第32話

2035/11/25(日)  午後九時十六分 邸宅・客室ロビー 長良ながらアイ・ラウ


 俺は霊刀を抜き切って、鞘をロビーのソファーの上にそっと置いた。


 術も使う、「霊視!」と唱えた。


 一対の黒い翼が男に生えている、コレが黒翼の堕天使かと思った。


 だがラウの一撃が入っているのか足取りがおぼつかない、やるなら今だと思い仕掛けた。


 黒い翼を持つ黒服はラウのほうを向こうと必死になっていて、こちらを見ていなかった。


 俺はそいつの左側から右側へ黒い翼を霊刀で叩き斬りながら抜け、方向転換した。


 そいつは翼を斬られた際大きく叫び、皆の耳に入り皆が駆けつけた。




2035/11/25(日)  午後九時十六分 邸宅・客室ロビー 藍・長良・ラウ


 長良さんは刀を抜き切って、鞘をロビーのソファーの上にそっと置いた、そして「レイシ!」と叫んだ。


 黒い翼を持つ黒服はラウさんのほうを向こうと必死になっていた。


 長良さんが左側から右側へ黒い翼を刀で斬りながら抜けて、方向転換し剣線を向けた。


 黒い翼を持つ黒服は翼を斬られた際に恐ろしい“グルアァァァァァァッ!!”という叫び声をあげた、その叫び声がみんなに聞こえたのか、みんな出て来た。




2035/11/25(日)  午後九時十七分 邸宅・客室ロビー 長良・藍・香織・折神・加藤・ウィル・ラウ


 俺は壁際でそいつに正対していた、俺の右側にラウ、その後ろに藍、その後ろにウィルが出て来た。


 黒服は翼が落ち、ただの黒服になっていた。


 そいつを囲むように、香織、折神、加藤さんが出てきている。


 黒服は憤怒の形相で俺を睨んでいて、ラウへの注意が疎かになっていた。


 香織は剣を伸長させた、折神がスタンバトンを抜いた、加藤さんがアセイミーナイフを抜く。


 そしてラウが仕掛けた、軽い跳躍で真上から一点百会ひゃくえいた。


 その瞬間! 黒服が膝を折って、ロビーに押し潰された。


 ラウは空中で器用に向きを変え折神の前に着地した。


 黒服は気の直撃を受けたのかピクリとも動かなかった。




2035/11/25(日)  午後九時十七分 邸宅・客室ロビー 藍・長良・香織かおり折神おりがみ加藤かとう・ウィル・ラウ


 長良さんに黒服の敵意は向いていた、黒服は翼が落ちて、ただの黒服になっていた。


 そいつを囲むように、香織さん、折神さん、加藤さんが出てきた。


 黒服は憤怒の形相で長良さんを睨んでいて、他への注意が疎かになっていたのだろう。


 香織さんはどうやったのか分からないが短い短剣を伸ばして見せた、折神さんが短い黒い棒を抜いた、加藤さんが大振りのナイフを抜く。


 そして私の前に居たラウさんがフッと消えた、かなり凄い跳躍で真上からつついた。


 その瞬間! 黒服がロビーの床に押し潰された、何が起こったのか分からなかった。


 ラウさんは向きを変えて、折神さんの前に軽やかに着地した。


 黒服はもう動かなかった。




2035/11/25(日)  午後九時十八分 邸宅・客室ロビー 藍・長良・香織・折神・加藤・ウィル・ラウ


 ラウさんは器用に黒服を、動けないように縛り付けていた。


 みんなは武器をそれぞれ仕舞ったみたいだった、香織さんの長剣も短くなったみたいだ。


 どうなってるんだろう? 恐怖よりも興味のほうが勝った。




2035/11/25(日)  午後九時二十分 邸宅・客室ロビー 長良・折神・加藤・ウィル・ラウ


 括られたて寝ている黒服を窓のない空き部屋に置き、尋問タイムに移行した。


 見ていて聞いていて気持ちのいいモノではないので、香織と藍には席を外してもらい、いったん香織の部屋に入って香織に遮音の結界を張ってもらっている。


 そして尋問が始まり……比較的短い時間で終わった、メイドに頼んで検非違使が来るまで監禁しておいてもらうことにした。


 ここのメイドに一般の経歴のヤツはいない、皆軍上がりだ、そういう意味では保険になった。




2035/11/25(日)  午後九時二十分 邸宅・C号室 藍・香織


「空き部屋に入って、皆さん何をするんでしょう?」と私は香織さんに聞いた。


「見ていて、聞いていて気持ちのいいものでは無いわね、尋問って」とサラリといわれた。


「でも、聞かないと分からないことのほうが多いから、必要なの」とも答えられた。


「素直に話してくれれば尋問は必要ないんだけど、普通は自分の素性や情報は重要であれば重要なほど話さないでしょう? だから尋問なの」と答えたのだった。


 それ以上は私でも分からなくもない、映画などのワンシーンだからだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る