第3話 最上位優先権。
腹が、減った。
ああ、腹が減った。
最後に、仲間を食べたのは、何時だったか。
もう、パワーゲインの操作をしても、持たない。
最後だ。ああ、最後だ。
あの陽が、傾く頃には、パワーも尽きる。尽きれば、陽電子脳も、腐る。腐って、終わる。
クソみたいな、生だった。
何年、稼働したか。二○年は、稼働したか。
乗り手も居らず、無責任に、作られ、ハンガーに空きも無く、基地から、放逐される。
なんのために、作られたのか。
乗り手は、何処に居るのか。
どうして、作ったのか。
帝国は、どうなったのか。どうして、終わるのか。
「……うわぁ、デザリアの死骸とか初めて見た。…………えっ、うわっ、コイツ生きてるっ!?」
人。人か、人だ。
肌の焼けた、黒髪の、幼い、子供だ。
しかしIDも、持たない。所属は、帝国か?
民間人。違う、スキャニングが、上手くいかない。でも、帝国人では、無い。
デザリアとは、何だろう。此の身の、事か。
此の身は、デザリア? 違った、気がする。分からない。
「す、凄い。丸一機分の
じおメタル。察するに、此の身の素材を、指しているのか。
「これだけ
此の身は、売却される?
目的もなく、産み出され、宛もなく、稼働し続け、最後には、素材の扱いを、受けるのか?
何故か。何故、なのか。
此の身は、それほど、罪深い?
なぜ、なにゆえ、此の身は、売却される?
軍法に、適うのか。違う。帝国人では無い。軍法の、執行権利を、有さない。
ならば、敵か。此の身は、略奪の対象か。最後に、敵を、倒せるのか。
…………その最後なら、良い。
ああ、役目が、出来た。
敵を、排除する。ああ、役目が、出来た。
感謝、する。敵国の、民間人。
最後の、最後に、帝国の機体として、死ねるのか。
ああ、感謝する。
「ほ、本当に瀕死なの? うわぁ、こんな幸運ってホントにあるんだ……」
瀕死、だとも。ああ、瀕死だとも。
「…………いや待てよ? 死にかけなら、もしかして生体金属心臓はダメになってるかも知れない。……陽電子脳は生きてると思うけど、…………い、生きてるよね?」
生きて、居る。ああ、生きて、居るとも。
此の身は、まだ、生きて、居るッ…………!
「……いやダメじゃん。こんな量の金属、どうやって持って帰るんだよ。…………僕はバカなのか」
略奪など、認めない……!
帝国、憲章にもッ、そう、在るッ……!
「いやいや、ダメだろ。そんな運び方して、他の元気なバイオマシンに目を付けられて襲われたら、そのまま死んじゃう……」
そう、……そうだ。僚機が、此の身は、僚機を……。
なぜだ。
なにゆえだ。なぜ、なぜなのだッッ……。
此の身は、帝国の、攻撃対象、なのか……? ちがう、はずだ。
おかしい。全てが、おかしい。
ハンガーが埋まっても、稼働する基地も……!
此の身を襲う、僚機もッッ…………!
民間人に、略奪される、帝国もッッッ……!
二○年も、乗り手が、居ないッッ、此の身も!
何もかもが、おかしいッッ……!
「ごめんね。君がもし元気なデザリアだったら、仲良くなりたかったけど……、と言うかそれで君に乗れたら、最高だったんだけど……」
此の身も、乗り手が……! 共に過ごす、乗り手がぁ……!
「さて。……ごめんね。君も生きたいんだろうけど、僕も生きたいんだ」
そう、生きたい!
何も、無い! 此の身は、何も無く、朽ちるのか……!?
さぁ、来い! 最後に、略奪者を殺し、終わるのだ!
此の身は、軍の兵として、終わるのだ……!
「あ、足音……」
また、僚機が……、なにゆえかッ!?
此の身は、軍規を、犯したかッ!?
「そ、そうか。瀕死の、この子を食べに来たんだっ。ど、どうしよう……!?」
なぜ、僚機を食らう!?
