第4話

2035/11/24(土)  午前八時 セーフハウス・客室→廊下 長良ながらアイ


 さて並べ終わったし、呼びに行きますかね。


 着替えてるとかだとまずいから、ノックからかな。


 ノックを二度、「藍、朝食ができた。食べないか?」と少し大きめにして声をかけた。


「はい、少し待ってください」と中から声が聞こえる。


 ノックして正解かな? と思った。


 家電は揃えてあるから、残りは着替えとか、か。


 デリケートな問題だからなあ。


 香織かおりに聞きたいが、向こうの予定もあるし、なんで知り合いなのか聞かれるとややこしいからなあ。


 病院で知り合った設定で行くか最悪……。


 三十秒ほどしてドアが開いた。


 着替えていたと思われた、服装が深夜と違うと思った。


「こっちだ」といって先を歩いて行く。


「はい」といって後ろをついてくる。




2035/11/24(土)  午前八時 長良さんの隠れ家・客間→ダイニング 藍・長良


 丁度着替えているときに長良さんがやって来た。


 ノックが二度聞こえ、「藍、朝食ができた。食べないか?」と声をかけられた。


「はい、少し待ってください」というしかなかった、着替えの最後の辺とはいえイケメンの前で気は抜けないのだ。


 着替え持っててよかったー、とつくづく思う。


 そして着替え終わり、静かにドアを開けた。


「こっちだ」と長良さんはいって先を歩いて行く。


「はい」といって後ろをついていく、いい匂いが廊下中に広がっている。


 朝食がどんなのか、すごく気になった。


 ダイニングが単独である、ダイニングキッチンになっていなかった。


 広い家であることの証明だといえた。


 広いテーブルの上にトースト一枚と、ベーコンエッグとポタージュ後サラダがあって紅茶が入れてある。


 紅茶はティーパックになっていない茶葉で入れられたものだった。


「さあどうぞ」と長良さんが椅子を引いてくれた。


 そして椅子に座る、長良さんも対面に座った。


 私は少し緊張した、昨日は暗くて見えなかったところも見えるのだ。


 朝の光でイケメン具合がさらに引き立った。


「どうした? 食べないと冷めるぞ?」といって長良さんは食べだした、ワイルドかつ丁寧だ。


「いただきます」といって、私も静かにトーストから食べだした。


 サラダにローストビーフが入っていた、大胆なところもある。


「少し休みが取れたから、必要なモノがあれば買い物に行くけど、そのなんだ……後にするか。今は食べる時だ」と長良さんがいった。


 そして食べだす。


 食事の速度が違うので差が開くのは仕方がない、そう思って食べられるだけ幸せだと思えた。


 昨日助けられていなければ、今日私はここに居なかったかもしれないのだ。




2035/11/24(土)  午前八時十分 セーフハウス・ダイニング 長良・藍


 藍は思ったとおり、食事は香織より遅い。


 運動系と文科系の違いかなとは思うが、俺はゆっくり紅茶を足すと角砂糖を一個シュガートングで摘まんで紅茶の中にそっと入れスプーンで軽く混ぜた。


 動作をいつもの二倍くらいまでゆっくりと動かす。


 それくらいで丁度いいのかもしれないと思った。


 それから少したって、藍が食べ終わった。


「ご馳走様でした」と藍がいった。


 俺はサッと片付けてしまう。


 洗い物も済ませてしまう。


 生活動線と言うヤツだ、それが組み立てやすいのだ。


 藍はまだ緊張しているのか、あまり話さない、まあ昨日会ったばかりですぐに仲良くなるのは難しいのだと思う。




2035/11/24(土)  午前八時十分 長良さんの隠れ家・ダイニング 藍・長良


 私はまだ食事を終えていないが、男の人は食事が速いようでもうゆっくりと紅茶を飲んでいる。


 でもさっき、いい淀んだのはなんだったんだろう?


 と思っているうちに私も食べ終わった。


「ご馳走様でした」という。


 待っていたかのように、長良さんが手早く順よく片付けて行く、洗い物もしっかりと手早い手伝う暇もなく終わってしまった。


 緊張が解けなかった、まだ緊張してる。


 鼓動まで早いわけではないけれども、でも顔は少し赤いかもしれない。


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