2.憂鬱 ~より

2.前節゠1/2

━─━─ № 2-1 (320) ─━─━

  〖むこう〗(形容詞)


こう】  #532

 〈いま向いている方向へ遠く離れた所にあるたいしょう〉の意。

 組成は〔ほう〕。


こう】⚠  #533

 〈ついになっている二者のうちどちらか一方から見たその相手〉の意。

 語源は〔こう〕。



━─━─ № 2-3 (322) ─━─━

  〖よい〗〖いい〗(形容詞)


い】【い】⚠  #534

 〈納得できる〉〈許容できる〉の意。


い】【い】  #535

 〈質が高い〉の意。


い】【い】  #536

 〈正しい〉〈人道的である〉〈道徳的である〉の意。


い】【い】⚠  #537

 〈⦅覚悟高い文脈で⦆い〉の意。


い】【い】⚠  #538

 〈趣味に合う〉の意。


い】【い】⚠  #539

 〈美麗である〉の意。


い】【い】⚠  #540

 〈しとやかである〉〈慎ましやかである〉の意。


い】【い】⚠  #541

 〈めでたい〉〈清い〉〈優れている〉の意。


い】【い】⚠  #542

 〈めでたい〉〈喜ばしい〉の意。


い】【い】⚠  #543

 〈めでたい〉〈立派である〉〈ほまれ高い〉の意。


い】【い】⚠  #544

 〈めでたい〉〈運気にすぐれる〉の意。


☞ 「めでたい」の組成は〈この上なく喜ばしい〉の意の古語〔し〕。



━─━─ № 2-5 (324) ─━─━

  〖いいかげん〗(名詞)


げん】  #545

 〈丁度よい具合〉の意。


げん】  #546

 〈意に沿う具合〉の意。

 転じて〈さんな具合〉の意。

 〝「意に沿う」ならそれでいいじゃん〟とのツッコミがよくみられるが、確かにこれは本来〝げんにせよ(よろしい具合にとどめよ)〟と言ったものの略で、これ略しちゃアカンやつやろとは思わないではないものの、〈当人がそれで構わないと感じる加減〉との曲解は一応できなくもないから言葉ってムズカシイ。。。



━─━─ № 2-7 (326) ─━─━

  〖ふるう〗(ワア五段動詞)


るう】  #547

 〈物理的にふりまわす〉の意。


るう】⚠  #548

 〈振幅させる〉〈振動によって衝撃や損傷を与える〉の意。


ふるう】⚠  #549

 〈能力を発揮する〉の意。

 使用ひんのわりに常用の読みではないので注意。


ふるう】  #550

 〈気力さかんである〉〈気力を発揮する〉の意。


ふるう】⚠  #551

 〈ふるいに掛ける〉〈選別する〉の意。



━─━─ № 2-9 (328) ─━─━

  〖そよぐ〗(ガ五段動詞)


そよぐ】⚠  #552

 〈細かに震える〉〈わずかに揺れ動く〉の意。


そよぐ】⚠✗  #553

 字義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 「おののく」を参照のこと。



━─━─ № 2-11 (330) ─━─━

  〖そよかぜ〗(名詞)


そよかぜ】⚠  #554

 〈わずかに揺れ動くように弱く吹く風〉の意。

 原語は〔そよかぜ〕。


微風そよかぜ】⚯✗  #555

 同義のため[そよかぜ]を遣うことをすいしょうする。

 なおこれは{微風}一体での熟字訓であり{そよ}という読みをする理由は無い。



━─━─ № 2-13 (332) ─━─━

  〖くさむら〗(名詞)


くさむら】⚠  #556

 〈草が群がって生えている所〉の意。

 原語は〔くさむら〕。


くさむら】✗  #557

 同義のため[くさむら]を遣うことをすいしょうする。

 〔叢〕は〈⦅自然物の⦆むらり〉の意であり、〔莽〕とは違って草木に限定せず群がっているものに対して遣われ、たとえば「むらさめ」「むらくも」などの語があるが、こちらまで{くさむら}と読むのはいろいろ訳わからんくなるからちょっとやめてほしい。

 なお「むれ」「むら」の{む}は〔〕に相当し、つまり「むれ」は〔むす〕、「むら」は〔むす〕のような意味合いで、「むら」の語源でもある。



━─━─ № 2-15 (334) ─━─━

  〖うらたつ〗(タ五段動詞)


うらつ】⚠⛏  #558

 〈豊かに立ちのぼる〉の意。

 なお「うらら」の組成は〔うる〕。



━─━─ № 2-17 (336) ─━─━

  〖ゆらめく〗(タ五段動詞)


ゆらく】⚠⛏  #559

 〈ゆらゆら揺れ動く〉の意。



━─━─ № 2-19 (338) ─━─━

  〖てきとう〗(名詞)


