第二十六話  嫉妬

「佐紀君、佐紀君」

「なに?」

「なーんでもないよ」


 嬉しそうに僕の膝の上で笑う銀花。


「ねぇ、佐紀君?」

「何?」

「私、気付いたの」

「何に?」

「私って、すっごく嫉妬深いって」


 ..............そうだね。銀花は暴走しちゃうからなぁ。


「佐紀君が、他のごみと一緒にいると、震えが止まらなくなって不安でたまらないの。触れられでもしたら、私..............おかしくなっちゃう」

「ゴミ、とか言っちゃダメだよ?銀花」

「だって.............」

「だって、じゃないよ」

「い、いひゃい。佐紀君」


 銀花の頬を引っ張りお仕置きする。


「さ、佐紀君は私が他のご.............男の人と喋っていても嫉妬しないの?」

「するけれど、ごみとか言っちゃダメ」

「ふふっ。嫉妬するんだ」


 僕が嫉妬するのが嬉しいのか僕の膝の上で嬉しそうにくねくねしていてまったく話を聞いていない。


「佐紀君が嫉妬しているところ見てみたいかも」

「そんなに?」

「うん。佐紀君が嫉妬しているところ想像できないもん」

「じゃあ、想像でやってみよっか」

「ほんと?じゃあ、お願いします」


 ウキウキ顔の銀花。


 可愛い。


 この可愛い彼女が他の男の人に取られるとなると..............。


「なんで、他の男の人の所へ行っちゃったの?」

「え?」


 自然と涙がでてきた。


「ごめんね。僕、なんかしちゃったのかな。不甲斐ない僕でごめん」

「え、あ、さ、佐紀君?」

「銀花は打ち解けたらすごくいい子だし可愛いから、やっぱり僕とじゃ釣り合わないよね」

「え、そんなことない!ご、ごめんなさい。佐紀君。私が全部悪いの。佐紀君は一番格好良くて、可愛くて、私のほうが釣り合ってないもん。ごめん、なさい。泣かないで。私、他の男なんて大嫌いだし、見てないから。佐紀君、行かないで。だめ、だめだめなの」

「ほ、ほんと?僕の事嫌いじゃない?」

「うん、大好き。愛してるの。ごめんなさい。もう二度と嫉妬してなんて言わないから。佐紀君が泣いていると胸が張り裂けそうなの。私が全部悪いから。本当にごめんなさい」


 銀花も泣き出してしまって、収拾がつかなくなってしまう。

 

 二人で抱き合うこと数分、やっと落ち着き見つめあう。


「私、佐紀君以外の人の事見ていないから、勝手に勘違いしてどこかに行っちゃだめだよ?」

「うん」

「もし、どこかに行っちゃったら.............見つけ出してもうずっと私の部屋に住んでもらうから」

「うん」


 銀花の目が本気だった。


 絶対に捉えて離さない瞳をしていた。


「大好き、佐紀君」

「僕も」

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