最終話 New Life

生まれてから7年間を経過した。生まれ変わる前の両親と違って、二人とも浮気をしていなかった。お互いにマンネリしないように特別な日に好きな食べ物を提供したり、好きなそうな物を買ってあげたりする。


結婚とは死ぬまで永遠に暮らすので、最初と同じように素敵な花を渡したり、高いレストランに連れてあげたりする必要はない。毎日続けると、だんだん相手に驚かせてあげるようなことを行うのをめんどくさくなる。もうやらなくなってしまうことが多い。しかし、今の両親は忘年会や新入会など大切な時期は必ず参加するが、それ以外は居酒屋に寄らず、そのまま真っ直ぐに家に帰ってくる。


帰ってきた両親は必ず僕を抱っこしてくれる。仕事の疲れが溜まっていても、僕に自立させてあげられるようになってほしいと思い、欠かさずに愛情を注げる。


愛情を注げるとは、甘えではない。甘えは、どんなわがままを言って、自分の欲しい物をもらおうとすることだ。注げる愛情は、欲しい物を手に入れるためにわがままを言うのではなく、子供に肌を触れさせたり、一緒に過ごしてあげたりすることで、信頼関係を築くことができる。そして、自分の存在があると、自分を認め、少しずつ年を取っていくと、両親から離れ、自立していくことができる。


両親は自立にして欲しいという願いを込めているんだ。


毎日、一緒にいる時間があるので、幸せだ。気づくと、もう僕が小学生になっていた。もう小学生か。幸せを感じる時は、時の流れは本当に早すぎる。


どうして不幸は時間が長く感じるだろう。より苦しみを与えるために体の中で長いと思わせるためかな?神様って本当に意地悪だな…


生まれる前の僕は一人も友達はいなかった。いつもいじめられることが多かった。だから、生まれ変わった僕は、友達になれるかなと不安があった。でも両親からの愛情をもう受け止められないくらいたっぷりもらった。だから、僕でも友達を作れる、と心の中で頑張るぞと叫んだ。


最初はぎこちない挨拶をした。声も小さかったので、相手は気づいてくれないかなと落ち込んだ。その時、「おはよう」と誰かの声が聞こえた。すぐに前に向いたら、僕が挨拶した相手だった。挨拶されると思わなかった。よかった。勇気を出してよかった。これからも積極的に挨拶するようになった。最初は声が小さかったが、毎日毎日決まった時間に決まった場所で同じ言葉で何度も話した。少しずつ慣れてきて、次第に発声する声が大きくなってきた。


時々、先生から「最近、大きな声で挨拶してるね。偉いよ」と褒められた。どうでも良いことでも些細なことでも褒めてもらえて何より嬉しい。


一週間くらい経つとクラスに馴染むことができ、友達も作ることができた。


勉強は嫌いが、休憩時間に友達と一緒に校庭で鬼ごっこをしたり、仮面ライダーの話をしたりして充実した生活を過ごした。毎日楽しい。前と全然違う。両親からの愛情のおかげで自分を信じ、勇気を出せたかなと思った。本当に勇気を出してよかった。そして、生まれ変わって本当によかった。


だが…なぜかわからないが、心の底から満足していない…


記憶は霧のようにぼやけている中でもっとも大切にしている相手がいる。どんな顔なのか、どんな相手なのか、どんなタイプなのか、全部わからない。


でも、誰かと一緒に居たような気がする。


「んー誰なのかな?」


時々、誰なのか必死に思い出そうと思った。しかし、なかなか思い出せなかった。


前の記憶は1歳ごろになると少しずつ記憶が曖昧になり、その代わりに新たな言葉を覚えたり、社会性を身に付けたりした。多分、記憶をリセットし、新たな人生へスタートしたと思う。


ピンポーンと玄関チャイムを鳴らした。母より僕の方が反応が早くて玄関のところに行き、ドアを開けた。ドアを開けると、誰かの母と誰かの娘が立っていた。二人の顔は見たことがなかった。誰かの母が何かの箱を持っていた。


僕の目線に合わせるために、誰かの母が腰を下ろした。


「あら、こんにちは。私は佐藤さんよ。昨日、ここで引っ越してきた。隣の家で住んでいるよ。あなたの名前は?」


「あ、えーと、僕は哲です」


「哲さんね。何歳?」


「な、7歳です」


「あら、私の娘も7歳よ。ほら、名前を教えてあげて」


佐藤の母の後ろにモジモジする少女がいた。ほら、前に出てと勧めた。

諦めたような表情になった少女が前に出て、自己紹介した。


「初めまして。私の名前は幸です」


あれ?なんか心がじんわりと温かくなった。なぜか懐かしく感じる。幸さんと会ったこともない。顔も初めて見た。もはや初対面だ。それなのに…


「哲さん、大丈夫?ぼーっとしているけど」


「はっ、大丈夫です!家の近くに公園があります。幸さん、一緒に遊ぼう」


「公園?いいよ!」


笑顔で返事して、ドキッと鼓動が高まった。初対面なのに、まだ小学校1年生なのに、もう一目惚れをした。この人と死ぬまでずっと一緒にいたい。


「幸さん!結婚しよう」


ポカーンと頭を傾けた。そして、ニコッと笑って、うん!と頷いた。


やった!と喜んだ。今まで感じたことのない最大限の喜びだ。あまり嬉しすぎて、自分を抑制する力を失われた。論理的思考ではなく、感じた感情に素直に従い、幸さんの手を繋いで、一緒に公園へ出かけた。


ようやく哲さんの母が出てきた。ペコペコと上半身を何度も倒した。

さっきまでは洗面所で化粧をしていたので、哲さんより遅れてきた。


「こんにちは。ごめん。化粧をしてたので。あれ?哲さんは?」


「私の娘と一緒に公園に行ってたそうだ。そうだ、哲さんが私の娘にプロポーズしました(笑)」


「えぇええ?!恥ずかしい…二人はまだ小さいなのにね…」


「ははは、まだ小学校1年生だけど、二人がいつか大人になったら、多分結婚すると思う。なんか哲さんを見ると、幸さんの旦那さんだ、とビビビときた」


「ふふふ、運命を感じたかな?」


「運命であるのか、運命ではないのか、わかりませんけど、幸さんと仲良くしてくださいね。よろしくお願いいたします」


「いえいえ、私こそもよろしくお願いします」


私の家から去っていく佐藤の母の背中を見て、スパイになったような気分で気づかれないように密かに小さな声で呟いた。


「ふふふ、私はわかってるよ。だってさ、哲さんは輝さん、幸さんはハッピーのよ」


私の義務は、生まれ変わる前に不幸な人生を送った人に生まれ変わった後に幸せな人生を送れるように全力でサポートするのが私の役目であります。


幸さんの家族が私の隣の家に引っ越してきたのは、偶然ではないです。仕事に関するのは、私がお願いをしました。この町に引っ越してくるようにこの会社は良いよ、と勧めておいてと伝えました。佐藤さんの夫に納得させるのは成功しました。


そして、家はいつかここに引っ越してくるかなと予想して、隣の家を全部購入しました。この町に来ると決心すると伺ったら、購入した家を安い値段を付けて紹介してあげました。その結果は、無事に購入してもらうことができました。


次は…ふふふ何も言わなくてもわかりますよね。将来、二人が結婚できるようにどんな苦労があっても私がどこまでも全力でサポートしていきます。


哲さん…いいえ、輝さんとハッピー幸せになってください。


——— END ———




































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BLACK CAT 龍川嵐 @takaccti

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