第3話
オレは、もえかをヘッドロックしながら歩
いた。
「お〜なんだよ。朝からそんなにくっついて。
見せつけてくれるじゃねーか」
後ろからたもつがやってきた。
「あー、たもつくんおはよ」
「おはよ!もえかちゃん。」
オレは、慌ててもえかから離れた。
すると少し遠くから
「みんなー、遅れてごめーん」
と手を振りながら真樹ちゃんが走って来た。
「みんな今来たとこだよ」
「そうそう。しかもこいつら抱き合いながら
来たんだよー。朝からさー」
たもつのその言葉に、
「ふふっ、よかったね」
こっそり真樹ちゃんがもえかに言った。
やっぱりもえかも…
そんな真樹ちゃんもなんだか服装大人びて きたな。
真樹ちゃんともえかが並んで楽しそうに話
をしだした。
その後ろをオレとたもつが歩いた。
「なぁ、たもつ。」
「ん?」
「真樹ちゃん、最近大人っぽくなったな。」
「は?お前…もえかちゃんがいるって言うの
に何言ってやがる!」
「あー、そういう意味じゃなくてさ。真樹ち
ゃんのこと好きなんだろ?どうすんの?」
「オレはさ、お前と違うからやるときゃやる
男なんだよ!」
「フッ、なんだ。それ」
「ま、見ときなさいよ」
少し偉そうなたもつ。
でも、そんなたもつが羨ましかった。
映画館に着いて、
オレとたもつは、女子二人を守るかのよう
に両端に座った。
隣にもえかが座っている。
「ねぇ、康介のポップコーン塩味だよね?
少しちょーだい」
「うん。ほら」
「ありがとう。お礼に私のキャラメル味もあ
げる。あーん」
「ばか!自分で食うわ」
もえかの手に持っていたポップコーンを取
り頬張った。
あぶねー。
暗闇でよかった。
赤面したじゃねーか。
もえかのやつ不意打ちしてきやがって。
いつも一緒にいるのに雰囲気が違う場所だ
と、なんだかソワソワするな。
もえかの先を覗きこむと、どうやらたもつ
と真樹ちゃんいい感じじゃないか。
たもつよ。やるときゃやるってところを見
せてもらおうじゃないか。
映画が終わりちょっとカフェに行こうって
なったんだけど…
いつもは、もえかと真樹ちゃんが並んで歩
く。
でも。
なんか違和感…って‼︎
えーっ‼︎
たもつー‼︎
マジかよー⁉︎
もえかをこっそり呼んだ。
トントン。
そして、二人の繋いだ手を指差した。
「うん。さっき映画館で真樹ちゃんから聞い
た。うまくいったみたい!」
にっこりするもえか。
たもつよ。
見せてもらったよ。
本当にやる時はやる男なんだって。
二人に圧巻されつつもカフェに向かった。
どのシーンがいいかでみんな盛り上がった。
オレともえかは、同じシーンで感動してい
た。
真樹ちゃんとたもつは、一番初めの出会い
のところが印象的だったんだそうな。
そうか。
みんないろんな価値観があるんだな…
オレともえかは、よく気があうからだから
安心するのかな。
そして、四人で雑貨屋さんなんかをみて楽
しく過ごした。
それからしばらくしての放課後。
いつものように部活に向かっていた。
オレとたもつは、サッカー部。
もえかと真樹ちゃんは、バスケ部だ。
オレは…
このオレは…
ついにこの時が来てしまった。
絶望だ…
もえかよ。
だから、そんなに可愛くなるんじゃねぇっ
て言ったのに。
そう。
もえかがついに告白をされてるじゃねーか。
一緒に部活に向かっていた、たもつに
「おい、もえかちゃん告白されてんじゃん。
だから早くくっついちゃえばよかったのに。
どうすんだよ」
なんて言われた。
そんな事言われてもな。
「うん。ついにこの時が来たな」
「は⁉︎なんだよそれ。他の男にもえかちゃん
取られてもいいのかよ」
「んー…いつかこんな事になるって思ってた
けど。でも早すぎだろ…オレにどうしろっ
て言うんだよ」
「おまえさ、花嫁のとーちゃんなわけ?簡単
じゃん。もえかちゃんに好きって言えばい
いだけだろ?」
「簡単に言ってくれるよなー。そんな幼馴染
って簡単じゃねーんだよ。先の事とか色々
あるんだよ」
「ふーん。オレ幼馴染いないし好きならそれ
でいいと思うけどなー」
呆れた様子でたもつは、行ってしまった。
もえか…
もえかが、告白を受け入れたかどうかわか
らないけどとりあえず部活に集中した。
それから数日後。
いつものようにもえかがうちに来た。
ホッ。
彼氏できたらうちに来なくなると思ったけ
ど、とりあえず普通に来るんだな。
「おっじゃまー」
「おー」
なんだかぎこちない…
仕方ない。
ここは、オレから切り出すか…
「もえかさ、彼氏できた?」
驚いた様子でこっちをみるもえか。
「はっ⁇出来るわけないじゃん。だって私」
慌てて口を塞ぐもえか。
だって私…なんだよ。
でもその答えを聞いてあげられない…
どーしたらいーんだよ‼︎
オレも好きだよ‼︎
でも、この関係壊したくねーんだよー‼︎
続く。
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