モデルと一般人のちょいキュン話
鮎さん
駅の広告にて
「ねぇ! ねぇ! あった! あったよっ!」
「ほんとだっ! やっと見つけたぁ〜!」
2人のお洒落した女子がキャッキャ見ていたものは日本有数の駅の中にある大きな広告。
とある飲料水の広告のようだ。
「やっぱ陽向くんかっこいい〜!」
「それな〜! 駅まで見に来てよかったね!」
日比谷陽向。 その掲示板にドアップで映るモデルの名前である。最近モデル界に現れた超新星で、少し長い髪にパーマをかけており、前髪は少しセンター分け気味、真っ白でお餅みたいに柔らかそうな肌、優しそうにこちらを見る黒い瞳にスッキリとした鼻。白い背景によく似合う優しそうな雰囲気を醸し出している。
「昨日の夜も陽向くんの動画見てたらあっという間に2時だったよ〜! 声も透き通っててイケボとかこれまで天然水しか飲んでこなかったの!? って感じ!」
「まじそれな〜? っていうか昨日の深夜だけじゃなく今日の朝からずっと見てるじゃん笑」
「アンタも目をぱっちり開いて見てたくせに笑 あぁ、もう陽向くん無しに生きていけないわ〜」
「わかりみが深い〜!」
「ってかてか、写真撮ってもらおーよ!せっかくここまで来たんだし!」
「そだね! 撮ってもらおーか! すみませ〜ん、写真撮って貰えませんか?」
彼女らが話しかけたのは帽子とマスクを付けた高身長の男性で、黒いスキニーパンツに白いシャツを着崩してクリーム色のカーディガンを羽織っている。
「? 俺のですか?」
(え? 俺の・・・・・・? きっと「俺が」の聞き間違いよね・・・・・・)
「はい! お願いします!」
「分かりました・・・」
「ありがとうございますっ! では、合図をしたらお願いします!」
そしてその女子はスマホをその男性に渡した。
「あの人が撮ってくれるって〜」
「まじ〜? あの人マスクと帽子して怪しくない・・・・・・?」
「大丈夫、大丈夫! 優しそうな声してたし! さっ、広告の前行こっ!」
「う、うん・・・・ そうだね」
彼女らは小走りでその広告の左右に別れる。
「じゃあ、お願いしま〜す!」
そう言って彼女らはポーズを取った。
パシャ
シャッター音が鳴ると、その男性は彼女らたちに近づいていってスマホを返す。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございますっ!」
そうしてその男性は駅の南口方面に歩いていってしまった。
「はいチーズくらい言ってくれてもいいのに〜!」
「そうだよねぇ、でもこれで陽向くんとの写真取っちゃった〜! 最高〜!」
「それな〜! 一生家宝にするわ〜! ねね、写真見せて〜」
「おっけー!」
そう言って彼女らは写真のフォルダを開くと、何枚もある写真の一番最近の所に男性の顔らしき写真があった。
「え、これ、さっきの写真だよね・・・・・・ 内カメと外カメ間違えてるじゃん〜!」
「ほんとだ〜! さっきの人、ちょっと天然過ぎない?笑」
「それな笑 ちょっと可愛いって思っちゃった笑」
「ってかその天然な人の顔見てみよ〜笑」
「おっけー笑」
彼女らの一人がその写真をタップして拡大すると・・・・・・
そこにはマスクを顎まで下げている少し笑顔の日比谷陽向と同じ顔の画像があった。
「え!? 陽向くんの顔!? さっきの人がっ!?」
「私のスマホ画面に陽向くんの笑顔がドアップに!? もう死ねるわ・・・・・・」
「いいなぁ! 後で私にもその写真ちょーだいね!」
「了解〜! はぁ〜、いくらでも見れわ〜・・・・・・ 一生の運を使ったわ〜笑」
「それな笑」
◇
一方その頃、
(モデルの先輩に、ファンは大事にしろって言われてたから写真撮ったけど、さっきの人達、一緒に撮らなくて良かったのかな・・・・・・?結局一人で撮っちゃったけど)
そんなことを思いながら事務所に向かう陽向であった・・・・・・
おしまい
モデルと一般人のちょいキュン話 鮎さん @twiceaswellas
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。モデルと一般人のちょいキュン話の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます