カラ×ーチョ事変
TARO
第1話カラ×ーチョ事変
中学生の会話、放課後、窓から校庭を三人で眺めながら
「そういえば、この学校にすげえ美人がいるよな。まるで人形みたいな。ハーフなのかな?」
「ああ、三組の、名前は…知らないや」
「おれも思っていたよ。場違いなくらいな。だけど、あまり話題に上らないな」
「あんまり美人すぎるんで、ビビっちまってるんだろうな」
「たぶんそう」
「それか、ポンコツなのかも」
「ポンコツかわいいじゃん! 逆に人気になっているよ」
「だとするとわけありなのかもな」
「わけ?」
「うーん、理由はわかんないけれども、周りがひいちゃうみたいな?」
しばらくして、校庭にその女子が校庭を横切って校門に向かうのが見える。
「あ、みろよ」
「いるじゃん」
「おかえりですか」
「あれ、なんだろ?」
「なに?」
「ほら、あの子が向かっている先にいる、あれ…」
「おむかえの人じゃね?」
「て、ことは家族? なんかでかくないか」
「でかい…確かに。格好もおかしいな」
「おい、なんだよあれ! あの子の2倍はあんじゃん」
「マジかよ…ありえねえ…つーかあれ人か?」
「・・・・・・」
「あのぶよぶよなんだよ…」
「顔みてーの一応確認。ハハハ」
「・・・・・・」
「あ、こっちみた・・・」
翌日の教室。放課後、また窓の外の校庭を見ながら話している。
「あーなんかのど乾いたし腹減った。炭酸でスナック食べたい」
「とりあえず水でも飲めば」
「いまさら蛇口に口つけて飲めっての?」
「だな。うちの学校の水なんかまじーし」
「そういえば小学校のころ、水道の蛇口ごとに味が違うとか言ってる奴いなかった?」
「いたいた。メロン味がするとかな」
「バカだったな。それでがぶ飲みするんだぜ。って、それ俺な」
「俺も俺も」
「カラ×ーチョ食べたい」
「は? なにそれ」
「…? カラ×ーチョ」
「何言ってんの」
「よせよ気持ちわりー。マジで言ってんのか?」
「いや、ワリい、マジでわからねーわ。スナックの名前なんだよな?」
「え? マジですか。引くわー」
「いいから教えろよ!」
「だからあ、ポテトスナックに唐辛子パウダーがまぶしてあって、真っ赤な奴だよ」
「そんなの旨いわけないじゃん」
「何言ってんだか。発売されて何年になると思っているんだよ」
「えー、昨日コンビに行ったけどな。んなもの見かけねーし」
「あるって! あのコンビニだろ? 二人でよく行く」
「そうだよ・・・あれ? 今二人って言ったか?」
「ん? 二人だけど?」
「いや、三人じゃなかったけか?」
「もう一人誰だよ?」
「そうなんだよな。思い出せない。でもいつも三人だったような」
「気持ちわるっ!」
「ごめん、ごめん。変なこと言った。気のせい気のせい」
十年後、会社の食堂。
「そういえば、例のマニュアルどうした?」
「メールに添付するには重すぎるんで、USBに入れて手渡ししようと」
「今、セキュリティうるさいからな、気をつけろよ」
「一応SEなんで大丈夫ですよ」
「お前のそれ旨そうじゃん」
「ただの肉豆腐ですよ。ま、外れってわけではないですね」
「俺もそっちにすりゃよかった。フライ冷めてて最悪」
「有名ですからね。うちの社食のフライまずいの」
「変わってくれていることに望みをかけたんだけど」
「チャレンジャーすね」
「ところで…あそこの空いている席あるだろ」
「はい」
「いつも誰か座ってなかったっけ」
「うーんどうでしたかね。気にもしてませんでした」
「あれ誰だっけな。何かたまに挨拶してたような」
「山脇課長すか」
「山ピーあそこにいるじゃん」
「そうすね」
「まあいいや。それより、いまテレビに映っている白いタンクトップの男誰だ」
「え? 百獣の王のことっすか」
「百獣の王? コンビ名か何かか?」
「いえ、奴が百獣の王ですよ。まさか知らないんですか」
「知らん…初めて見た」
「マジっすか。ひくわー」
カラ×ーチョ事変 了
カラ×ーチョ事変 TARO @taro2791
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