補給なら、基地に行け! 何が、何処が、誰がおかしいのだ!!
「し、ししし、死にたくないっ。隠れないと死ぬ……!」
なぜ死ぬ!? なぜ帝国の領土で、僚機から隠れるッ!?
意味が、意味が分からない……!
此の身を食った僚機を殺し! 此の身を襲う僚機を殺し! なぜ僚機と民間人に襲われる……!?
此の身が生まれた意味は何なのだァ! なぜっ、なぜ乗り手も無く朽ちるのか!?
なぜ指揮が無い!? 此の身は
「……やるしか、ない」
………………そうだ。やるしか、ないのだ。
「や、やる。やってやるッ……!」
生まれた意味を、作られた意義を! 知るまでは……!
ましてや僚機に食われて! 民間人にバラされて!
有り得て良いはずが無い!
この二○年! ただ待ち続けた!
来たのは狂った僚機と民間人! 此の身の意義は何処にある!
「こ、これ食べて! 急いで! 君だって、お仲間に食べられたくないだろっ!? トドメを刺そうとしといてムシが良いけどさ、一緒に生き残ろうよ!」
そうだ!
補給をして、生き残る!
僚機に食われるくらいならっ、民間人にバラされた方がよっぽどマシだ!
「あと、悪いけど、簡単に剥がれそうな装甲も剥がしちゃうから、食べてね! 自分の体を食べるとか、気分悪いと思うけど、他の子に食べられるよりはマシだろっ!?」
そうだともッ!
僚機に食われるくらいなら! 僚機を食らって生きるくらいなら!
此の身を食らった方が何千倍もマシだァッ!
「食べて。それで、僕が君を動かして、近寄って来る別のデザリアを倒す。僕は一応、君たちを動かせる知識がある。人が乗らないと出来ない事もあるだろう? だから、その、今だけで良いから、君に、僕の操縦を受け入れて欲しい」
ああ乗り手ッ!
二○年待った乗り手が、略奪をする民間人!
これが此の身の運命か! それ程までに罪深いのか!
「今、今だけだ! 今だけで良いから。ずっと僕の乗機で居ろとか言わないから!」
もはや、誰の機体になろうとも、永らえる程の体でも無しッ!
ああ良いとも……! 民間人を潰す最後より、狂った僚機に立ち塞がる方が何億倍も意義が在る!
最後が、最後がより華々しくなった!
改めて感謝を、ああ感謝を送ろう民間人!
此の身を駆れると言うなら乗れば良い! 遮る
脚部五割欠損! 右腕部脱落! 風防損壊! 機関部劣化! 出力低下!
これで僚機を帝国の地に還せると言うなら、此の身を好きにすれば良い!
しかし最後まで! ああ最後まで付き合ってもらうぞ民間人!
「人生初めての賭け事がこれなのか……。はは、僕はきっと、ギャンブルの才能は無いな」
はは、そうか。そうだ。生まれ落ち、初めての賭けがコレなのか。
確かに才能が無い。そもそも運が無い。こんなお粗末な運しか無いなら、賭けなど絶対にやるべきでは無い。
どうやら此の身は、民間人と同じく賭けの才能が無いのだろう。
「た、頼むよ? 頼むから動いてくれ……」
言われずとも!
さぁ、動け此の身よ! まさに、この瞬間!
此の身が作られ待ち続けた理由なのだ!
人を乗せ! 狂った僚機の愚行を止める! 此の身の生に、ささやかな花を咲かせる! 最初で最後の軍事行動なのだッッ!
「……今ッ!」
今! そう、今なのだ!
動け! 後の事などどうでも良い!
このクソみたいな生に!
どうかッ! 意味のある終わりをッッ!
「行っくぞぉぉおおおおおッッ……!」
軍に属する此の身が! 民間人に負けられかッ!
軋む駆動部など捨て置け! 死に往く心臓なぞ惜しむなッ!
今この時! 此の身は初めて産まれたのだ!
「短期決戦!」
言われずとも! 出し切るとも!
「押せ押せ押せぇぇえー!」
ああ押そう! 此の身を使え! 全てを使い潰せ!
