テイスティング
テイスティング。
キュポンッ
イタリアのレストランでボトルワインを注文すると、ウェイターが客の目の前でボトルワインを開ける。
そしてワイングラスに1口分だけ注いで、ウェイターはお決まりの台詞を口にする。
「テイスティングをどうぞ。」
お客はワイングラスに鼻を近づけて香りを楽しんだり、天井のライトにグラスをそっと傾けてワイン自体の色を目で見て楽しんだりした後、そっと一口ワインを口に含む。
「これはとても美味しいワインね。」
お客がワインのコメントをウェイターに伝えると、「ありがとうございます。」とウェイターは一礼した後、1杯目のワインをグラスに注ぐ。
まるで映画のワンシーンのようなこのやりとりが、イタリアのレストランでは日常茶飯事だ。
プシュッ…
ウェイターがボトルを開けると、先程までボトルに詰められていた炭酸が勢いよく抜ける音が聞こえる。
ウェイターはらぷんとKのワイングラスに一口分だけ注ぐ。
「テイスティングをどうぞ。」
らぷんとKは香りや色なんか全く気にせず、勢いよく一口で飲み干す。
「お味はいかがでしたでしょうか?」
「美味い。」
「当然やわ。」
「ありがとうございます。お気に召したようで良かったです。…何せ、世界でこれを知らない人はいませんから。」
「…せやな。」
ウェイターが置いたボトルのラベルにはでかでかと英語でこう書いてあった。
Coca-Cola
「当たり前やろっ!!世界のコカコーラやで!」
「コカコーラは美味い。」
らぷんとKの反応にウェイターのおじいちゃんは笑みを浮かべる。
「喜んでもらえて光栄です。私もウェイターとして長く働いていましたが、ジュースのテイスティングなんて初めてしましたから…。
口に入れた瞬間、風味が変わりましたか?」
「「変わるわけないっ!」」
ワインとちゃうんやからっ!!!
らぷんとKがハモったのを聞いたおじいちゃんウェイターはゲラゲラ笑って、先程とは全く違うフランクな感じになる。
「じゃあ、もう一回テイスティングする?」
「もうせんわっっ!!!!!」
『お茶目すぎなおじいちゃんウェイター』の話に続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます