20.過去 〜より

20.前節/中節/後節

    ◆◆◆ 前節 ◆◆◆



━─━─ № 20-1 (2,394) ─━─━

  〖てんがい〗(名詞)


てんがい】⚠  #2,471

 〈高貴な者や像の頭上にかざすかさや布〉の意。

 転じて〈寝台を囲う幕を吊り下げるための屋根またはその幕布〉の意。

 後者のものは、かつてはおうこう貴族も固有の居室というものを持たなかったために、せめて就寝時には個人空間を確保するため布で仕切っていた、という事に由来するもので、厳密には装飾ではない。



━─━─ № 20-3 (2,396) ─━─━

  〖ちりめん〗(名詞)


ちりめん】⚠  #2,472

 〈絹で縮み織りをした布〉の意。

 当然のように高級品なので、例のおぢいちゃん()がよく口にしている「ちりめん問屋」とはふつうに大金持ちでめったにお目に掛かれたものではなく、ゆえに行く先々でていちょうもてなされる。

 ずるいぞぢいちゃん(



━─━─ № 20-5 (2,398) ─━─━

  〖こんもり〗(副詞)


こんり】⚠⛏  #2,473

 〈木々がよく茂っていて奥深いさま〉の意。

 転じて〈丸く盛り上がるさま〉の意。

 どこを探しても漢字表記に調べ中たらなかったが、〔蓊〕が〈草木が盛んに茂るさま〉の意であるから、おそらくこの字を当てるのがとうであろうと提案をするもの。



━─━─ № 20-7 (2,400) ─━─━

  〖あまぎれ〗(名詞)


ぎれ】⚠  #2,474

 〈linenリネン類〉〈で織られた布〉の意。

 吸水性が高くカラッとしたはだわりであるため、タオルや寝具によく用いられるが、あさと違って連作ができないため高級素材とされる。

 「連作」とは〈単一の作物を同じ土地で続けてさいばいすること〉だが、多くの作物においては特定の栄養素を吸い尽くすなどして内在微生物のバランスを崩し、じょう病害が発生してしまうもので、これを「連作障害」と呼ぶ。

 この連作障害を避けるため、〈同じ土地で複数の作物をかわるがわるさいばいすること〉を「輪作」とうが、「すいとう(水耕米)」は引水のおかげで内在微生物のバランスが崩れにくく、よって主要穀物のなかでも連作障害とほぼ無縁の作物であり、へいたんでなく耕作地を十分に確保できない地域にはこれがよく適するため、日本において米は通貨や国力指標として利用されるほど重要なものとなった。



━─━─ № 20-9 (2,402) ─━─━

  〖あたかも〗(副詞)


あたかも】⚠  #2,475

 〈まるで〉〈ちょうど〉〈さながら〉の意。

 [恰]は〈おもいに合う〉の意。

 組成は〈われたかのよう〉の意の〔も〕。


あたかも】✗  #2,476

 字義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈⦅まさに⦆てられたかのようであるさま〉のような意となる。


たかも】✗  #2,477

 字義不相応のため遣うことをすいしょうしない!

 なにが〝冷蔵庫に牛乳が有たかもしれない〟だ‼(



━─━─ № 20-11 (2,404) ─━─━

  〖れいぼう〗(名詞)


れいぼう】⚠  #2,478

 〈低温を保たれたへや〉の意。

 転じて〈へやの気温を冷却する機構〉の意。

 一般に「エアコン」を指してうが、本来は〈氷雪を蓄えて低温を保った保存庫〉の「むろ」などを指す。



━─━─ № 20-13 (2,406) ─━─━

  〖こまめ〗(名詞)


】⚠⛏  #2,479

 〈配慮細やかに労を惜しまず働くさま〉の意。

 []は〈まことかり〉の意であり、ここでの{目}は「なな」「はや」などと同じく〈その性質を強く出すこと〉の意。

 〈豆〉ではない。


忠実まめ】✗  #2,480

 同義のため[]を遣うことをすいしょうする。

 [忠実まめ]は[]に対する熟字訓。



━─━─ № 20-15 (2,408) ─━─━

  〖ばてる〗(タ下一段動詞)


てる】⚠  #2,481

 〈精魂尽き果てる〉の意。

 〔てる〕の濁音減価。



    ◆◆◆ 中節 ◆◆◆



━─━─ № 20-17 (2,410) ─━─━

  〖いぢける〗〖いじける〗〖ねぢける〗〖ねじける〗(カ下一段動詞)


いぢける】【いじける】【ねぢける】【ねじける】⚠  #2,482

 〈気を損ねてねる〉の意。



━─━─ № 20-19 (2,412) ─━─━

  〖けいちょうふはく〗(名詞)


けいちょうはく】⚠  #2,483

 〈このうえなく軽々しく浮わついているさま〉の意。



━─━─ № 20-21 (2,414) ─━─━

  〖えんげ〗(サ変名詞)


えん】⚠  #2,484

 〈のどに食べ物を通して飲み下すこと〉の意。



━─━─ № 20-23 (2,416) ─━─━

  〖ろうじる〗(ザ上一段動詞)