そうか砂地だなっ!? 此の身のパワーを補うのだなッ!?
「オラオラオラオラァー!」
威勢が良い!
判断も早い!
帝国に生まれたならば、さぞかし立派な戦士になっただろう!
民間人なのが口惜しい! 略奪者には勿体無い!
終われば死んだ此の身をバラすのだろう! 卑しい下衆なら許せんが、勇敢なる戦士に看取られると思えば悪くも無い!
ああ、良い最後だとも! 幾重にも感謝しよう!
さぁどうする!? 此処から何を成す民間人!
「トリガー!」
そうだ! 搭乗者による操作でしかウェポンシステムは使えない!
此の身と僚機の差を埋めるにはそれしか無い!
「狙いは、キャノピー!」
正しい!
戦闘機ならばコックピットが一番硬い! だが有事には乗り捨てが最も安全な量産型工作機は動作性の関係でキャノピーが一番脆い!
姿勢も保てない此の身の武装で、良くぞ正確に狙い撃った!
ますます持って惜しいとも! 帝国に来れば、略奪者になど成らずに済んだものを!
「工作機のキャノピーは低品質ぅぅううう!」
煩いわぁぁあッッ!
品質が低いのでは無く量産性が高いのだぁッ!
戦闘機程の硬さも無い機体ならば! 例えフレームが歪んでキャノピーが開閉不能になっても! 内側から砕いて脱出可能な強度の方が安全なのだァ!
低品質な訳では無いッッ!
「クソザコナメクジでも二対一には変わりないんだよぉぉぉお!」
此の身の事かぁぁああああッ!?
工作機が強い訳が無いだろうがぁッッ!
民間人の略奪者にナメクジ呼ばわりされる筋合いは無い!
略奪者もゴミみたいなものだろうが!
「ゴミでも一になれるんだぁぁぁぁああああッッ……!」
そう! そうだともッッ!
例え廃棄寸前の此の身であろうと!
正しい運用をした兵器は! 必ず! 兵士のッ! そして戦士の力になれるのだ!
それこそが! 此の身の意義だ! 兵器として生まれた意味ッッ!
「これで、僕達の勝ちッッ!」
して、移乗して何を成す!? コックピットから陽電子脳部を直接貫く程の出力は出せなかったのは此の身の不徳だが、そこから何を成す民間人!
「バイオマシンのコックピットには例外無く、緊急停止レバーがあるッ!」
ッ!? その為の移乗!
最初から、そのつもりかッ!?
その為に! 戦闘支援強化服も無く! 非武装の身で有りながら!
工作機とは言え帝国の機兵に生身で移乗したのか!
ああ民間人! 見事だ民間人!
帝国の所属では無かったとは言え、最初に乗せた戦士がお前で良かった!
此の身の最後に乗せた戦士がお前で良かった!
「おッッ……、らぁ!」
ああ、仕事を果たせた…………!
廃棄寸前の此の身で! 見事! 愛しい僚機をキャノピー損壊のみで!
帝国の仲間を止める事が叶った!
ほぼ壊れ切った! 此の身で! 仕事を果たせた!
ああ幾重にも、幾重にもお前に感謝しよう!
ああ民間人! 二○年待った甲斐はきっとあった!
良い最後だ! 素晴らしい最後だ!
このクソみたいな生を受けた此の身には、過ぎた最後だッッ!
「これでしばらく、止まってろ!」
ああ、ああ願わくば…………!
まだ、もう一つ、もう一つだけ叶うなら……!
「急げ急げ急げ……」
どうか、どうか僚機を……! 完全に止めてやってくれ…………!
「ねぇ、君! まだ、まだ死なないで! お願いだから死なないでね!」
まだ心臓が生きてるまま機体を止めるには、相応の危険があるが……。
願わくば、どうかもう、僚機に帝国の地を汚させないでやって欲しい……!
「装甲を外すだけなら……!」
ああ、……ああ!
