろうに、恍惚とした笑みをたたえながら僕を見つめ続けるだけの彩咲。
その間も、やめることは許可されていないため、すでにドロドロになって食感など完全になくなってしまった口の中の液体をこれでもかというほど噛み続ける。
「......ごっくんしていいよ」
ごくんっ。
目一杯口の中でかき混ぜられたソレを飲み込むと、また胃からいろんなものが逆流してくるのを感じるが、全身いっぱいに力を込めて我慢する。
「はい、よくできました♡」
「あ、あはは............ご、ごちそうさまでした......」
「お粗末さまでした♡ ......それじゃあ、お仕置き部屋に行こっか」
「......え?」
......なんで?
「ちゃ、ちゃんと食べたよ? 出されたもの、残さず食べきったよ!? なんでまだお仕置きなの!?」
こんなに我慢して食べたのに、やられるの......?
イヤだ......いやだよ!
「いやいや、そんなの無理だからね。それとこれとは別。っていうか、彩咲のゼリーを食べたがったのはなぁくんでしょ?どうしても食べたいって言うから食べさせてあげただけだよ。そもそも嫌がった時点で彩咲に対する裏切りでしょ?その分はしっかり反省しなきゃだよね?」
「お、お願い......許して......」
「ダァメ♡」
こうして今日もまた、背中に新しい焼印を押された。
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