第18話

2035/11/24(土)  午前二十三時前 長良さんの隠れ家・客室 アイ香織かおり


「それでは、おやすみなさい」という、香織さんからも「おやすみなさい、また明日」と香織さんと別れる。


 そして部屋に入る。


 窓は閉めてありカーテンも閉めてある。


 そしてトレーナーの上下でベッドに入り、寝るのだ。


 明るい明日を夢見て。




2035/11/24(土)  午前二十三時 セーフハウス・客室 香織


 閉めてあるカーテンを少しだけ開ける。


 異様な気配がするのだ、ベランダには何も居ないが、窓をそっと開け下を覗く、黒服の奴らが三人ほど登って来ていた、異様な気配の元はこいつらだった。


 無言、無表情でM18045クーガーⅡを撃つ、45ACPは当たると機械がおもいっきりハンマーで殴られたようなものとなるのだ、撃ち下ろしで三発、サイレンサーは入れてある、くぐもった静かな音が夜に響いた。


 問答無用で始末した、その三人は滑落していった。


 そのまま、シャツを羽織っただけの状態でリビングまで行くと、長良さんに報告した。


「崖側から来たのか、つうか、なんちゅう格好をしとるんだ……」といわれた。


 報告を終えるとまた客室に戻り寝る態勢に入った、もう変な気配はない。




2035/11/24(土)  午前二十三時十分 セーフハウス・リビング 長良ながら折神おりがみ


 俺たちは小声で話していた「アレが香織の本性だからな、容赦はしてくれないぜ」とぼそぼそと話す。


「いつもながらに恐ろしいですね、表情に出さないんですよね」と折神もぼそぼそと話す。


「しかし崖側か、ネコにゃ見えんな。南側には何も居ないと思ったら、西側から来たか。飛びものは、コントロールにそこそこリソース食われるからきらいなんだよな」と俺は普通の声に戻していった。


「見えるだけいいですよ、俺には耳しかないですから」と折神も普通の声だ。


「違いねえ、ただ本隊は南側から来ると思うが、何時か分からんな」と俺はいった。




2035/11/25(日)  午前二時半分 セーフハウス・リビング 長良・折神・加藤かとう・ラウ・ウィル


「……ってことがありましてね」とさっきの報告をする。


「もう崖下は掃除された後だろうな」とラウはいった。


「俺らは三時半で寝ていいわけですか?」と俺は静かに聞いた。


「それで構わない、特に長良お前は昨日寝てないだろう?」と加藤さんからいわれてしまった。


「バレバレでしたか、加藤さんには隠せませんな」と俺はいった。


「明朝辺りには注意を払っていた方がいいかと、俺ならそこを狙います」と折神がいった。


「では長良ほどうまくはないが、精霊にでも見張らせておこう」というなり加藤さんは短く詠唱して“エアリアル”と呼びだした。


「さすが、気配は分かりますが、見えませんな」と俺はいう。


「風の精霊だ見えたら精霊眼の申請をしなくてはな」と加藤さんがいって“見張って来てくれ”と伝えると、風の精霊が匂い取りの小窓から出て行く気配がした。


「猫は回収します」といって傍にまで呼び寄せる、そして式符に戻した。


「相変わらず見事な腕前だ」と加藤さんに褒められた。


 そして三時半まで話をした後、俺と折神は寝るべく部屋に戻って寝た。




2035/11/25(日)  午前四時 セーフハウス・リビング 加藤・ラウ・ウィル


「そろそろ来るかと思ったが来ないな、西側の件で今日は終いになったか?」とラウに聞く。


「ヘイロンですからね、奴らの中でも意見が分かれることもあるでしょう。特にこの前ボスの一角を潰したところですし、中ボスは一人欠けたと思いますが」とラウの思うところを語ってくれる。


 ウィルはドリンクを出して飲んでいた。


「そいつの味はどんなんだ?」と私は聞いた、時間つぶしの興味くらいに。


「チョコミント味です」と回答が来た。


「意外だなもっと渋い味付けなのかと思ったら、チョコミントか。好きなのか?」と聞いてみる。


「ええ、甘いものは大好きですよ」とウィルにしては意外な、子供のような答えが返って来た。


「子供っぽいな、まさか中身も子供じゃないだろうな?」とラウが聞いた「それは違います」とウィルは即答した。

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