お茶目すぎな、おじいちゃんウェイター


イタリア滞在初日の夕食。

らぷんとKはホテルの近くを歩いていると、このおじいちゃんウェイターに、


「兄ちゃんたち、レストラン探してるのかい?

うちの店は今なら空いてるからすぐ入れるよ!

来るかい?来ない理由がないだろ〜!!」


と、半ば強引に客引きに会い、この店に連れ込まれた。


コカコーラのテイスティングが終わった後、おじいちゃんウェイターはらぷんたちのオーダーを聞きに来た。


「で、兄ちゃんたち、注文は決まったかい?」

「俺はラザニアください。Kは決まったん?」

「俺、ミートソースのスパゲッティが食べたい。」

「ほな、スパゲッティ・ボロネーゼください。」

「はいよ〜。ちょっと待っててね。」


おじいちゃんウェイターは厨房に一旦引いた後、パンの入ったバスケットを「はい。」とらぷんたちの机の真ん中に置いて、また厨房内へ消えて行った。


らぷんとKは初めての本場イタリアでのイタリアン。

パスタしか注文してないのに勝手にパンが出てきた…。

らぷんは目の前のKにぼそぼそと相談する。


「なぁ、このパン食べてええと思う?」

「わかんないよ…。」

「これって居酒屋のお通しみたいなもんなんかな?」

「だったら、食べてもいいんじゃない?」

「でもわからんよ!もしかしたら食べたらお金取られるかもよ!」

「じゃあ食べないでおこう。コロッセオの写真みたいに食べたらお金ぼったくられるかもしれからな。」

「ほな、そうしよ。」


相談の結果、食べたら追加料金を取られる可能性があるため、パンには手をつけないことにした。

昼間に会った古代ローマ兵のぼったくり詐欺を引きずりすぎなのである………。


すると常連客の夫婦が店に入ってきて、おじいちゃんウェイターがらぷんたちの隣の席へ夫婦を案内した。

ペチャクチャと楽しそうな話を広げる3人の横で、Kがヒソヒソとらぷんに話し始めた。


「ねぇ、ほんとにこのパン食べちゃダメなのかな?普通、食べちゃダメなものをテーブルに置くか?」

「それもそうやな……。あの人らの話が終わったらおじいちゃんに聞いてみる?」

「そうしよう。」


夫婦とおじいちゃんウェイターが話終わったのを見計らって、「Excuse me…」とおじいちゃんウェイターに話しかける。



「このパンって、食べてもええ?」



ブッッッッッ!!!!!


おじいちゃんウェイターと隣の夫婦が笑いを堪えきれず吹き出していた。


その横でポカン?とするらぷんとK。


「そのパンはサービスだから、食べてもいいよ。」

「そうなんや!ありがとう!!」


それから、テーブルに置かれたパンを嬉しそうにがっついて食べるらぷんとKを見て、3人はニコニコ笑っていた。


それからおじいちゃんウェイターは夫婦にもパンのバスケットを持ってきて、そして夫婦に向かって大きな声で言った。



「このパンは食べてもいいですよ!」



ブホォォッッッッ!!!!!!


夫婦はまたゲラゲラ笑って、奥さんなんて目に涙を浮かべながら、テーブルをバンバン叩いて笑っている。


らぷんとKは何がそんなにおもろいんやろう?と不思議に思っていると、旦那さんが話しかけてきた。


「君たちはイタリアには初めて来たのかい?

どこから来たの?」

「日本から来たんよ。今日イタリアに着いたばっかりなんよね〜」

「そうか!じゃあ、良いことを教えてあげるよ!

イタリアのレストランでパスタを頼んだら、パンがサービスで付いてくるんだ!だから食べても大丈夫だからね」


そうなんや…知らなんだ…


旦那さんが笑いながら、らぷんたちに優しく教えてくれる様子を見ていたおじいちゃんウェイターは、ゲラゲラ腹を抱えて笑っていた。


………………。

アンタ、そうゆうことは、はよ言えやっ!!!


パンを食べながら、恥ずかしさで顔を赤くしたらぷんたちに、おじいちゃんウェイターは「こいつらは、イジりがいのある奴らだ」と狙いを定めていた。




隣の席の夫婦とらぷんたちがお喋りしているうちに、おじいちゃんウェイターが料理を持ってきた。

らぷんの前にはこんがり焦げたチーズがとろけた美味しそうなラザニアが置かれた。

その一方でKの前には……


「はっ…………!?これだけっ!?」


白く丸いお皿の真ん中に、スパゲッティが一筋だけ乗っていた。


「では、どうぞ。Bonapetti!!(召し上がれ!!)」

「Grazie!!(おおきに!!)」


ものすごく良い笑顔で悪ノリを発揮するおじいちゃんウェイターとそれに便乗するらぷん。



「ちょっ……ちょっ!待てよぉっっ!!!」



額に冷や汗をかいて、Kはあの名セリフを言い放つ!

まぁ、イタリア人のおじいちゃんウェイターは全くわかんないけど…。

らぷんは慌てふためくKを見て、ニヤニヤしながらラザニアを頬張っていた。


「ん?どしたん?」

「どしたん?じゃない!俺のスパゲッティがこれだけなんだけど!!」

「K、知らんの?本場イタリアでスパゲッティ言うたら、パスタ一筋のことを指すんよ」

「あるわけないだろっ!そんなこと!!」


なんでこいつ、ツッコミが全部キ○タクなんwww


おじいちゃんウェイターに遊ばれたKを見て、らぷんは笑いすぎてラザニア食べれなくなるし、隣の夫婦もKの慌てふためく様子を見て、お腹を抱えて笑っている。


すると、そんな様子を厨房から見ていたおじいちゃんウェイターがようやくちゃんと盛り付けられているKのスパゲッティを、ニヤニヤした顔で持ってきた。


「兄ちゃんたち、面白いな〜

厨房から反応見せてもらってたわ〜」


ちゃんと自分のスパゲッティが来て安心したのか、Kもゲラゲラ笑う余裕が出来ていた。







美味しいパスタでお腹がいっぱいになったらぷんたちは、素敵なイタリアンジョークで楽しませてもらったおじいちゃんウェイターに珍しいチップを送った。


「「良いご縁がありますように…」」


世界でも珍しい穴の空いた硬貨。

そう、日本の5円玉をテーブルに残してらぷんたちはお店を後にする。


「Have a nice trip!!(良い旅を!!)」


最後にこんな素敵なセリフを残して、おじいちゃんウェイターはらぷんたちを見送ってくれた。


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