第二十五話 

「佐紀君は、悪い子だよね」

「え?」

「私の、佐紀君なのに、どうして他のゴミムシと一緒にいるのかな?」

「で、でもしょうがなくて」

「しょうがないくないよ、許さないから」


 本当に、ダメ。


 許さないから。


「どうしたら許してくれる?」


 ..............不安そうな顔、可愛い。


 どうしようかなぁ。..............そうだ。


「......今、ここでキスをして」


 そういうと、びっくりしたような顔をして、顔を真っ赤にする。


「は、恥ずかしいから。目を閉じてくれると嬉しい」

「分かった、でもあんまり待てないよ?」


 あんまり待たせると..............私が奪っちゃうからね。


 そっと、目を閉じる。数秒後、唇に柔らかい感触が伝わる。


 目を開けると、佐紀君が顏を真っ赤にして顔をそらしている。


 その瞬間、私の感情は爆発した。


「佐紀君、佐紀君、佐紀君、んっ、あっ、ん......................」

「え、あ、んっ、......................」


 佐紀君、可愛い。大好き、大好き、大好き、大好き、大好き。愛してる。


 佐紀君の口内に舌をいれ、犯していく。


 舌を入れ唾液を、佐紀君の胃の中に流し込む。


 私の唾液を、ごくんと飲み干した佐紀君。


 果てしない興奮でくらくらした。


 私色に染めたい、私も佐紀君だけに染められたい。


 私は夢中で、佐紀君の口に舌を入れ、唾液を飲み干し、唾液を送り、愛をささやき続けた。


 続けていくうちに、段々と酔いがさめるように冷静になっていく。


 ..............あれ、私..............。


 目の前にいるのは、私の唾液によってベトベトになり顔を真っ赤にしている佐紀君。


 ..............。


「ご、ごめんなさい。佐紀君」

「え、あぁ、うん。大丈夫だよ」


 私は、何をしてしまったんだろう。


 頭が真っ白になって、佐紀君の事を夢中に求めて跨って、動けなくして。


 ..............嫌われちゃうかな。


 そんな考えが頭を過った。


 嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ。嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌機嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌。


 嫌いにならないで。


 涙が思わず零れそうになった。


「き、嫌いにならないで。ごめんなさい。本当に」

「大丈夫だから、本当に」

「本当?」

「うん。本当」

「本当に本当?」

「うん」


 佐紀君は優しいから、口には出さないだけかもしれない。そんな邪推が私の心の中の隅にいて、信じ切れない。


 そんな私をみて、佐紀君は笑って


「銀花」

「え、な、なに?」

「大好きだよ」

「え、あっ。......うぅ。あっ......」


 私の耳で囁き、耳の中に佐紀君の舌が侵入してくる。


 ものすごい快楽が私の中に駆け巡った。


「大好きだよ。銀花。信じてくれる?」

「う、うん。しんじるぅ。信じるから。もっとして」


 信じる、佐紀君しか信じない。


 他なんてどうでもいいの。


 私が、彼を汚す、求めるのもいいけれど。求められるの.............すっごく好きかも。

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