第四話 ふにゃふにゃ寝起き

「……何かしら?」

「ほんとに今日泊まっちゃっていいの?」

「あなたが泊っても良いといったのでしょう?」

「それはそうだけれど」


 ……これはほんのさっきの出来事。


『あのさ、もう夜遅いし泊って行ったら?』

「…分かったわ。それじゃあ厄介になります』


 と半分冗談で言った言葉を肯定され今に至る。


「じゃあ、俺はリビングで寝るから、嫌じゃなければ僕のベッドを使ってください」

「さすがにそれは悪いわ」

「お客をソファーで寝させるわけにもいかない。家主の顔を立ててくれ」

「…分かったわ。ありがとう」

「どういたしまして。おやすみなさい」

「…おやすみなさい」


 ……と言っても、自分の家に女の子がいるなんてそうそうないので落ち着かないがどうにかして寝るために無理やり目をつむる。


 羊が一匹。羊が二匹、羊が3匹…………………………………羊が185匹羊が186匹。


 寝れない。


 考え事でもすれば眠れるだろうか。


 そう思い今日のことを振り返る。

 

 何となく気になったから助けただけ。だけれどこんなことになるなんて思ってなくて……。


 …………………………。


 ……………。


 …。


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^


「…母さん」

「…………………。っ…。」


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^



 ピピっという音とともに目が覚める。


 ここは…そうか、確か幸城さんを家に泊めたんだっけ。


 時刻は、五時半。


「さて、朝ご飯とお弁当を作りますか」


 軽く洗顔して、台所に立つ。


「幸城さんって嫌いな食べ物とかあるのかな」


 まぁ…いっか。作るだけ作ろう。

 

 そう思い冷蔵庫の中にある鮭の切り身と…まだ昨日の残りのカレーが…あった。

 

 あと適当にニラと卵のスープでいっか。


 朝ご飯決まり。


 あとはお弁当……うん、これでよし。


 時間を見ると、ちょど七時前だ。


 未だに寝ているのか幸城さんは起きてこない。仕方ない。起こしに行くか。


 まず、一回ドアをノックする。…が反応はなし。


「幸城さん、開けますよー」


 反応はなし。


「開けますからねー」


 そして、開けると僕のベッドでまだすやすやと寝息を立てて眠っていた。


「幸城さーん。起きてください」

「……ん、んぅ」

「……可愛い」


 ダメだ、ダメだ。邪な感情を抱いてはいけない。紳士にスマートに対応するのがジェントルマンというものだろう。


「幸城さーん、朝ですよー。起きてください」

「ううぅ。んぅ。ムリィ」


 結構大きな声で言ってるんだけれどな。


「起きてください」

「いやぁ」


 肩を揺さぶってみるが寝ぼけているのか寝ているのか曖昧な返事だ。


 そうしてかれこれ十分ほど肩を揺さぶったり声掛けをしてやっと起きた。


「……ごめんなさい」

「いや、大丈夫ですよ。可愛かったですし」

「…っ。うるさい!」

 

 と言って恥ずかしがりながら枕を投げてくる。


 ほら、やっぱり可愛い。


 


 

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