第27話

2035/11/25(日)  午後三時三十一分二十秒 邸宅・テラス 長良ながらアイ香織かおり折神おりがみ加藤かとう・ウィル・ラウ


 俺はフダ五枚をぬえの周囲に投げ、五芒星の位置に展開させ「不動陣!」と唱える。


 鵺が顔をしかめ何かにあらがうように、後退しようとしたが、すでにできず、藻掻もがき苦しんだ。


 結界の中に居て術法を使える術士は限られる、腕がいるのだ。


 もちろん不動陣の中に入って行動するのにも腕がいる、香織はその典型だ現に不動陣に踏み込んで鵺の尻尾の蛇を斬り飛ばした。


 ウィルも不動陣に踏み込んで、プレッシャーに耐えつつ鵺の右腕に勇猛果敢に斬りつけた、どうやら銀でコーティングしているらしい。


 折紙は脇腹に三連射して大穴を開けにいった、44マグナムの銀弾だからかなり効いたろう。


 加藤さんは狙いすまして、鵺の左目を射抜いた、さすがだ。


 左側に回り込んだラウは折神と射線が被らないように、真横から胴体狙いで集弾させた、あの暴れ馬M11A2でよくやる。


 俺は不動陣を維持するべく、集中する。




2035/11/25(日)  午後三時三十一分二十秒 邸宅・テラス 藍・長良・香織・折神・加藤・ウィル・ラウ


 私は一旦つむってしまった目をおそるおそる開きつつ、戦いを見た。


 長良さんがおフダを投げた、ひらひらではなく、シュッと飛んで行き獣の周囲に散る。


 長良さんは「フドウジン!」と叫んだ、その瞬間おフダが落ちたと思われる位置から光の細い線が立ち昇り白い幕のようなものが獣を包んだ。


 獣が顔をしかめその白い幕にあらがうように、動こうとしたがその場で藻掻もがき苦しんだ。


 香織さんは獣の後ろで剣を振ったようだったが、白い幕にさえぎられてあまり見えなかった。


 ウィルさんも白い幕の中でナイフを振るっている。


 折神さんはさっきよりも少し前の位置で“ズドン、ズドン、ズドン”と三連射した。


 加藤さんは、よく狙って撃ったようだった、だけど私からはどこにあたったのか、そもそも当たっているのか分からない。


 ラウさんは左側に辛うじて見える、“ダダダダダダダダダダダダダダダダダ!!”と音を響かせた。


 長良さんは何かに集中していた。




2035/11/25(日)  午後三時三十一分三十秒 邸宅・庭 鵺


 鵺は思考していた、食らい過ぎて脚に来ている、もう耐えきれない、だが逃げられないと。




2035/11/25(日)  午後三時三十一分三十秒 邸宅・テラス 長良・藍・香織・折神・加藤・ウィル・ラウ


 俺は集中したまま追い込みとばかりフダを一枚使って「邪視!」と唱えた後、追撃で式を打った鬼神と呼び出す。


 鬼神が折神の向こう側に出現した。


 ウィルはもう一撃、プレッシャーに耐えつつ鵺の右腕に強い一撃で斬りつけた、鵺の右腕が落ちる。


 折紙は鵺の脇腹に残弾二連射して大穴を拡張した。


 加藤さんはさらに狙いすまして、鵺の右目を射抜いた。


 左側に回り込んだラウは折神と射線が被らないように気をつけながら、真横から胴体狙いで六発集弾させた、M11A2の弾が切れたようだ。


 俺は不動陣を維持するべく、さらに集中しながら鬼神に命じた、斬り倒せと。




2035/11/25(日)  午後三時三十一分三十秒 邸宅・テラス 藍・長良・香織・折神・加藤・ウィル・ラウ


 長良さんは「ジャシ!」と唱えた後、おフダをまた投げた、投げた先は折神さんの前くらいだ、そこに身長五メートルくらいの鬼を呼び出した。


 ウィルさんはもう一撃、獣の右腕に斬りつけた、獣の右腕が落ちた。


 折紙さんは獣の腹に“ズドン、ズドン”と二連射した。


 加藤さんは狙いすまして、獣の目を射抜いたみたいだった、獣は両目から血を流している。


 左側に回り込んだラウさんは、真横から“ダダダダダダ!!”と撃った、あれ? さっきよりも音が少ない。


 長良さんは何かに集中している。

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