第58話 うわぁ〜んですぅ!



『勝負ですぅ!』

「…………うけて、たつ」


 なにゆえ?


 タクトと通信が終わった後、流れでポロンちゃんにも近況報告をしたのがついさっき。

 それで、ポロンちゃんにチャットアプリで『今忙しい?』って聞いたら『暇ですぅ!』って元気の良い悲しい休日宣言されたので、ホロ通信を送った。

 すると、通信して割とすぐに、ポロンちゃんは僕の膝の上でスリスリしてるネマに気付き、なんだそれはと聞いて来た。

 なので僕は、タクトにした説明をもう一回した。つまりネマが戦闘機免許を取ったご褒美なのだと。ネマが正式に僕の妹に成るから、甘やかしてる。そう答えると、ポロンちゃんが何かを我慢する様に暫くプルプル震えた後、『ズルいですぅ!』と叫び始めた。

 そして冒頭だ。

 もう一度言わせて欲しい。


 なにゆえ?


 勿論、挑まれたのは僕じゃない。そして実戦でもない。VRバトルだ。

 申し訳ないけど、僕はポロンちゃんに挑まれてもボコボコに出来ちゃうし、そんなの全然楽しくない。何ならそのままネットで指導が始まって、レッスン料が発生してしまう。

 僕もそんな中途半端な形でお仕事とかしたくない。


『ガーランドサーバーのバトルシティ、モニュメントタワーまで来るです! 一対一ワン・オン・ワンですぅ!』

「…………しょう、し。ねまは、まけない」


 しかし、ポロンちゃんが挑んだのはネマだった。分からない。何が起きたのか僕には全然分からない。

 ネマも何故かやる気だし、ホロ通信で宣戦布告されてニヒル(本人談)に笑い、僕の膝の上から降りてシャムのコックピットへ移動した。全然ニヒルに笑えてなかった。何時も通りに凄い眠そうな顔だった。

 そしてポロンちゃんも、ネマが移動したのを確認すると、『失礼するですっ!』と言って通信を閉じてしまった。


「…………シリアス、何が起きた?」

『不明。シリアスにも分からない。しかし、恐らくは「女の戦い」と呼べる何かが有ったのだと推測される』

「……あれか? ネマがポロンちゃんのペット枠を狙ってた的な」


 あれ? でも勝負を挑んだのはポロンちゃんからだよ?

 ………………まさかっ!? ぽ、ポロンちゃんは、僕が口に出さずともペット扱いされてるのを知ってたのでは!?

 つまり、今から始まるVRバトルのプライベートバトルは、僕のペットに成りたい女の子同士の争い……?

 ポロンちゃん、まさか君が、そんなに僕のペットに成りたいだなんて…………。


「そんな、ポロンちゃんッ…………! 言ってくれれば、ちゃんと首輪もリードも用意してシリアスと一緒に育てたのにッ……!」

『………………シリアスは突っ込まない。シリアスは突っ込まない』


 二○分後。


『うわぁ〜んですぅ!』

「…………しょー、り」


 通信再開。ネマが勝ったらしい。

 ちょっと気になったので、ネマからそのバトルのコードを教えて貰ってアーカイブを探して見た。

 すると、『殺ってやるですぅ〜!』と叫んでウェポンドッグを走らせるポロンちゃんと、真正面から迎え撃つネマが居た。

 ポロンちゃんも戦闘機動が上達してるけど、流石に毎日実機に乗って僕の足に成りながら、都市外で実戦まで経験してるネマには及ばない。

 大きくて的がデカいはずのシャムは、スイスイと右に左にキャタピラを走らせて引き撃ち。シャムも撃たれるけど、避けられる弾はしっかり避けて、無理な物はシャムの装甲を上手く使って軽減してる。

 パルス弾は角度を付けて弾き、プラズマ弾は装甲を削られてもダメージが低い場所で受ける。センスが良い。

 そしてパルス砲とプラズマ砲が束ねられたウェポンバインダーを上手く使って、足元を撃ってウェポンドッグを浮かせるか、ストレートに本体を狙うか、はたまたパルス弾を交えるのか、更にフェイントまで入れて相手へ選択肢を叩き付け、駆け引きを強いる。

