哲学魔王の【辞書】

８．後節

━─━─ № 8-109 (1,462) ─━─━

　　〖にくむ〗（マ五段動詞）

【悪（にく）む】⚠　 #1,724

　〈あってはいけないと思うもの敵視し非難する〉の意。

【憎（にく）む】⚠　 #1,725

　〈自分に不利益をもたらすものを悪（にく）む〉の意。

【嫉（にく）む】⚠　 #1,726

　〈自分に無いものを持つ者を悪（にく）む〉の意。

━─━─ № 8-111 (1,464) ─━─━

　　〖きらこぼる〗⛏（ラ五段動詞）

【煌（きら）零（こぼ）る】⚠⛏　 #1,727

　〈煌（きら）粧（め）きながら零（こぼ）れ落ちる〉の意。

━─━─ № 8-113 (1,466) ─━─━

　　〖さながら〗（副詞）

【然（さ）乍（ながら）】【然（さ）乍（なが）ら】⚠　 #1,728

　〈しかしながら〉の意。

　転じて〈まるで〉〈そっくり〉の意。

【宛（さなが）ら】⚠✗　 #1,729

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　この表記では〈当て込む〉〈当てつける〉のような意となる。

━─━─ № 8-115 (1,468) ─━─━

　　〖わく〗（カ五段動詞）

【沸（わ）く】⚠　 #1,730

　〈煮え立つ〉の意。

【湧（わ）く】⚠　 #1,731

　〈わきでる〉〈さかんに起こる〉の意。

【涌（わ）く】⚠✗　 #1,732

　同義のため［湧（わ）く］を遣うことを推（すい）奨（しょう）する。

━─━─ № 8-117 (1,470) ─━─━

　　〖しみる〗（マ下一段動詞）

【浸（し）みる】⚠　 #1,733

　〈液体や気体がしみこむ〉の意。

　転じて〈味がしみこむ〉の意。

【染（し）みる】⚠　 #1,734

　〈色がしみこむ〉の意。

【滲（し）みる】⚠　 #1,735

　〈液体がしみこむ事によって印影が崩れる〉の意。

【沁（し）みる】⚠　 #1,736

　〈心を打たれる〉の意。

【凍（し）みる】⚠　 #1,737

　〈凍（い）てつく〉〈凍りつく〉の意。

　転じて〈凍ったせいで中身が空（すか）々（すか）のsponge（スポンジ）状になる（水分氷結時の膨張によるもの）〉の意。

━─━─ № 8-119 (1,472) ─━─━

　　〖あいづちをうつ〗（成句・タ五段動詞）

【相（あい）鎚（づち）を椎（う）つ】⚠⛏　 #1,738

　〈二人の鍛（か）冶（じ）職人が交互に鎚（かなづち）を打ち合わすこと〉の意。

　転じて〈相手に調子を合わせること〉の意。

【相（あい）槌（づち）を打（う）つ】⚠✗　 #1,739

　字義不相応のため遣うことを推（すい）奨（しょう）しない。

　〔槌〕は〈木（き）椎（づち）〉の意であるが、鍛（か）冶（じ）に槌（きづち）は用いないもの。

　また［打（う）つ］よりも〈椎（つち）を使って打つ〉の意の「椎（う）つ」のほうがより適当。

━─━─ № 8-121 (1,474) ─━─━

　　〖況（ま）して〗（副詞）

【増（ま）して】⚠　 #1,740

　〈同じものが増加または増幅されて〉の意。

【況（ま）して】⚠　 #1,741

　〈さらにいっそう〉〈なおさら〉の意。

━─━─ № 8-123 (1,476) ─━─━

　　〖じゃいん〗⛏（名詞）

【邪（じゃ）闇（いん）】⚠⛏　 #1,742

　〈奸（よこしま）で禍（まが）々（まが）しい〉の意。

━─━─ № 8-125 (1,478) ─━─━

　　〖せいへき〗〖しょうへき〗（名詞）

【性（せい）癖（へき）】⚠　 #1,743

　〈嗜（し）好（こう）的分野に対する好み〉〈嗜（し）好（こう）からくる癖〉の意。

【性（しょう）癖（へき）】⚠⛏　 #1,744

　〈生まれつきの性質〉〈性分からくる癖〉の意。

　こちらが本来「性（せい）癖（へき）」であるが、前（さき）に挙げた［性（せい）癖（へき）］の意で通用してしまっているので差別化を図るために、こちらの意味の場合は漢音でなく呉（ご）音（おん）で読むことを提案するもの。

━─━─ № 8-127 (1,480) ─━─━

　　〖いっぱんてき〗（名容詞）

【一（いっ）般（ぱん）的（てき）】⚠　 #1,745

　〈全体に及ぶさま〉〈例外にならない性質〉の意。

【逸（いっ）般（ぱん）的（てき）】⚠⛏　 #1,746

　〈一（いっ）般（ぱん）的（てき）なところから逸（そ）れた領分〉の意。

　まあもともと冗談なんだけど、ふつうに通用しちゃってるよね。

━─━─ № 8-129 (1,482) ─━─━

　　〖ばまくをおとしあかす〗⛏（成句・サ下一段動詞）

【場幕を落とし明かす】⚠⛏　 #1,747

　〈大々的に事を始める〉の意。

　一般に謂（い）われる〈除幕してお披（ひ）露（ろ）目（め）をする〉〈演劇を始める〉転じて〈事始めをする〉の意の「幕を落とす」の崩し。

　「火（ひ）蓋（ぶた）を切って落とす」「火（ひ）蓋（ぶた）を落とす」と言われる事があるが、これは〈銃（じゅう）の発砲のための準備操作をする〉転じて〈事のきっかけを作る〉の意の「火（ひ）蓋（ぶた）を切る」と当該語が混同されたもので、そもそも火（ひ）蓋（ぶた）は銃（じゅう）身（しん）に取り付けられた部品だから落とすことはできず、それを含んで解釈すれば〈発砲のための部品を紛失する〉転じて〈せっかくの用意をぶち壊しにする〉のような意となるものと思われる。

　一方で「幕を切って落とす」という云（い）い方は、〈乱暴に除幕する〉転じて〈強引に事を始める〉の意と解釈する餘（よ）地（ち）があると考えられる。

　なお「幕を下（降）ろす・閉じる」は〈演劇を終幕させる〉転じて〈事を終わらせる〉の意だが、ここで「幕を落とす」、つまり除幕してしまうと舞台が丸裸になって終わるのか続くのかよくわからない状態となるから、劇団スタッフ各位にはくれぐれも勘違いをせぬようご留意願いたい。

━─━─ № 8-131 (1,484) ─━─━

　　〖ずいどう〗（名詞）

【随（ずい）道（どう）】⚠⛏　 #1,748

　〈地を貫いた人工通路〉〈tunnel（トンネル）〉の意。

　〝所を選ばす随意に敷いた道〟ということから。

【隧（ずい）道（どう）】⚠✗　 #1,749

　縁起悪とされているので遣うことを推（すい）奨（しょう）しない、

　なお〔隧〕は〈墓道〉の意であり、昔の時代には割と深い穴を掘って、その最奥に遺体を埋葬したとの事で、よって縁起の悪い字とされる。

　そのためtunnel（トンネル）については一般に｛隧（ずい）道（どう）｝でも｛隧道（トンネル）｝でもなく「トンネル」と表記することが推（すい）奨（しょう）されている模様。

　なお｛随（ずい）道（どう）｝という表記自体は既に存在するが、これは単なる「隧（ずい）道（どう）」の誤記かと思われる。

　ちなみに「古墳」は、この〝割と深い穴〟を誇示するもの。

━─━─ № 8-133 (1,486) ─━─━

　　〖みせつける〗（カ下一段動詞）

【見（み）令（せ）付（つ）ける】⚠⛏　 #1,750

　〈わざと目に付くようにする〉〈衒（ひけら）かす〉の意。

　転じて〈屈辱を味わわせる〉の意。

━─━─ № 8-135 (1,488) ─━─━

　　〖しゃへい〗（サ変名詞）

【遮（しゃ）蔽（へい）】⚠　 #1,751

　〈視線や光線をさえぎること〉の意。

【遮（しゃ）閉（へい）】⚠⛏　 #1,752

　〈窓を閉じるなどして空間を密閉すること〉の意。

━─━─ № 8-137 (1,490) ─━─━

　　〖つやつやしい〗⛏（形容詞）

【艶（つや）々（つや）しい】⚠⛏　 #1,753

　〈光沢があって美しい〉の意。

━─━─ № 8-139 (1,492) ─━─━

　　〖一（いっ）掬（きく）〗（名詞）

【遮（しゃ）蔽（へい）】⚠　 #1,754

　〈両手でひとすくいすること〉の意。

　転じて〈わずか〉〈かすかなひと星〉の意。

━─━─ № 8-141 (1,494) ─━─━

　　〖にこり〗〖にっこり〗〖にこにこ〗（サ変名容詞）

【莞（にこ）り】【莞（にっこ）り】【莞（にこ）々（にこ）】⚠⛏　 #1,755

　〈ちょっと笑うさま〉〈ほほえむさま〉〈｟理由なく｠笑顔を見せるさま〉の意。

　転じて〈愛想をつくろうさま〉の意。

━─━─ № 8-143 (1,496) ─━─━

　　〖つんけん〗（サ変名容詞）

【酸（つん）慳（けん）】⚠⛏　 #1,756

　〈不（ふ）機（き）嫌（げん）ないし不親切でとげとげしい態度であるさま〉の意。

　ちなみに〔酸〕は〈とげとげしさを与える〉の意を持つもので、よって根強い人気の〝ツンデレ〟は「酸（つん）照（でれ）」となり、近年頭角をあらわした〝すんっ〟も「酸（すん）っ」となる。知らんけど。