哲学魔王の【辞書】

２７．距離 〜より

２７．前節／中節／後節

　　　　◆◆◆ 前節 ◆◆◆

━─━─ № 27-1 (2,628) ─━─━

　　〖ゆどの〗〖ゆでん〗（名詞）

【湯（ゆ）殿（どの）】【湯（ゆ）殿（でん）】⚠　 #2,645

　〈｟立派な｠風（ふ）呂（ろ）場〉の意。

　本来｛湯（ゆ）殿（どの）｝のところ、思わず｛湯（ゆ）殿（でん）｝と読んでしまいがちだが、まあ意味変わらんしどっちでもよかろ。

━─━─ № 27-3 (2,630) ─━─━

　　〖ゆうべはおたのしみでしたね〗⛏（成句・感嘆詞）

【昨晩（ゆうべ）はお愉（たの）しみでしたね】⚠⛏　 #2,646

　〈昨晩（ゆうべ）はお愉しみ（あっはんうっふん）でしたね〉の意。

　わざわざここに掲載する必要あるかという異論は、これを認めない。

━─━─ № 27-5 (2,632) ─━─━

　　〖ぱくぱく〗（サ変名容詞）

【溌（ぱ）繰（く）ぱく】⚠⛏　 #2,647

　〈口が頻（しき）りに開閉しているさま〉の意。

　転じて〈ひたすら何かを咀（そ）嚼（しゃく）しているさま〉の意。

　　　　◆◆◆ 中節 ◆◆◆

━─━─ № 27-7 (2,634) ─━─━

　　〖あざう〗（ワア五段動詞）

【糺（あざ）う】【糾（あざ）う】⚠⛏　 #2,648

　〈｟線（いと）や縁を｠合わせて混ぜる〉の意。

　転じて〈正しい方法で結ぶ〉〈人と人を結んで子を生（な）す〉の意。

　組成は〔合（あ）混（ざ）う〕であり、また〔合（あ）混（ざ）〕は〈宀（いえ）の子〉の意の「字（あざ）」の組成。

　なお〔糺〕は〔糾〕の異体字であり、別字とする説もみられるが変（へん）遷（せん）過程を見るかぎり同字と考えるのが妥（だ）当（とう）と思われる。

━─━─ № 27-9 (2,636) ─━─━

　　〖なう〗（ワア五段動詞）

【綯（な）う】⚠　 #2,649

　〈｟線（いと）を｠縒（よ）って合わせる〉の意。

　なお〈線（いと）を縒（よ）って合わせたもの〉を「縄（なわ）〔綯合（なわ）〕」と云（い）う。

━─━─ № 27-11 (2,638) ─━─━

　　〖あざなう〗（ワア五段動詞）

【糺（あざ）綯（な）う】【糾（あざ）綯（な）う】⚠⛏　 #2,650

　〈｟縁を｠縒（よ）って合わせて結びつきを強（きょう）乎（こ）にする〉の意。

　転じて〈｟解（ほど）けないように｠きちんと結ぶ〉〈家と家を結ぶ〉の意。

【糺（あざな）う】【糾（あざな）う】✗　 #2,651

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〔糺〕〔糾〕単体に〈結ぶ〉〈強（きょう）乎（こ）にする〉までの意は無い。

　〔綯〕も〔糾〕と似たような字義でその意味は無いが、他方で「散る」に比べて「散りぢりになる」が〈徹（てっ）底（てい）的〉〈再集合が困難〉などの意味合いを持つように、くり返し詞（ことば）には〈執（しつ）拗（よう）〉〈強（きょう）乎（こ）〉の意味合いが附（ふ）加（か）されるものと解釈できる。

　　　　◆◆◆ 後節 ◆◆◆

━─━─ № 27-13 (2,640) ─━─━

　　〖ちょこざい〗（名容詞）

【些（ちょ）乎（こ）才（ざい）】⚠⛏　 #2,652

　〈小賢しくて腹立たしいさま〉の意。

　転じて〈奇（なま）意（い）気（き）であるさま〉の意。

【猪（ちょ）口（こ）才（ざい）】✗　 #2,653

　語義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈猪（いのしし）の口車（⁉）〉のような意となる。

　〈些（ちょ）乎（こ）っとだけ注（つ）ぐタイプの小さな酒器〉の意の「猪（ちょ）口（こ）」からの転用と思われるが、これ自体〔些（ちょ）乎（こ）〕への当て字であり〔猪〕は全く関係なく、せめて「些（ちょ）口（こ）」にならなかったものかと残念な思いを抱えて日々過ごしている。

　｛些（ちょ）｝は、〈ほんの少し〉の意の〔些（ち）と〕が｛些（ち）いと｝｛些（ち）っと｝を経て、｛些（ちょ）っと｝と崩れたもの。

　なお「小（ちい）さい」の組成は〔些（ち）然（さ）い〕。

━─━─ № 27-15 (2,642) ─━─━

　　〖そつない〗（ワア五段動詞）

【粗忽（そつ）ない】⚠⛏　 #2,654

　〈手落ちが無い〉の意。

　一般に書かれる［卒（そつ）ない］は当て字との説が濃厚であり、では｛そつ｝とは何かと考えたとき「粗（そ）忽（こつ）」の略とすれば意味がすんなり通るという事で、新たな熟字訓を提案するもの。

【卒（そつ）ない】✗　 #2,655

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

━─━─ № 27-17 (2,644) ─━─━

　　〖へんぱ〗（サ変名容詞）

【偏（へん）頗（ぱ）】⚠　 #2,656

　〈極度に偏（かたよ）っている〉〈不公平が存在する〉の意。

━─━─ № 27-19 (2,646) ─━─━

　　〖さもありなん〗（成句・感嘆詞）

【然（さ）も存（あ）り也（な）向（ん）】⚠⛏　 #2,657

　〈そりゃそうだろ〉の意。

　これを難しく云（い）うと〈そんな事があっても自然なことと思われよう〉の意の当該語となるわけである。

　直後に「宜（むべ）為（な）る哉（か）那（な）」を伴って言われる場合が多い。

━─━─ № 27-21 (2,648) ─━─━

　　〖むべなるかな〗（成句・感嘆詞）

【宣（むべ）也（な）る哉（か）那（な）】⚠⛏　 #2,658

　〈そりゃそうでしょ〉の意。

　これを難しく云（い）うと〈言葉の通りではないかな〉の意の当該語となるわけである。

　直前に「然（さ）も存（あ）り也（な）向（ん）」を伴って言われる場合が多い。

━─━─ № 27-23 (2,650) ─━─━

　　〖きょうもきょうとて〗（成句・副詞）

【今日（きょう）も今日（きょう）迚（と）て】⚠⛏　 #2,659

　〈相（あ）いも変わらず〉の意。

　これを難しく云（い）うと〈今日という日がどんなに今日という日になろうともそんな事には関係なしに〉の意の当該語となるわけである。

　なお｛今日（きょう）｝は古語的に｛今（け）日（ふ）｝であることが知られているが、これは現代的な仮名遣いでは｛今（こ）日（ひ）｝に相当する。