第10話
2035/11/24(土) 午前十時五十五分 長良さんの隠れ家
無事帰って来た、荷物の積み下ろしを手伝おうかと思った。
冷蔵庫に入れる係は長良さんがやっている、そこまでの荷物は無く男性陣だけで行けるから大丈夫といわれてしまったこともあった。
そして私は部屋で買ってきたモノを、開封して直ぐに使えるようにする作業に追われていた。
香織さんは隣の部屋であった、その隣が折神さんが泊るそうで、まだ客室だけでいえば三室ほどあるそうだった。
七人が住めるらしい。
家電も全て揃っていた、まだ今日だが今は不思議な感じはしない。
どこに勤めているとかそういうのはもうどうでもよかった、安心できればそれで……。
2035/11/24(土) 午前十一時五分 セーフハウス・キッチン 長良・折神
「昼の仕込みでもしようか?」と俺がいった。
「昼は何にするんです」と折神が聞いた。
「食って来ても良かったんだが、まだメッセージを読んでないしな。とりあえず、鶏肉の香草焼きを作ろうと思っている」と答えた。
「手間のかかるほうですね。分かりました一旦任されましたので、先にメッセージを」と折神にいわれた。
「分かったココを頼む」といって自室に向かった。
2035/11/24(土) 午前十一時八分 セーフハウス・自室 長良
部屋の鍵を閉めて、部屋そのものを遮音モードにする。
メッセージカード形式の通信媒体を展開する。
これはその時点でのものではなくサーバー上にあるデータにアクセスされており常に情報が最新のものに変わるという意味では良いものであった。
アクセスコードにいつものパスワードをほりこみ、確認する。
やはり文字情報と音声情報であった先に文字情報を読んで顔を
音声情報も開く、アイツが関わっているのかと少し顔を歪め、憎たらしい奴めと思った。
メッセージカードは使い捨てであるため、その情報が漏れることは絶対にない。
2035/11/24(土) 午前十一時十分 セーフハウス・キッチン 長良・折神
「下拵えすまんな、全部やっちまったか」と俺がいってキッチンに戻って来た。
「包み焼風ですよね。包んじまいましたよ」と折神がいった。
「オーブンは温まっているか?」と聞くと「温度管理はいつも通りに」という答えが返って来た。
「では焼きに行くか」といってトングでオーブンの中に四つ入れ込み蓋を閉めた。
「焼き加減は頼んだ」といって荷物の中身を出して神棚に霊刀とフダ九枚を置く、ジャケットはすでにかかっているので問題はない。
香織の声がした「これありがとう」とハムスターを返された。
手の中でフダに戻す。
「久しぶりに見たけど、すごくいい手際ね。なんで普段使わないの?」と、いわれたので「めんどくさいからな」といって区切り「藍はどうだ?」と聞いた。
「今は落ち着いているけど、いつかは話さなきゃならないのよ?」と、いわれるも「もう少し安心できる環境を維持してやりたい」と伝えた。
「アレは落ち着いてても辛いだろう。そこはよく分かってるんじゃないか? 今話したら心が折れてしまいそうだ、もう少し様子を見たい」と伝える。
「副長判断なら従うわ」というと、香織は藍の部屋に向かって行った。
2035/11/24(土) 午前十一時五十分 長良さんの隠れ家・ダイニング 藍・香織・長良・折神
「わあ、すごい」と私は目の間に並んだお昼ご飯を眺めていった。
「二人で腕によりをかけたからな」と長良さんと折神さんが拳をぶつけた。
鶏肉の包み香草焼きにトマトのスープスパゲティが並ぶ、レタスをベースとしたサラダもある。
食べられるかしらと思いながら用意された席に座る。
コレだけ出来て、飾らないのは素敵だと思った。
香織さんもすごく綺麗なのに、飾り気は少ないツンとしたところが無いのだ。
折神さんもそうである、この半分は折神さん作だという。
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