第七話 予感は当たるもの

 連絡先を交換してから一週間がたった。

 

 あれから、特に何か変わることもなく日々を過ごしていく。


 幸城さんとの連絡もあんまりないというかほぼない。

 

 学校ですれ違い目が合っても、すぐに外されるし、無視されるし。


 …少し傷ついたのは、この際心にしまっておこう。

 

 やっぱり、あの出会いだけでは友達にはなれないよなぁ。


「佐紀、今度の日曜日遊びに行かないか?」

「ごめん、その日丁度予定があって」

「嘘をつくな。面倒臭いだけだろ」

「そんなことないよー。僕も、裕也くんと遊びたかったなぁー」

「その口調やめろ。いらいらするから」


 とどうでも良いような会話を繰り広げる。


「あ、外雨降ってるな」

「あぁ、そうだな」


 雨か。


「どうしたんだ?そんな顔して」

「…何でもないよ。洗濯物干してないよなって思っただけ」

「佐紀は家事やってるもんなぁ。偉い」

「頭雑に撫でるなよ。この残ねんイケメンが」

「誰が残念イケメンだ」


 ……今日は大丈夫だよな。


 すべての授業が終わり、家に帰る。


 帰り道には、いない。


 まぁ、そうか。同じ学校だしいるわけないよな。


 そう思い、家に帰り買い出しに行く。


「今日は…生姜焼きでいいか。簡単だし」


 …大丈夫かなぁ。


 別に僕が気にすることではないのは分かってるんだけれど。


 買い出し帰り、時刻を見ると六時。


「こういう時のスマホだよな」


 と思い連絡をするが三十分経っても連絡が返ってこない。

 

 …見に行くだけ行くか。


 そう思い、僕は玄関を開ける。


 歩くこと数分。


「あの…君、大丈夫ですか?」

「…」


 最初に会った時と同じような虚ろな何も映していないような目で僕を見つめる。


「…あなたは誰」

「僕は通りすがりのおじさんだよ」

「ふふっ」


 

若干笑顔が戻ってよかった。


「風邪ひくよ?」

「別にいい」

「そっか」

「……………どうしてここにいるのよ」

「幸城さんがここにいるから」

「風邪ひくわよ?」

「別にいい」

「……ほんとうにあなたって人は。分かったわ」


 と呆れた顔をしてくれる。


 良かったいつものようになってくれて。


「今日、うち生姜焼きなんだけれど食べる?」

「…生姜焼き」

「うん、って言っても普通のやつだけれど。というか来てくれるとありがたいなぁーって」

「どうして?」

「何となくだけれど、ここに幸城さんがいて元気がなかったら嫌だなって思ってご飯用意しちゃったんだよね」

「…分かったわ。あなたに甘えることにする」

「ありがと、幸城さん」

「…………それはこっちのセリフ」

「何か言ったかな?」

「いいえ、何も」


 二人で同じ帰路に着く。


 幸城さんの顔色は良くなっていた。



 





 

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