揺れる

 そろそろかもしれない。火の手も回ってきている感じがする。不思議と熱くはない。上層階だから、だろうか。


「みなさん一列に。わたしが順番を決めます」


 視線が刺さる。仕方ない。死を待つのみだし。


「もちろんわたしが最後です」


 この一言で、視線は消え、あわれみがにじんでくる。仕方ない。仕方ないとしか、言えない。


「さぁ、一列になって」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る