第4話 懐かしい
ああ…目の前では真っ暗だ。何も見えない。絞首刑で首をやられて、亡くなってしまった…。どうして僕が身近な人に殺してしまったのか納得しないまま、僕の人生を終えた。
僕の人生を振り返ってみると、一つも良いことはなんてなかった。毎日毎日が苦しくて苦しくて、たまらなかった。苦しみから解放したいなと思う時があった。ついに僕は苦しみから解放できて、本当に幸せだ。
ん?体が揺れている?さらに列車の「ガタンゴトン」の音が聞こえる?
あの揺れと音が懐かしいなと、思わずに涙が出ていた。瞼を開けると、学生時代の僕が学校まで通学するときによく利用した列車の中だった。
キョロキョロと周りを見渡すと、誰にもいなかった。僕自身を見ると、学生服を着ていた。横に学生カバンがあった。ああ…懐かしいな…。今の僕は走馬灯でも見ていたかな?
「久しぶり、心翔」
この列車に誰にもいないのに、誰かに僕の名前を呼ばれた。どこにいるのかもう一度見渡すと、向かい席に黒い猫が座っていた。
「え?黒い猫が喋ってる?ん?もしかしたら…ハッピー?」
「そうだ、私はハッピーだ」
さっきに泣いていたが、再び涙が溢れていた。止まりたくても脳は止めてくれなかった。どうして僕は泣いているのかな?だってさ、人生の中で最も大切な相手だ。猫は人間と比べて寿命が短いために自分より早く亡くなってしまった。会いたくても会えなくて寂しかった。だが、ひさしぶりに会えて、本当に本当に嬉しくて涙が溢れながら、ハッピーを抱きしめた。
「会いたかった、ハッピー」
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