第2話 事情聴取

「なぜ両親と担当先生、友達、同級生を殺害した?」

「…わからなかった…記憶はなかった。ようやく気づいたら、殺人現場に立ってた」

「は?何も考えず、ただ自己満足するために殺したの?」

「……」


今、僕は取調室にいる。向かい席に刑事が座り、事情聴取を行っている。

刑事からなぜ身近な人を殺すなのか?と質問されたが、自分自身も知りたいんだ。残念ながら人を殺したのは、自分自身であるのは事実であった。しかし、殺害する前に僕が何の行動をしたか、何を考えたか、にも覚えていなかった。


最後の記憶は、2日前の夜、仕事帰りでクタクタと疲れた。僕の仕事は、給料は安定にもらえて、リストラされる心配はない先生として働いている。生徒たちにわかりやすく教育してあげ流ことができるか、どうしたら成績を上げることができるか、夜遅くまで授業の工夫を考えた。そのせいで毎日毎日夜遅くまで帰ることが多かった。


帰る先の家は一人暮らしに適している狭くて、ボロいアパートで暮らしている。玄関を開けて、「ただいま」と言っても、誰からの返事は来ない。そう、僕は一人だけ暮らしている。一生懸命に働いても貯まった金額は両親に搾取されてしまう。残りの金額はギリギリまで生活ができるくらいだった。


今月は余裕がないので、夕食を食べるのを我慢した。空腹を耐えるために、帰宅後、すぐさまにベッドに横になり、寝ていた。この後の記憶は全くなかった。


そして気づいたのは、殺人現場でぼーっと立ち尽くす僕がいた。


何も考えていないではない。本当に何の記憶は残っていない。そもそも殺したいという気持ちは一切ない。ないのに、なぜ人を殺したのか、わからなかった。

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