 しかも相手の挙動を見てから逆に忖度そんたくする事でネマは後出しジャンケンを成立させてる。

 ネマは長距離砲撃による狙撃は得意だけど、的が近い程当てるのが苦手に成るって言う変な特性を持ってる。けど、それもしっかり理解してるネマは、外しても地面で弾けて敵の体勢を崩せる様な砲撃を心掛けてる。

 うん、何回も言うけどセンスが良い。

 距離を取られると不利だと分かってるポロンちゃんも近付こうとするんだけど、ネマの引き撃ちするコース取りが巧みで、しかも砲撃も自分のコースを守る様に撃っても居て、どうにも成ら無い。

 アーカイブで見るバトルはコックピットの中も見えるんだけど、ネマは終始眠そうな顔で淡々と処理してるのに対し、ポロンちゃんは段々と格の違いを思い知らされたのか半べそをかいてる。

 ああ、ペットっぽい! 凄いペットっぽいよポロンちゃん! わしゃわしゃして慰めたい!


「ネマ、やるじゃん」

「…………ゅんっ♪︎」

『うわぁーんですぅ〜! 負けたですぅ〜! ポロンより小さい子に負けたですぅ〜!』

「……ふっ、しょうし。……ねまは、にぃたんと、いっしょ、おしごと、して、る。げんえき、よーへー。しろー、とに、まけない」


 うん、まぁ、その通りである。

 ネマも既に、殺しを経験してるガチの傭兵だ。八歳とは言え、仕事で殺しが出来る傭兵は一目置かれる。

 そんな相手から容赦無く砲撃されたら、今のポロンちゃんでは勝負に成らない。

 うーん、ネマってさ、本当に傭兵としての才能が凄いんだよね。

 僕みたいなのに初対面から着いて来て人生決めて、戦いにも最初から物怖じしなかった。クソ度胸の持ち主だ。それだけでも上達が早い。

 怯えてなぁなぁにするか、失敗しても良いからガツッと行くか、それだけでも結構違う。

 何より、サヴァンシンドロームっぽい何かで物覚えが鬼程良い。

 僕もネマの事を最初は天才かって思ったけど、その領域に届かずとも間違い無く才能は有る。

 

