第4話

 オレはもえかが好きだ。

 きっともえかもオレの事好きだと思う…

 でも、先に進めない。

 

 別れたりしたら、もうもえかがうちに来な

 くなってしまう。

 別れ方にもよるだろうけど、二度と口も聞

 かない仲になる可能性だってあるんだ。

 そんな恐ろしい事…

 

 恐ろしすぎんだろ。

 

 だって産まれた時からずっと一緒なのに。

 それなのに…

 マジでありえない。

 

 

 そうだ。

 だから、ずっとこのままオレはもえかを見

 守り続けるんだ。

 

 

 そして夏休み。

 たもつが一緒に花火行こうって誘ってきた。

「なんでだよ。真樹ちゃんと二人で行けばい

 いじゃん?」

「だってー、二人だけじゃ恥ずかしいんだよ。

 だからお願い」

 たもつのお願いに仕方なくのってやった。

 そのかわり、勉強を教えてもらう約束をし

 た。


 そして当日。

 

「じゃーん‼︎」

 もえかが浴衣でオレの部屋に登場してきた。

「あ、もえか」

「なんだよ‼︎もっとびっくりしてよ‼︎私花火

 行かないと思ってたでしょ⁈」

「ううん。たもつも真樹ちゃんも来るんだか

 ら、もえかもいると思ってたよ」

「もー、つまんなーい。せっかくのドッキリ

 だったのにー」

 もえかが口を尖らせた。

 

 

 本当は、びっくりした。

 だって浴衣姿のもえかかわいすぎんだろ。

 でも、それは言わないどこ。

 

 

 なんだかんだでいつも側にいてくれるもえ

 か。

 

 

 

 でも、やっぱりモテるもえか。

 また告白されてんじゃん。

 でも、仕方ない。

 オレは、見守るんだ。

 

 

 今回も告白を断ったみたいだ。

 でもいつかもえかだって…

 そう。

 もえかは、別の男のところに行ってしまう

 のだろう。

 

 

 そんなの耐えられんのかな…オレ。

 

 

 オレも告白されたりする。

 でも、オレはもえかしかみえてない。

 幼い頃からずっともえか一筋。

 

 

 そんな様子を真樹ちゃんは、小学生の頃か

 らずっと見てきた。

 たもつもだ。

 二人は、いい加減オレに頭きてるみたいだ。

 じれったいやつめって。

 

 じれったいってなんだよ。

 

 オレは、もえかが大切なんだ。

 だから、そんな簡単に付き合うとか駄目な

 んだ…

 この関係を簡単に終わらせたくないんだ。

 

 

 もえかとは、相変わらずいい関係を保って

 いる。

 頭のいいたもつのおかげで少しもえかに勉

 強を教えられるようにもなった。

 そんなじれったい関係のまま、中学三年生

 になった。

 

 

 高校は、同じところに行く予定だったけど

 意外な事実が判明した。

 もえかは、なんと女子校に行くって言うじ

 ゃないか‼︎

「なんだって‼︎もえかー。聞いてないぞ‼︎」

 オレのものすごい剣幕にもえかは、笑いな

 がら、

「お父さんかよ‼︎」

 って突っ込んだ。

 

 …  …  …

 

「オレは、もえかの見守り隊なんだぞ」

 その言葉にもえかが、

「うん。でももうそういうのいいから」

 なんてあっさり答えるじゃないか!

 

 え…

 もえか…

 ついにオレから離れるのか…

 

 付き合ってもないのに離れるのか⁇

 どういう事だ?

 オレの頭の中は、真っ白になった。

 

 

「もえか…」

 オレは、告白もしないまま振られた⁈

 するともえかがおもむろに口を開いた。

 

「私、どこが足りなかった?ずっと一緒に居

 だけど不合格って事なんでしょ?」

 にっこりした後、ポロポロ涙を流すもえか。


 不合格って…

 

「なんで泣くんだよ。不合格じゃないよ?む

 しろ合格だけど、でもさ‼︎でも…」

 

 でも…

 でもなんだよ。

 別れたくないから付き合わないっていうの

 か?

 オレの今までってなんだったんだよ。

 ずっとこのままって…

 

 

 そのせいでもえかがずっと苦しんでいたの

 か…

 泣くほど我慢させていたのか…

 

 

「もえか。オレもえかの事ずっと好きだよ。

 でも、もし気持ちが離れたらさ幼馴染じゃ

 なくなっちゃうじゃん。そんなの辛すぎる

 んだ」

「だから私と付き合わなかったんだ。別れた

 後の事考えて」

「うん。だってオレもえかとずっといい関係

 でいたいんだ。」

「なら、別れなきゃいいじゃん‼︎」

「へ⁇」

 なんだって⁉︎

 

 

 

「もえか‼︎なんでそれ早く言わなかった⁉︎」

「えっ?」

「そうだよ!それだよ‼︎」

 決めた。

 うん。

 それが一番いい!

 ずっとずっと心の中にあったもの。

 

 

 見守りたいけど引っかかってたものがあっ

 た。

 ずっと見守るなんてオレには無理なんだ。

 

 

 

 

 

 

「もえか。結婚しよう」

 

「?付き合うじゃなくて結婚?」

「うん。嫌?」

「ううん。嬉しい」

 もえかがにっこり笑った。

 

 

 そして今までのごまかしのヘッドロックじ

 ゃなくて優しいハグをした。

 ずーっとヘッドロックでごまかしてきた。

 本当は、抱きしめたかったんだ…

 でも、やっともえかを包み込む事ができた。

 

 すぐには入籍できないけど、婚約成立。

 

 

 たもつと真樹ちゃんは、驚いていた。

 いきなり婚約だもんな。

 

 でも、祝福してくれた。

 

 

 高校は、もえかと別々になってしまったけ

 どオレの希望していた高校は、もえかの高

 校の坂の上にある。

 だから、途中まで一緒だ。

 

 

 やっぱり今年も一緒に登校。

 そして、母ちゃんたちも後ろからついてく

 る。

 

 今日は、晴天じゃない。

 雨だ…

 ガッカリ…

 なわけない‼︎

 むしろ最高だ‼︎

 

 

 傘のおかげで母ちゃんたちの視線がさえぎ

 られる。

 こっそり傘を傾けてもえかの耳元でささや

 いた。

 

「帰ったらいっぱいイチャイチャしようね」

 ってさ!

 

 

 赤くなるもえか。

 くぅ〜、かわい〜♡

 

 あー、早く帰りてぇなー。

 

 

 おしまい。

 

 

 

 

 

 

 

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