第3話 死刑

「殺害事件を起こした岡部心翔———二人以上殺害しましたし、さらに両親を殺害しましたので、尊属殺人になります。無罪になるようなところは全く見当たらないです。だから、あなたは有罪です。刑罰は死刑です」


裁判長に死刑を言い渡された。普通なら納得しない場合は控訴をすることができる。しかし、僕は何も反論しなかった。そして、喚くこともなかった。すんなりに死刑を受け入れた。


「死刑方法は絞首刑であります」


死刑方法は絞首刑だった。ドラマや漫画に載せてあるようなシーンと同じように僕もするか。決して動かされない証拠があるので、死にたくないけど、仕方なく認めた。

1ヶ月後、アイマスクを身につけ、何も見えない状態で、拘置所の職員が絞首刑台に連れていく。絞首刑台まで歩くのに遠くはないが、なんだか遠いような感覚がする。前へ足を動かそうと思っても、足に鉛でも付けているような気がして、重たくて前へ進めない。


職員に絞縄を僕の首につける瞬間に心臓がドクンドクンと心拍数が早くなった。死に対して恐怖感を感じ、体がガタガタと震え、呼吸のリズムが崩れ、過呼吸になった。脳に必要な以上に酸素を吸収しすぎて、二酸化炭素不足で意識が朦朧なった。


分からない。死にたくない。分からない。死にたくない。分からない。死にたくない


目隠しをしているので、周りは見えないが、雰囲気は肌で分かる。もうすぐ死を迎える。


死がわかると、恐怖を耐えられなくてアイマスクが濡れるくらい涙が溢れた。


踏み板が開かれ、絞縄が勢いよく首に当たった。普通なら上手くすれば苦しまずに死ぬことができる。しかし、僕は運悪く頸椎を折ることができなくて、息ができなかった。ジタバタして、苦しみながら徐々に意識が失っていく…。

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