「しかし、こんなの見るとちょっとウズウズしちゃうよね」

「……にぃたんも、やる?」

「でも、僕がやる時は女装しなきゃだし」

「……………………ゅん? にーちゃ、おんなのこの、かっこー?」


 あー、そう言えばまだネマには見せた事が無いっけ。


「シリアスがね、僕に女の子の服を着せるのが大好きなんだよ」

「…………そなの?」

『肯定。アレは良い物。ネマも見るべき』

「やめて?」

「…………………………(キラキラの眼差し)」

「あーほらーこうなるぅ〜」


 女装しました。ディアラちゃんです。


「…………にぃ、にぃたんっ、かぁいっ♡」

『ディアラちゃんですぅ〜! かぁいいですぅ〜!』

「もうどうにでもしてくれ」


 ほらこうなるーとか言ったけど、これ完全に僕の自爆だからなぁ。誰にも文句言えない。

 ネマには知られてなかったんだから、このままどうにか隠し切れば良かったよ。


「せっかく着たし、憂さ晴らしだ」


 僕は二人に断って、シャムのハンガーに行く。二人は僕のコードからバトルをライブで見るそうだ。さっきまで争ってたのに仲良いなぁ。

 ハンガーに降りると、シリアスはもう準備万端でコックピットを開いて待ってた。アームでかもーんって手招きしてる。サソリなのにカニみたい。

 開いてるハッチのタラップを踏んでコックピットに入る。

 ガーランドに帰ったらスイートソードとのお話しが進むので、このタラップももうすぐ歩き納めかと思うと、少し名残惜しい。

 メインシートに座ったらハッチが閉じて、外からキャノピーも閉まる音がした。

 セーフティロッドを降ろしてモニターを展開。パイロットシステムを立ち上げてホロバイザーもセットする。


「シリアス、ログインして」

『了解。今日はどう遊ぶ?』

「気が済むまでランクマッチ。この機体を動かせる時間も長くないって決まっちゃったからさ、思いっきり行こうよ」


 シリアスがモジュール類を全起動。多分、普段はオフにしてるエフェクターも起動したと思うので、ゲーム内で射撃すると煌びやかなエフェクターが弾けるはずだ。

 ログイン地点は前回落ちた場所か、バトルシティの外で落ちたならシティの入口でログインする。なので今回はシティの端にある練習場にログインした。


『あら? ラディア君かしら? いえ、今はディアラちゃん?』

「お久しぶりです、ポポナさん」


 練習場のインスタンスエリアはフレンドリストからファイルを作って、その中に登録されてる人しか入れない様になってる。逆に言うと、登録されてる人なら何時でもこのインスタンスエリアに入れるので、ガーランドで機乗練習してるポポナさんとカチ会った。


『今はサーベイルから?』

「はい。さっきウチのネマがポロンちゃんをバトルでシバいちゃって」

『あら、それは是非見ないと。後で娘からアーカイブコード貰うわね』


 二、三言話して、それからランクマッチに殴り込むと言ってインスタンスエリアから出た。

 もうボイスチェンジモジュールも作動してるので、僕の声はきゃるっきゃるだし、外見もシリアスの全力演算によってメチャクチャ美少女になってる。


「…………もう、良いや。うん。未だにアローランスさんの動画が伸びてて、ディアラちゃん需要が発生してるから開き直るよ。そんなに僕を見たいなら、見せてやる」


 さっさとシティの中心に移動して、マッチングエリアに入る。そしてさっさとシティバトルに申請して、マッチング。

 二秒程でマッチングして、数秒後に転送される。

 転送先のコロシアムはいつも通りの場所で、正面には緩い戦闘用カスタムがされたデザリアが居た。まぁガーランドサーバーだしね。


『よろしくおなしゃー…………、えっ、可愛ッ!? 嘘っ、動画のッ!?』

「お願いしまーす♪︎」


 どうやら僕を知ってる人らしい。アローランスチャンネルの視聴者か。つまり敵だ、ブッ殺してやる。

 僕はまだレートが低いので、この人も多分まだ強くないんだろう。でもミラーマッチなので、身に成らなくてもちょっと楽しい。

 ホロ通信が切れて、ローカル通信に切り替わる。


『あのっ! ぼ、ぼくアナタのファンでッ……!』

「今は戦いましょ。ね?」


 カウントオーバー。戦闘開始だ。

 最初にまた緩い会話を挟もうとしたので、いきなり撃つのも可哀想か。僕は十二個のペダルから機動交換用のペダルを踏んで、虫脚走行からバーニア機動に切り替え、そして背面後部ブースターを回転させてスロットルを開く。

 ペダルを踏んでスラスターも吹かせ、バックに走ってまず距離を取る。


「撃ちますよ〜」

『え、あ、まっ……』

「待ちません。開幕砲撃は我慢したのでこれ以上は待ちません」


 そして引き撃ち。

 まずコンシールドブラスターを展開してプラズマキャノンを発射。足元を狙って牽制とかせず、本体を狙ってブチ込む。

 相手はそこそこ動ける様で、しかし突然の高速戦闘に着いて来れなくてアームでプラズマ弾を防ぐのが精々。でも咄嗟にアームを火線に差し込めるだけでも結構センス良いよね?

 でも装甲が微妙だったのか、その一撃で右アーム全損。左も損壊してひしゃげてる。


「…………トドメです」

『まっ--……』


 相手がテンパってるので、グラムスターをコックピットに撃ち込んでゲームセット。

 うーん。低ランク帯だと装甲ゲーだなぁ。装甲積まないと開幕コックピット抜かれて瞬殺とか有り得るぞ。


「シリアス、連続申請」

『了解』


 このコロシアムはランクマッチバトル専用エリアだけど、判定はマッチングエリアと同じ扱いだ。なので此処から直通で次のランクマッチを申請出来る。


『質問。ディアラの秘部が反応しないのは何故か』


 秘部とは股間の事かな。て言うかやっぱり知られてた!

 質問は、今回はおっきしなかったね? って事かな。僕だって毎回ビンビンにしてる見境無しじゃないぞ!


「えと、今はもう撮られて無い?」

『肯定』

「えっとね。僕ってほら、戦いが楽しくて気持ち良くなっちゃう困った人でしょ?」

『楽しそうなディアラを見ると心がほっこりする』


 ほっこりされてた。


「それで、シリアスと一緒に戦ってるでしょ? だから、その、シリアスと一緒に気持ち良くなってると言うか…………、その、ちょっとシリアスとえっちな事をしてる気分に成ると言うか…………」


 我ながら業が深い変態だと思う。


『………………つまり、戦いはリアスとディアラの性交?』

「……そん、な、気分、です」


 うわクソ恥ずかしい。自分の性癖を恋人に暴露するとか、恥ずかし過ぎる。


『今回反応が無かったのは?』

「ほら、すぐ終わっちゃったし、苦戦もしなかったでしょ? シリアスと手を繋ぐのも好きだけど、ほんの少しだけ触れ合ったくらいじゃ、嬉しくて楽しいけど、気持ち良くは成ら無いじゃん?」

『理解。つまり、ディアラはもっと強い敵ともっと長く戦い、リアスと濃厚な性交がしたいと』

「ハッキリ言われると恥ずかしくて死にそう…………!」

『要約すると、ディアラはシリアスとハメハメしたいと』

「どっから学んで来るのそんな言葉ッ!?」

『ネットワークは知識と文化とカルチャーの宝庫』


 文化とカルチャーって意味被ってない!? いや言いたい事は分かるけどさッ!?


『…………シリアスは、ディアラがシリアスとのハメハメを喜んでると知り、心がモニュモニュしている。…………この感情は何か?』

「僕に聞かれても知らないよっ!?」


 ぼ、僕だって本当はセクサロイドとか買っちゃってシリアスと本当にハメハメしたいんだぞ! でもそんなの言えないから戦って憂さ晴らししてるんだぞ!

 ちくしょう、僕がVRバトルやると何故か何時も羞恥攻めされるんだ! ちくしょう! 八つ当たりしてやる!


 僕は羞恥で顔を赤く染めながら、次々と対戦相手に勝利八つ当たりして、一気にランクマッチのレートを五○○○まで上げた。アローランスさんと同じくらいだ。バトルランクは四○まで上がったよ。

 その日はネマと病院に行くのも忘れて、とにかく戦った。羞恥心をパワーに変えたからか、全戦全勝。

 夕食時になってリビングに戻ると、ネマが「かっこ、よかた」と褒めてくれた。もうポロンちゃんとの通信は閉じてるらしい。

 あ、うん。でも抱き着かないでおくれ。今は着替えがしたい。男に戻りたい。部屋に帰らせておくれ。

 僕はネマに断って自室に入る。すると中には、メイドシリアスが居た。


「あ、シリアス。リビングに居ないから何処かと思ったら、此処に居たの? …………あれ? バトラは? 居ないの?」


 近くに居るはずのバトラが見当たらず、僕はシリアスに呼び掛ける。するとシリアスは、無表情な顔を一瞬だけドチャクソ可愛い微笑みに変えて、僕に手招きする。

 その笑顔がもう、もう可愛くて、僕は頭がぽわーっとして招かれる。花に吸い寄せられる蝶の如く。

 そしてゆっくりシリアスが僕に手を伸ばすと、ぷにっと、僕の頬に触れる。


 ……………………そう、触れたのだ。


「………………………………ッッ!? ッッッッ!?」


 余りにビックリして後退り、尻餅を着いて更に後退。最後は自室のゲートにゴヂンッと頭をぶつけて超痛い。


「……ふふ、ふふふふ。やっと、同じ目線でラディアにさわれた。シリアスは嬉しい」

「し、シリアスッ!? え、それホログラムじゃないのッ!?」


 シリアスは僕の頬をぷにっとした姿のまま、また微笑んでる。超可愛い。

 けど、何が起きてるのか、僕はマジで分からなくて混乱してる。て言うか入口も何故僕がぶつかって開かない? お前自動ゲートだろ?

 何が、何が起きてる? シリアスがホログラムじゃない? 触れる? シリアス? は? 天国か?


「この身体は、特注したセクサロイド。完全にシリアス用のオーダーをしたので、七○○万シギル程掛かった」

「メチャクチャ使ったねッ!? え、て言うか、えっ!? セクサロイドッ!?」

「そう。ラディアはシリアスとハメハメしたいそうなので、シリアスはこれを買ってみた」


 し、したいけど! したいけども!?


「ちなみに、ギルドに登録した時の面談内容は、シリアスも端末を通じて知って居る。ラディアがその時からセクサロイドに興味を持ってる事も知っていた。なので、用意してみた」

「なんでっ!?」

「疑問。ラディアとハメハメするのに、理由が必要だろうか?」


 え、あ、え? 待って、頭が着いてかない。

 大混乱してる僕に、ホログラムじゃ無くて実態を待ってるメイドシリアスが、ゆっくりと僕に近付いて来た。


「し、シリアス…………」

「シリアスとラディアは夫婦のはず。少なくとも、婚約者である。つまり、何も問題は無い」

「で、でも、ほら、まだ夕食が……」

「ネマには、シリアスとラディアは大事なお話しが有ると伝えてある。料理もリビングのバトラを利用して、いつも通りホログラムのシリアスが用意してる」

「準備万端ッ!? て言うかそっちも使えるのねッ!?」


 目の前まで来たシリアスは、だけど尻餅を着いてる僕に視線を合わせてはくれず、代わりに、ゆっくりとスカートをたくし上げる。

 徐々に、焦らす様に顕になるソックスと、瑞々しい太腿。しかし下着は絶対に見えない絶妙な位置でスカートが上昇を止める。

 これ、この絶妙なアングルも演算で導き出してるでしょ。


「ラディアは、シリアスとハメハメ、したくない?」

「………………………………したいです」


 したいです。めっちゃしたいです。だって僕シリアス大好きだもん。

 僕が白状すると、シリアスは摘んで持ち上げてたスカートをパッと放して、今度こそ僕に目線を合わせてくれた。そしてそのまま僕と殆ど変わらない年頃の女の子として作られた身体で、僕をお姫様抱っこする。

 ふぇぇえ、待ってドキドキしちゃう…………。


「正直、シリアスが現在行って居る行動は、青少年の情操教育には適さない物と判断して居る」


 シリアスが僕をベッドに運びながらそんな事を言う。


「えと、じゃぁ、なんで?」

「不明。強いて言うならば、シリアスもラディアとハメハメしたくなった」

「……うぁ、ぇぇううぅぅ」


 は、はじゅかしぃ……! 照れるぅ、けど嬉しぃ……!


「言い訳をすると、ラディアは既に精神がある程度成熟し、問題無い程度の性知識も持ち合わせて居る。なので、今から行う行為も、問題が無いと判断してる」

「…………と、と言うか、もう僕、どうしようも無いくらいに性癖歪んじゃってるし」

「それも理由の一つではある」


 とす。と、僕は優しくベッドに寝かされた。もうされるがまま。

 自分が何をされるか、今から何が起きるのか、期待しかして無い自分が居る。


「しかし、やはり、シリアスは単純に、シリアスのパイロットを、しっかりと感じて味わいたいと思ったのが、一番大きい。なので、やはり言い訳は言い訳。シリアスはラディアと、シリアスが望むから、シリアスの為にラディアとハメハメする」


 一切の抵抗をしない僕に、シリアスはゆっくりと僕のスカートを持ち上げる。

 ああ、忘れてた。僕今ディアラちゃんじゃん。初体験がこの姿なの? あの、せめて着替え、もしくは脱がせて…………?


 いや、もうそれより。


「し、シリアス…………。優しくして…………?」


 まるで女の子みたいな事を言う僕に、シリアスはまた微笑んで、僕の心臓を締め付ける。

 もうその笑顔を見るだけで、胸がいっぱいになる。


「………………善処する」


 一言だけ。


 その日のシリアスはとても激しかった。


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