てきとう】  #560

 〈度合が丁度よいこと〉の意。


粗略てきとう】⚠⛏  #561

 〈さん〉〈おざなり〉の意。



━─━─ № 2-21 (340) ─━─━

  〖ぼやり〗〖ぼんやり〗(サ変名容詞)


ぼやり】【ぼんやり】⚠⛏  #562

 〈おぼろげ〉〈視界がはっきりしない〉の意。

 〔暈〕は〈太陽や月に掛かる光の輪〉転じて〈視界が妨げられるさま〉の意。


ぼやり】【ぼんやり】⚠⛏  #563

 〈物事や思考がはっきりしない〉の意。

 〔惘〕は〈おろかしいこころ〉の意。



━─━─ № 2-23 (342) ─━─━

  〖べたり〗〖べったり〗〖べとり〗〖べっとり〗(サ変副詞的名容詞)


べたり】【べったり】【べとり】【べっとり】⚠⛏  #564

 〈どろなどの粘着物が付着しているさま〉〈しりが地に着いているさま〉の意。

 転じて〈一面にまみれているさま〉〈密接な関係にあるさま〉の意。

 さらに転じて〈一様で退屈であるさま〉の意。

 なお[べた][べと]は〈石などが混じらない⦅ゆえに物やはだまとわりつきやすい⦆でい〉の意。

 ならびに「べたり」は〈⦅あぜや土壁を作るために⦆べたむらなく一面に塗ること〉転じて〈一面を均一に塗ること〉の意。



━─━─ № 2-25 (344) ─━─━

  〖やわみ〗(名詞)


やわみ】⚠⛏  #565

 〈柔らかさ〉の意。



━─━─ № 2-27 (346) ─━─━

  〖おとこずき〗〖おとこづき〗(サ変名詞)


おとこ】⚠⛏  #566

 〈男らと関わっていたいしょうへき〉の意。

 なお[数]は〈区分け〉、[寄]は〈傾倒〉、[]は〈何かにかたよって追求や追究をする者〉の意。


おとこき】⚠⛏  #567

 〈⦅意図不図を問わず⦆男をたぶらかすような人柄〉の意。

 組成はおそらく〔おとこき〕であるが、これでは〈男にく〉の意とも解釈でき不適当であるため、〈たぶらかす〉の意の〔く〕という動詞を新たに提案するもの。


おとこき】✗  #568

 紛らわしいため遣うことをすいしょうしない。

 {〜き}のかたちの語は〈〜を好きである人〉の意となることが期待されるが、〈〜から好かれる人〉の意をも持つ当表記はそれを裏切るものと言える。



━─━─ № 2-29 (348) ─━─━

  〖くう〗(ワア五段動詞)


う】⚠⛏  #569

 〈すれちがう〉〈交差する〉の意。

 転じて〈合わせる〉〈出会う〉の意。


う】⚠  #570

 〈歯をい合わせる〉〈み合わせる〉の意。

 転じて〈絡まる〉の意。

 〝い縛る〟〝糸がう〟など。


う】⚠  #571

 〈歯でって刺す〉の意。

 転じて〈鋭い物が刺さる〉の意。

 〝い込む〟など。


う】⚠  #572

 〈歯でって付く〉の意。

 転じて〈縛り付けにされる〉の意。

 〝い入る〟など。


う】  #573

 〈摂食する〉の意。

 転じて〈消費する〉の意。

 〝メシをう〟〝カネをう〟など。


う】⚠  #574

 〈⦅食器などを使わずに⦆ぢかぐちう〉〈むさぼってう〉の意。

 〝い荒らす〟など。

 〔喰〕は「食」と同義の国字だが、{くちへん}がついたいんしょうにより〈粗雑〉との意味合いを含ませて遣われる。

 使用ひんのわりに常用の読みではないので注意。


う】⚠  #575

 〈きょうじゅする〉〈り着く〉の意。

 転じて〈うむる〉の意。

 〝ダメージをう〟など。

 ネガティブな事については言われないため、原義のほうの意は無いも同然である。



━─━─ № 2-31 (350) ─━─━

  〖あなた〗〖あのほう〗〖あち〗〖あちら〗(名詞)


】【ほう】【】【】⚠⛏  #576

 〈さんにんしょうをとりあえず示す代名詞〉の意。

 転じて〈けんじょう的なにんしょう代名詞〉の意。

 本来は離れた場所にいる人物を指すさんにんしょうであり、にんしょうの場合は「」「ほう」「」「」とったもので、ちなみにいちにんしょうの場合は「」「ほう」「」「」となった。

 また元々は、上も下もなく相手を単に指すだけのものであって、これといってけんじょう表現というわけではなかった。

 おそらくは〝手の届かないところにいるはずの様〟のような意味合いでにんしょう化、かつけんじょう表現化したものかと想像される。

 現代で自分のことを「こなた」、目の前の相手のことを「そなた」を言えばウケるかもしんないからみんながんってね。


なた】⚠  #577

 〈〉の意。

 [なた]は〔〕を一字集約したもの。

 ちなみに「日向ひなた」も、それ自体は熟字訓で本来は「」であり、{なた}という読みをする理由は無い。

 一方で「ひゅうが」との読みもあるが、これは元「むか」が{うが}をた音便であり、同様の音便に「なかひと」→「なかうどなこうど)」、「まれひと」→「まれうどまろうど)」などがある。


貴殿あなた】⚯  #578

 〈男性に対するけんじょう的なにんしょう代名詞〉の意。


貴女あなた】⚯  #579

 〈女性に対するけんじょう的なにんしょう代名詞〉の意。



━─━─ № 2-33 (352) ─━─━

  〖さしつかえる〗(ワア下一段動詞)


つかえる】⚠  #580

 〈不都合になる〉〈人や物事に差し出て邪魔をする〉の意。

 〔閊〕は〈門の開閉を邪魔する物〉の意の国字だが、まさに当該語のために用意されたものと推定される。


つかえる】⚠✗  #581

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈下から差し込んで支える〉のような意となる。

 〔支〕は〈⦅下から持ち上げて⦆助ける〉の意であり、〈邪魔する〉の意は持たない。

 ところで[つかえる]の組成は〔つかる〕であるが、百歩譲って〝間違った仕え方で差し出てしまった〟との解釈ができなくもなく、そして当該表記はもう完全に通用しているので、きょうせいは現実的でないとは思われる。

 ただし個人的には、もにょもにょする。


☞ 中国語においては[差しつかえる]が「ヂーチー」、[差しつかえる]が「ガンラオかんしょうすること〉」になると考えられる。



━─━─ № 2-35 (354) ─━─━

  〖そもそも〗(副詞)


そもそも】【そもそも】【そもそも】【もそも】⚠  #582

 〈もとをただせば〉の意。

 〔も〕との原語を一字集約したものであるため{同の字点}は付かない。



━─━─ № 2-37 (356) ─━─━

  〖まつ〗(タ五段動詞)


つ】  #583

 〈待機する〉の意。


つ】⚠  #584

 〈必要条件とする〉の意。



━─━─ № 2-39 (358) ─━─━

  〖まね〗(サ変名詞)


学得まね】⚯⛏  #585

 〈学び取って習得をすること〉〈習練すること〉の意。

 組成は〔まな〕。


粧得まね】⚯⛏  #586

 〈形だけ似た動作をすること〉〈模倣すること〉の意。


】⚠✗  #587

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈本当に似ている〉のような意となり、強いて当該語義に沿うなら「」となるはず。



━─━─ № 2-41 (360) ─━─━

  〖まねる〗(ナ下一段動詞)


ねる】⚠⛏  #588

 〈学び取って習得する〉の意。

 組成は〔まなる〕。


ねる】⚠⛏  #589

 〈形だけ似た動作をする〉の意。


る】⚠✗  #590

 同義のため遣うことをすいしょうしない。



━─━─ № 2-43 (362) ─━─━

  〖まねざれ〗⛏(名詞)


まねれ】⚠⛏  #591

 〈ごっこ遊び〉〈複数人でなんらかの所作や作業のまねをする遊び〉の意。



━─━─ № 2-45 (364) ─━─━

  〖せりふ〗(名詞)


台詞せりふ】⚯  #592

 〈役に割り当てられた言葉〉の意。


科白せりふ】⚯  #593

 〈役に割り当てられた言動〉の意。


せり】⚠⛏  #594

 〈立場にまられて述べることになる言葉〉の意。

 転じて〈あえて立場とくい違わせて述べる言葉〉の意。


☞ 組成は〝〈言い合う〉の意の「ふ」〟、あるいは〝〈世にひろめる〉の意の「」〟だ、とする説が多数。

 しかしいずれも時代のころにわれていた語とされる一方、室町時代に能楽などについて記述された〝はちじょうでんしょ〟で既に「せれふ」の形で登場しているとのこと。

 かつ、独白などの前者に沿わない「セリフ」が存在するわけだし、だいいち「ふ」の発音は{いう}であって{いふ}ではない。

 また、「当然」から{当前}を経由して「当たり前」にもじったりするほどまでに訓読み語を多数産み出していた時代で、音読み語である後者が登場したのも不自然に感じられる。

 以上からどちらの説も疑わしく、逆に既存の「セリフ」という語に対する当て字なのではないかと想像する。



━─━─ № 2-47 (366) ─━─━

  〖ふざける〗(カ下一段動詞)


ける】⚠⛏  #595

 〈おもしろ半分にたわむれる〉〈人をにする〉の意。


る】⚠✗  #596

 語義不相応のため遣うことをすいしょうしない。

 この表記では〈ウーシャン流のおどけをする(⁉)〉のような意となる。

 そもそもこれは当て字であり、実在地名〝中華人民共和国チョンチンウーシャン県〟由来で、〝中国、チュフゥァイワンが夢の中でウーシャンの神女と契った〟との故事にするともわれており、その前提知識もまた要するもの。

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