第2話

十七歳に夢を見ていた。しばしば、テレビで高校生への街頭インタビューを見かけるが、彼ら彼女らは例えようも無く輝いて見えた。髪型、メイク、服装、さらには言葉さえも、目新しく素晴らしいものに見えた。私も十七歳になれば、容姿も器量も良くなり、輝きを放てるものだと思っていたが、実際のところどうだろうか?現在高校二年生の私は、その答え合わせすらしている余裕が無い。どうやら周囲の大人が描く高校生というものは、勉強以外にすることが無いらしい。バイトは勿論、部活動すら親から反対され、いわゆる帰宅部だ。通っている塾は休日まで食い荒らし、不本意ながら予定で一杯の毎日を過ごしている。これでは到底恋愛など出来ない。まぁ、私の父曰く、街中を歩いている十七歳のカップルなど高校生では無く、コスプレして青春気分を味わっているだけの酔狂らしいが。まったく酷い偏見というか、価値観が壊れている。父は私にどうなって欲しいのか?それほどまでに勉強を神聖視して、娘に絶対的帰依を求める意味は何なのか?どうせ、大学を出たら早く結婚しろと急かし、結婚すれば専業主婦になれと言うのだろう。かくいう私も、母がそうだったように、それ以外に女としての生き方を知らないのだ。まったく腹が立つのは、レールを敷いた気になっていることで、いつだって私の歩む道を切り開いてきたのは私自身なのに、レールの上を走っていると思い込んでいる両親はさらに的外れな期待を背負わせてくる。だから私は決めたのだ。両親から離れると。早く大学へ進みたい。その一心で日々を過ごしていこう。きっと十七歳というのは、こうやって十七歳に絶望し、希望ある未来へと自立していくものなのだろう。

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