第34話

2035/11/25(日) 深夜三時 邸宅・C号室 香織かおりアイ


 門のほうで“ドーン”という音が響き渡った。


 音はかなり響いたが、大規模結界が張ってあるのか警察も消防も来ない。


 私は藍を起こしにかかる「藍、襲撃よ、起きて」と静かにはっきりとした声でいった。


「ううん……襲撃ですか?」と藍が起きた。


 藍は黒いトレーナウェア上下だ、防弾防刃チョッキの上衣を渡して「念のためだけど着て」と付けてもらう。




2035/11/25(日) 深夜三時 邸宅・C号室 藍・香織


 どこかで“ドーン”という音が鳴ったような気がした。


「藍、襲撃よ、起きて」と香織さんがいったようだ。


「ううん……襲撃ですか?」と私は寝ぼけまなこをこすりながら起きた。


 少し重いチョッキを渡された、そして「念のためだけど着て」といわれた、とりあえず着ることにする、少し重いけど荷物を抱えているのとそんなにかわらない。




2035/11/25(日) 深夜三時 邸宅・A号室 長良ながら


「どうした?」と俺は守衛室に繋いだ、だが返って来たのは音信不通の“ツー”という音だった。


 窓から確認すると門が突破され、中型の兵員輸送車が三台、流れて入ってきたところだった。


 各客室と重要な所に繋がる有線通話器を取って叫んだ「敵襲! 兵員輸送車が三台入って来てるぞ! 応戦可能なものは応戦してよし!」といった。




2035/11/25(日) 深夜三時 邸宅・客室ロビー 長良・折神おりがみ加藤かとう・ウィル・ラウ


 皆フル装備で出て来た、出て来てないのは香織と藍だけだ。


「ここを中心にガード配置についてくれ」と指示を出した。


「敵は何人だと思う?」と折神にいわれた、それに「多分、三個分隊規模だろう、多くても三十六人くらいだろうと思う」と答えた。


「ここは西側と北側に廊下があるから、ここを本陣として動こう」と俺は続けた。


「分かった、グレネードは痛いのを持って来ていない、上手くするか」と加藤さんがいってコートの中をチラ見せした、重装備だった。


 俺も人のことはいえない、霊太刀を背負い、腰の裏に8357、フダは補充してあって三十枚持っている。


 一番軽装に見えるのは折神だM29二丁と弾薬とスタンバトンだけだからだ。


 ウィルはいつものP100A2と銀コーティングのナイフを抱えているし、ラウも霊武器の青龍刀を背中にかけて背負いM11A2をロングマガジンの仕様にして持って来ている。


 加藤さんもモーゼル新(M712)旧(C96)二刀流だろう、弾の規格は揃えてあるはずだ、それにグレネード十数発だった。


「撃ち下ろしはウィル、北側を加藤さん、折神は西側、ラウと俺は妖魔あやかし相手だ!」と声をかけた、そして無線機を全員に渡した。




2035/11/25(日) 深夜三時 邸宅・客室ロビー 長良・ウィル・ラウ


 ウィルが窓からの撃ち下ろしを開始した、サイレンサーは入っている。


 ここからだと車寄せがよく見えるのだ。


 この邸宅で防弾ガラスを使っていない場所は無い、天窓でさえ防弾なのだ、そしてメイドや執事、コックや庭師に至るまで銃を携行している、銀弾でサイレンサー付きの銃を。


 すでに開戦しているので、吹き飛んだと思われる守衛室はどうか分からないが、庭ではすでに数箇所で交戦が開始されているのが気配で分かる。


 それだけでは足りないと思ったので、目をつむり「貫視!」と術を発動させる。


 どこに敵が何人いて、どう戦況が動いているのか知るためである。


 正面ホールで撃ち合いが始まっている三方向から抑え込んでいる状況だ、まだ敵は玄関を突破できていない。


 ウィルが叫んだ「敵機襲来!」と。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る