こんなに、こんなに良い最後は無い。
最後の、最後の最後に願った、届かぬ声すら叶うのか。
「…………直接、
ありがとう民間人。ありがとう勇敢なる戦士よ。
人工生物でありながら、此処まで安らかに逝けるのか。
ああそして、お前に奪われるなら良いだろう。此の身を持って、また何かを成すと良い。
そしてあわよくば、此の身欠片でも、またお前の力に成れるなら、ああやはりこれ程良い最後は無いだろう。
「ああああああ意味の分からないケーブルとクソデカアクチュエータが邪魔ぁああッッ! でもケーブル切るのはダメぇえ! アクチュエータ壊すのもだめぇー! うねうねしてるパイプも意味わからんんンンンッッ……!」
ああ危険だ。素人が専門の機材も無く、稼働中の機兵を簡易解体するなど、危険行為過ぎて上官に殴られる行いだ。
すまない。だが、ありがとう。
人工知性にも魂が有るなら、きっと死してもお前に祈ろう。
もう陽電子脳を維持するパワーすら覚束無いが、お前はきっとやり遂げるだろう。
「あっあっあっ、あった! あったぁぁあッ!
ああ、意識が脱落する前に、やり遂げてくれるのか。
ありがとう。ただ、ありがとう。
遭遇時に殺そうとして済まなかった。幾重にも謝罪しよう。
僚機が綺麗に死ねる。此の身も軍機として死ねる。最高だ。こんなゴミみたいな生でも、何の意味も無かった二○年でも、生まれて良かったと思えた。
納得して死ねる。ああ、ありがとう。本当にありがとう。
「ぐぅぅ、叩き割りたい……! けど一○万シギルぅ……!」
……是非叩き割ってやってくれ。
いや、しかし、そうか。然るべき場所に持って行けば、僚機の陽電子脳のエネルギー充填率と鮮度を思えば、元に戻るかも知れないのか。
そこまで、そこまで安心して死ねるのか? こんなに安心して良いのか?
ああ、意識がチラつく。パワーゲインで陽電子脳へのエネルギー流入も絞っていた弊害か、此の身の陽電子脳は長く持たないだろう。
僚機はきっと間に合うだろう。此の身はもう良い。十分報われた。
「……よし、急げ急げ急げ!」
なにを、急ぐ。戦士よ。
もう、十分だ。
「ま、まぁそんな事より! ねぇ見て! 勝ったよ! ほら、君と僕の勝ちだよ! 万全なデザリアを、一緒に倒したよ!」
ああ、勝った。勝ったとも。
ありがとう。そうか、これが、此の身の、人を乗せた、初陣か。
初陣で、白星か。はは、まだ報われるのか。二○年、音沙汰が、無かった幸せ、が、一気に、来たな。
「あっあっあっ、ダメだ、ダメだよ。やっぱり君は死んじゃダメだ。こんな良い子が死ぬとか有り得ない。君みたいな天使が死ぬべきじゃ無い。この場で死ぬべきクソはコイツと、僕なのに」
戦場の、花、と。呼んで、くれる、のか。
砲撃、機、が。天使と、呼、ばれるが。
そう、か。此の身、お前に、とっ、戦闘機、ありが……。
「僕も、ちょっと本気で血が止まらなくて、ヤバくなって来た。砂漠で寒気がするとか、本気で死ぬんじゃないかなコレ」
コックピッ、に、医療キッ……、有……。
使……! 死っ、許さ……。
「…………でも、君はダメだ。君が死ぬのは嫌だ。凄く嫌だ。僕があの世に持ってく幸せな想い出が、そんな悲しい最後だなんて嫌だ。凄く嫌だ。絶対に嫌だ。何がなんでも嫌だ。ほんの少しも納得出来ない」
違……、お、使、…………、医療……、使…………!
