第8話 変態の結婚
新王は楽しく遊ぶ少女たちを、その穴から
鼻の下をだら〜んと伸ばしたその顔は、王の権威を
ときどき「なにしてるの?」と、壁の内側を見てしまう少女もいたが、新王は鼻の下と目尻を下げたまま「なんでもないよ。ほら、滑り台をして来なさい」と、優しく言う。
そして「はーい」と、素直にしたがう少女の残り
そして、現在に
王の
それは、この国を囲む森に関係があった。
その太古からある深い森には魔法が息づいていた。
妖精や精霊が
その恩恵に感謝をし、人々は森を大切に扱った。
その森で薬を採取して暮らす人々の中から、魔法の力の影響を直接受ける者が生まれ始める。
その者達は魔法を
その者達と深い森も、人々に感謝の気持ちを持って接し、温かな愛の魔法に
結果、この国の者は男も女も美しい
こうして、心優しく
しかしである。
王が
王には政治から身を引いて
心優しく、少女たちをひたすら愛する王には、それもアリかと思えたが、あくまでも国王の目にかなったことが美少女のブランド力を上げていると知識人たちは見抜いていた。
おいしいところだけを維持して権力を得ようとする、あまりに都合の良い言い分は通るはずもなく、これは
結局、王は利用されただけなのであるが、このような争いが何百年もなかった国の
そして、変態少女趣味の王もしぶしぶだが首を縦に振る。
こうして、お妃探しが始まった。
王は、すでに中年といえる年齢にたっしていた。ひと回り若い娘を探しても、すでに
初婚の王にふさわしい娘はなかなか見つからず、王は胸の底に
ある日、
一族の
その貴族の男は三人の妻を持っていた。
ひと回り以上若い妻たちは、それぞれ子をもうけていたが、三人目の
その娘は、もうすぐ13歳の誕生日を控えており、三年前まで王の秘密の
一度、王の目にかなった少女ならば申し分のない美しさということは理解したが、しかし、13という年齢は、いくらなんでも若すぎる。
父親が幼い娘を差し出すなど、なにか裏があるのではと疑うものと、都合が良いのではと
「家柄は申し分ないな」
「しかし、
「犯罪に近い婚姻に母親が死んでいるのは都合が良いでしょう」
「母親と同じく世継ぎの出産に耐えられないかもしれないじゃないか」
「うまく諸外国から王の
「なるほど、ようは世継ぎさえ残してくれればよいわけだ」
恐ろしく人の道から外れた婚姻だが、肖像画を見た王の「うわ、可愛い」の、一言で決定した。
国外には結婚の発表だけをして、婚礼の儀式に招待しない
諸外国の王達は、この国の美少女たちにメロメロの者ばかりだったので「苦労してますね」と、理解を示し、反対に使者を
結婚式の数日前に、その娘は城に入った。
長い黒髪が美しい少女は、13歳という年齢よりも大人びて見えた。
どこか
しかし、王妃になる娘である。疑いは口に出されることなかった。
結婚式の朝、婚礼衣装に身を包んだ娘は、この世のものとは思えぬほど美しかった。
どこか人生を
この結婚は大成功かもしれない。
家臣の誰もがそう思った。
王自身も、祭壇の前で始めて花嫁を目にした時、人生で始めて女性を意識した。
「それでは誓いのキスを」
これが最初の
キスをする瞬間に
大人びた顔で、しかしギュッと目を
王は生まれて始めてキスをした。
家臣たちはグッとガッツポーズを取り合う。
新郎側も新婦側も参列する家族はおらず、静かな婚礼の儀式は
披露宴の必要もないので、それぞれは自室で夜まで休むことになる。
さて、これからが初夜だ。
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