第2話 琉偉(ルイ).ウィリアム.桜木
俺の名前はルイ。
生まれはロンドン、5月6日生まれ。
血液型O型。
父親は祖父が会長を務める航空会社のCEO。母はフランスの広告会社の社長令嬢で政略結婚末に出来たフランスと日系ハーフの一人息子だ。
まぁ、だからといって別に夫婦仲が悪い両親の元に生まれた訳じゃない。
レインのところもそうだが、家族仲は概ね良い方だ。
側から見たら理想の両親、出来た息子の誰もが羨む家族像だろう。
表向きはね。
俺たちは大人達が望む様な「品行方正」な少年じゃない。
そう見せてるだけの狡賢いタチの悪いクソガキだ。10代によくある悪い興味の範囲は一通り済ませてある。
今更どんな悪さをしたかなんて語るのも怠いくらいには嗜んでいるから聞かないで欲しい。
え?婚約者はいるか、だって?
はぁ、初めて会ったのは5歳の時かな。
それから年に一度、親の会社関係のクリスマスパーティーで会ってる。
普通に可愛らしい純血イギリス人のお嬢様だよ。
将来は彼女と結婚するんだから今は自由に他の女の子と遊びたいっていうのは我儘か?
血気盛んな年頃の男子にそんな貞操を求めるのは無理があると思うんだけど、違うか?
まぁ、いいや。
さっきも言ったし、品行方正じゃないって。
悪さをしてもバレなきゃいい、もしトラブっても上手く対処出来れば問題ない。
そうやって束の間の自由を手に入れる方法を教えてくれたのがカナタだ。
カナタが最初に悪巧みを俺たちに享受したのが7歳の時だったと思う。
気に入らないピアノの講師をやめさせる為に俺たちはカナタが考えた作戦に乗った。
当時は幼さからか、それがどんなに醜悪な行いだったかなんて考えもしなかったが、まんまとピアノ講師はクビになった。
今思えば何とも悍ましい行動だったのかと反省はするが後悔はない。
こうしてカナタは幾度も自分や俺たちが有利になる様に頭を使って行動してきた。
監督生になる事も計画の一つだ。
その為の努力を惜しまずに、また俺たちにも同等の努力を強いてきた。
お陰で学園の生徒たちを上手く支配して束の間の自由を手に入れる事に成功した。
カナタを崇拝する学生連中は奴の言いなりだ。夜に俺たちが寄宿舎を抜け出そうとも誰も教師にチクったりしない。
その為の甘い飴もたっぷり用意して、絶対に暴力や権力で他生徒達を支配しなかった。
そうしたやり方もカナタの策略、甘い甘い魅惑の笑顔の下で仄暗い笑みを浮かべる。
そんな恐ろしい男の横に立って、しゃあしゃあとしていられるのもこの世で俺しかいないと思っている。
さて、あまり最初から自分語りをしても興味が薄れると思うから、この辺で次に渡すことにしよう。では、また。
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