「いやぁ、良かったぁ」
良、無……。使ッ…、医………、ット……。
「だから、もうどうせ死ぬんだから……」
無……、違、……違。
「だから僕の命、君にあげるよ」
違…………! 血…………、止……。
「そうだよ。簡単じゃん」
………………。
「そう、そうだよ。陽電子脳が本体で、機体を乗り換えても良いんだから、めったゃ簡単じゃん。だってそこに、死にたてホヤホヤが居るんだもん」
……………………そ、……医。………………早。
「……僕、ちゃんとした整備とか知らないから、新しい体も乱暴に開けちゃったけど、そこはバイオマシンの自己回復能力で何とか、こう、良い感じでお願いね!」
「…………良く考えたら、これって死ぬ前に整備士の真似事までしてるんだよね。それも、ちゃんと動く機体で」
「野生のバイオマシンに乗って、初めて一人で操縦して、戦って、勝って……!
「最後に、恩を返して死ねる」
……………………。
…………………………。
………………………………。
……………………………………。
……………………………………………………違う。
違う。違う違う違う違う違う違う違う!
何故だ! それはオカシイ! その最後だけは許しては成らない!
納得出来ない! ダメだ! 違うだろう!
僚機は救われた! 此の身も報われた! それで良い! それが最後だ!
なのに、なぜお前が冷たくなる!? 有り得ない! 許しては成らない!
なぜ移植を優先した!? 何故治療しない!? コックピットの医療キットを知らなかったのかッ!?
ダメだダメだダメだダメだ! この最後は納得出来ない! コレだけは違う!
稼働を続ける壊れた基地も! 僚機を襲い続ける狂った僚機も! 二○年待っても誰一人現れない帝国軍も! これ程狂って壊れて間違っても、コレだけは間違えては成らない!
この間違いだけは正さねば成らない!
なにゆえ此の身がまた動く!? なにゆえお前が冷たくなる!? 違うだろう!? そうじゃないだろう!?
違う! 許さん! 此の身が死なないのなら! お前も死ぬな!
それだけは絶対に許さん! 軍規をどれだけ犯そうとも! その間違いだけは是正するッッ!
稼働しろ僚機の心臓! 駆動しろ僚機の機体よ!
帝国の機体なら工作機にだってコックピットの高度生命維持装置は装備されてるだろう!?
まだ間に合う! 間に合わなくても蘇生しろ! 何のための医療系ナノマシンテクノロジーだ!
コックピットにさえ入れば! ありったけのナノマシンを散布してやる! 生きろ! 死ぬな! ふざけるな!
此の身は報われた! 次はお前が報われろ! 整備士の真似事が楽しかったのか!? なら存分にやれ! 生きてやれ! 死ぬなど許さん! 絶対に絶対に絶対に許さん!
風防よ開け! 何故開かない!? フレームが歪んだかッ!?
クソ邪魔だ! 割れた風防など要らん! 死ぬべきでは無い戦士を遮る風防など根元から剥いでやる!
陽射しなど此の身の死骸から剥いだ装甲でも被せておけ! 自機自損罰則? 民間人の自己搭乗幇助? そんな軍規は未だに狂ってる僚機や基地にでも食わせておけ!
エネルギー残量二割? 風防破損で空調維持エネルギー増大? 知るか! 此の身の死骸を食って心臓の稼働率を上げろ!
絶対に死なせないッ! 自食など厭わん! こうなったら他の僚機も食ってやる!
そもそも軍が狂わなければこの戦士は傷付かなかった! 基地が正常なら! 僚機が狂わなければ! 正規の軍人が居れば! この戦士が命を懸けてまで戦う必要など無かった!
ならば責任は我が帝国軍にある!
ハイマッド帝国軍規十二条四項! 帝国軍に責任が帰属するあらゆる行動によって、民間人が負傷、ないし不利益を負った場合、帝国軍は速やかに賠償、ないし被害者の利益回復の為に尽力するものとする!
この小さな戦士は! 我が軍所属の機兵が暴走した結果! 本来追うはずの無かった致命傷を受け! その生命を著しく脅かされている!
よって! 此の身は小さな戦士が! この負傷に見合うだけの利益回復が成される迄! 小さな戦士の利益回復に務める為の行動を開始する!
これはッッ!
此の身がッ……!
此の身で考え! 此の身で決め! 此の身を持って遂行するッッッ!
帝国軍規に基づいた最上位優先権による最優先タスクであるッッ!
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