ろうじる】⚠  #2,485

 〈見る〉〈観覧する〉〈閲覧する〉の意。

 〈見ろ〉のけんじょうの意で「ろうじろ」と言ったりするが、[ろうじる]自体は「信じる」同様の単漢字の動詞化で、つまり「しんじろ」のような奇妙ない回しだと言え、かつ直接の命令形なのでいんぎん無礼でもある。

 けんじょうに相当するのは「ろうじ」と体言化した場合のみで、本当にへりくだりたいなら「ろうじあれ」、あるいは素直に「ご覧あれ」「ご覧願う」「ご覧いただく」のほうが適切と言える。



━─━─ № 20-25 (2,418) ─━─━

  〖これみよがしに〗(副詞)


これしに】⚠⛏  #2,486

 〈浅ましくも物の価値に依存して見せびらかすように〉の意。



━─━─ № 20-27 (2,420) ─━─━

  〖なんことぞなしえや〗⛏(成句・名詞)


なんことや】⚠⛏  #2,487

 〈何が達成できたものか〉の意。



━─━─ № 20-29 (2,422) ─━─━

  〖いつしか〗(副詞)


何時いつか】⚠⛏  #2,488

 〈いつかそのうち〉の意。



━─━─ № 20-31 (2,424) ─━─━

  〖いわれなきつみ〗〖ぬれぎぬ〗(名詞)


いわつみ】⚠⛏  #2,489

 〈無実の罪〉〈冤罪〉の意。


ぬれぎぬ】【ぎぬ】⚠✗  #2,490

 前提知識を要するため遣うことをすいしょうしない。

 〝漁師である夫の「ぎぬ(漁衣)」を、その妻が憎んでいるままむすめまくらもとに置いて、りんでっち上げた〟との故事(?)によるもの。



    ◆◆◆ 後節 ◆◆◆



━─━─ № 20-33 (2,426) ─━─━

  〖むいちもつ〗〖むいちもん〗(名詞)


いちもつ】⚠  #2,491

 〈物をなんら持っていないこんきゅう状態〉〈いちもん〉の意。


いちもん】✗  #2,492

 前提知識を要するため遣うことをすいしょうしない。

 [もん]はかつての日本国内における通貨単位であるが、字自体に〈金銭〉との意味合いは無い。



━─━─ № 20-35 (2,428) ─━─━

  〖おためごかし〗(サ変名詞)


ためかし】⚠  #2,493

 〈相手のためと言いながら実際には相手の利を図っていない行為〉〈ぜん〉の意。

 〝大きなお〟のような無自覚なものも含む。

 逆に私利私欲目的であっても、差し引きの利が相手の手元にも残るものであれば、それはぜんとはわない。

 なおその〝大きなお〟は反語表現であり、〈大恩〉という意味では間違ってもない。



━─━─ № 20-37 (2,430) ─━─━

  〖じじん〗(名詞)


じん】⚠  #2,494

 〈自害して果てること〉〈自殺〉の意。

 なお「自害」は〈⦅自殺を目的として⦆自身を害すること〉という行為を指すものであり、「自殺」という結果とはイコールではない。


じん】⚠  #2,495

 〈刀によって自害すること〉の意。


じん】⚠  #2,496

 〈自分ないし味方の陣地〉の意。

 陣によって自害することではない。知らんけど。



━─━─ № 20-39 (2,432) ─━─━

  〖いざこざ〗(名詞)


いざこざ】⚠⛏  #2,497

 〈口論〉の意。

 転じて〈め事〉〈けん〉の意。

 組成は〔いさくさ〕。



━─━─ № 20-41 (2,434) ─━─━

  〖くなぎ〗(名詞)


ぎ】⚠⛏  #2,498

 〈子作り〉〈性交〉の意。


くなぎ】✗  #2,499

 字義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 〈子をつがい〉のような拡大解釈によってこの字が当てられた模様だが、[くなぎ]は飽くまで〈おせっせあっはんうっふん〉の事であるため不適切であり、一方で「い」が〈家と家が交わること〉の意であるため、〈まぐわい〉と当てたほうが適切と考えられる。

 ほか、似た言葉に〈情を通じさせる〉の意の「す」があり、これが「い」と混同された可能性もある。

 なお〔う〕は「まぐる」の組成である。



━─━─ № 20-43 (2,436) ─━─━

  〖そうじょう〗(サ変名詞)


そうじょう】⚠  #2,500

 〈争い事を起こしてちつじょを乱すこと〉の意。


そうじょう】⚠  #2,501

 〈騒ぎを起こしてちつじょを乱すこと〉の意。



━─━─ № 20-45 (2,438) ─━─━

  〖みすみす〗(副詞)


みす】⚠⛏  #2,502

 〈見ながらにして〉〈認識しながらにして〉の意。

 必要な措置を取らなかった事を非難する意味合いでわれる。



━─━─ № 20-47 (2,440) ─━─━

  〖ころころ〗〖ごろごろ〗(名容詞)


ころころ】【ごろごろ】⚠⛏  #2,503

 〈無為に転がること〉の意。


ごろごろ】⚠⛏  #2,504

 〈小石のように多数が無造作に存在すること〉の意。

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