アルタークロノス 混沌

「私の人助けがね」


「あぁ」


「死に場所を探してたの」


「死に場所?」


「うん。死にそうなひとを助けることで、自分自身がしに近づけそうな、そんな感じがして」


「意味がないだろ」


「うん。意味はなかった。周りみんな善意のかたまりみたいなやつらだったし」


「いやだったか」


「いやだった。助けた人からの手紙とか読まずに破り捨ててたし、助けた人から声かけられても顔覚えてないし」


「最悪なやつだな。善意の押し売りかよ」


「そもそも善意じゃないし」


「まぁ、それはそうか」


「だから、あなたを助けて死ねるのなら本望だよねって」


「そう、なるのか。本当にそうなるか?」


「論理的には」


「いや感情的には、だろ」


「死ねればなんでもいいのよ。それだけが私の望みだから」


「そうか」


「あなたは生きて助かりたい。人として普通に生きたい。なんとなくの善意でひとを助けたい。だからこの答えには辿り着かなかった」


「たしかに」


「私なら、助けられる。私がいるから」


「おまえ自身はどうやって助けるんだよ」


「殺してよ。私を」


「うわ面倒なのが来たな」


「なによ面倒って」

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