第5話

2035/11/24(土)  午前八時二十分 セーフハウス・リビング 長良ながらアイ


 ダイニングからリビングに場所を移し、さっきの話を再開した。


「買い物の話なんだが、主に食料品を調達し行くんだ、多分着替えとか、そんなに多く持ってないだろう? もしよければ、知人に連絡して一緒に買い物に出られるように調整しようか? 女の子同士のほうが、いいんじゃないかと思ったんだが? 迷惑だったか?」となるべく丁寧を心がけて聞いた。


 そして追加する「藍さえ良ければ、ココに居場所を作ろう。そのために、必要なことだと思うんだ」と後付けとは卑怯だなと思いながらいうのだ。


 デリケートな問題だからだ、こればかりは男の俺だと問題になる。


 そう思ったのでこのプランを考えたのだった。




2035/11/24(土)  午前八時二十三分 長良さんの隠れ家・リビング 藍・長良


 私は長良さんの提案にしばらく考えたのだがいい案が浮かばなかった。


「甘えてもいいんですか? ご迷惑になりませんか?」と聞くことにした。


「デリケートな問題だからね」と長良さんは真剣な顔で答えてくれた。


「数日か数週間か分からないわけだ、着替えは要るだろう?」と真面目に聞かれた。


「着替えは二着くらいしかないので助かりますけどいいんですか?」と答えた。


「構わないよ」と優しい笑みで返された。


 思わず、赤面してしまうところだった。


「買い物の際に友人も来るけどいいかな? ああ、怪しい奴じゃないよ、もちろん」といわれた。


 今の段階で私にはできる事が無く、されてしまうばかりでしかないことはよく分かっているつもりだけどいいのかな? 良くしてくれるのはいいんだけど、裏が無いかなと勘繰ってしまう私もいる。




2035/11/24(土)  午前八時三十分 セーフハウス・リビング 長良・藍


「決まったから、予定を作ろうか」と少し人の好い笑みを作ると、香織かおりに電話をかけた。


 ツーコールで出た『どうしたの? 何かあった?』と聞かれるので詳細を話して協力を求めた。


『そういうことならオッケーだけどその子に確認は取れてるの?』と通話口から音が漏れた。


「大丈夫だ確認は取れている。それに折神おりがみも来ることになっている」と伝えた。


『折神さんと合流していった方がいい?』と聞かれたのであった。


「いやバラバラで、構わない。セーフハウスのほうに居るから、こっちに来てくれ。一度会ったほうがいいだろう」と電話口に答えた。



2035/11/24(土)  午前八時三十分 長良さんの隠れ家・リビング 藍・長良


「決まったから、予定を作ろうか」と長良さんは温かい笑みを作った。


 そして誰かに電話し始めた。


『どうしたの? 何かあった?』と少し音が漏れる、長良さんは丁寧にさっき私にいったことをその人に分かるようにいわれていた。


『そういうことならオッケーだけどその子に確認は取れてるの?』と音が漏れた。


「大丈夫だ確認は取れている。それに折神おりがみも来ることになっている」と伝えていた、おりがみってあの折り紙じゃあないよね。


『折神さんと合流していった方がいい?』とまた少し音が漏れた、どうやら人の名前らしい。


「いやバラバラで、構わない。セーフハウスのほうに居るから、こっちに来てくれ。一度会ったほうがいいだろう」と電話口に答えていた、隠れ家の場所を知っているってことは彼女さんかな?


 そのまま電話を切って、長良さんはこちらに向きなおした。


 長良さんの電話はスマートフォンでは無かった、フィーチャーフォンだが5Gに対応しているものの様だった。


「もう少ししたら、知人いや友人かな、まあ温羅うら香織かおりって子が来る。会ってからのほうがいいだろう。焦っても始まらないしね」と人の好い笑みは崩さずにこちらに話してくれる。


 仮に彼女さんだとしてもいい、でも友達って言ってたけど、どっちだろう?


 香織さんか、どんな人だろう。美人さんなのかなあ。


 たわいのない当たり障りのない話を、長良さんとしていく。


 警戒では無くて気を使って家出周りには触らないように、してくれるのが少しわかって、私の心に少し棘が生えた。


「買い物に行くから、もう一台を出そう」そう長良さんはいった、もう一台って複数車持ってるのかやっぱりただのイケメンでは無かったのね。


 聞きたい心がある一方で、それを聞くとすべてが終わってしまいそうな気がする。


 聞いちゃいけない、と自制する。

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