キノコとドレスと、躾の魔法。


 (ここは……!?)


 頭がしずみ込むほど、やわらかいまくら。全身を包む、ふわふわした布団。オーロラのようなカーテンに囲まれたこの場所は、ロズリー姫が愛用しているベッドの上。


 (ロズリーの部屋……? あっ!)


 10年前の夢から覚めたアルセムは、意識を失う前に何があったかを思い出し、すぐにガバッと体を起こした。


 (そうだ……! おれは魔女に襲われたんだ! ロズリーは!? あいつはどこにいるんだっ!?)


 カーテンを開け、ベッドから降りる。

 視界に入ってきたのは、エレガントな空間。天井にシャンデリア、床には紅色べにいろ絨毯じゅうたん。白とピンクを基調きちょうとしたロココ調の家具が並び、壁には美術館のように絵画かいがかざられ、バラの花瓶かびんが室内にいろどりを添えている。


 そして、この部屋にふさわしいお姫様の姿が、アルセムの目に映った。アルセムはひとまず安心して、お姫様にった。


 (ロズリー! 無事か! よかった……!)


 向こうもこちらを見て、安心したような笑顔で近づいてくる。

 しかし、護衛ごえい騎士きしとして姫様の身を気遣きづかうような言葉をかけようとした、その寸前すんぜんに。アルセムはあることに気が付いた。


 (ん……? あれ? これ、ドレッサーか!?)


 立ち止まったアルセムの前には、金や宝石で飾られた輝くドレッサーがあった。ドレッサーの鏡の中に、困惑こんわくの表情を浮かべたロズリー姫がいる。

 思わず振り返ったが、そこにロズリー姫の姿はない。しかし顔を戻すと、ドレッサーの鏡にはまだロズリー姫が映っている。

 鏡とは、その正面に立つ人物を、ウソいつわりなく映すものだ。


 「まさか、おれが……」


 アルセムが口を開くと、鏡の中のロズリーも口を開いた。

 間違いなく、声は「おれ」ののどから出た。しかし出たのは、少年の低い声ではなく、少女の高い声。そしてロズリー姫は、「おれ」なんて一人いちにんしょうを絶対に使わない。

 みちびき出される答えは、もう一つしかない。


 「おれが、ロズリーになってる……!?」


 * * *


 「わたしが、アルセムになってる……!?」


 自分のことを「おれ」と呼ぶロズリー姫が、ドレッサーの鏡を見て驚愕きょうがくしていた頃。自分のことを「わたし」と呼ぶ護衛騎士アルセムも、ひび割れた姿見すがたみの前で驚愕していた。


 「そ、そんなっ……けほけほっ! そんなことって……げほっ!」


 場所は、ロシュフォード孤児院こじいん屋根裏やねうら部屋べや

 アルセムが孤児院に帰ってきた時は、この部屋がアルセムの個人スペースとなり、置かれているベッドや姿見などが機能きのうする。普段は倉庫そうことして使われている場所なので、下手にしゃべるとホコリを吸ってしまう。


 (声まで……! わたし、本当にアルセムに……)


 まじまじと姿見を見つめながら、自分の喉のどに触れる。すると、鏡の向こう側にいるアルセムも、自分の喉に触れた。


 (じゃあ、ここも……)


 そのまま手を下へスライドさせ、手のひらを自分の胸に置く。そこには、かつてあったはずのゆたかな胸のふくらみはなく、代かわりに男子特有のかた胸板むないたがあった。ぐっと強く押しても指が沈むことはなく、弾力だんりょくもない。


 (やっぱり、わたしの体とは全然違う……。これが、アルセムの……アルセムがいつも使っている、男の人の胸……)


 最初はかたちを確かめるように慎重しんちょうれ、次は少し荒くゴソゴソとで回し、最後に指のひらで胸の先を何度かそっと突ついた。自身でも触りすぎていることは分かっているが、どうしても気になってしまう。

 本来の自分にはないものが、今の自分の体にはある。15歳の「わたし」にとって、思春期の異性の体は、興味を引くには充分じゅうぶんすぎるものだった。


 (早くやめないと……! こ、こんなこと、してはいけないのにっ……!)


 緊張きんちょうで胸の奥が苦しくなり、口から吐息といきが漏もれる。

 一国の姫として、上品じょうひん清楚せいそ淑女しゅくじょであるようにと厳しく育てられてきた反動か、背徳感はいとくかんというみつの味はどんなお菓子よりもあまかった。


 (もっと見たい……。アルセムが体で感じているものを、わたしも感じたいっ……)


 息苦しさにえかね、ぎゅっと目をつぶる。

 しかし手は止まらない。次なる刺激を求めて、下へとすべり降りていく。そうして手が止まったのは、筋肉が隆起りゅうきしているはら


 (ここも硬い……。あ、服がめくれそう……)


 きたえられた男子の腹筋ふっきん。これも、華奢きゃしゃな女子の体にはないもの。

 ゴクリと生唾なまつばを飲み込む。衝動はもうおさえられない。震える手で服のすそつかみ、少しずつ少しずつ、上へ。もう少しで、本物を見ることができる。心臓がドクンドクンと激しく高鳴たかなる。


 (あっ……)


 おへそが見えた。


 「アルセムお兄ちゃん!! おはようっ!!」

 「!!?」


 突然、背後はいごから聞こえた少女の声。

 アルセムは驚き、首がねじれるような勢いで振り返った。


 「起きてたんだね! 今からみんなで東の森に行くんだけど、アルセムお兄ちゃんも一緒に……って、あれ? 何やってるの?」

 「えっ!? い、いえっ! わたくしは、何もっ……! げほげほっ!」


 姿見の前に立つアルセムは、めくり上げようとしていた服をバッと降ろし、裏返うらがえった声で返事をした。


 * * *


 「ロズリー姫様。今はまだ朝でございます。慰撫いぶの時間はそのくらいにしてくださいませ」

 「し、してないっ! おれは、何もっ!」


 一方で、こちらも全く同じ状況。

 手のひらの上には、豊満ほうまんに膨らんだ乳房ちぶさ


 ロズリー姫は自身の胸からバッと手をはなし、声がする方へと振り返った。するとそこには、メガネをかけた知的な雰囲気ふんいきの女性がいた。


 「うん? だれだ……?」

 「なんと。お忘れなのですか? あなたのガヴァネスであるわたし、シアンの名を」

 「カバナス??」

 「ガヴァネス。王族や貴族の子を教育する家庭かてい教師きょうしのことです」

 「家庭教師の……シアン先生? へぇ、そんな人がいるんだな。おれは城の外で姫を守る護衛騎士だから、城の中にいる人のことはあんまりよく知らないけど……」

 「何をブツブツおっしゃっているのですか? とにかく、あまり時間がありません。すぐにおえをいたしますので、ドレッサーの正面でまっすぐにお立ちください」

 「う、うん。ここに立ってればいいのかな」

 

 シアン先生に言われた通り、ロズリー姫は鏡の前でまっすぐに立った。そして、「お召し替え」が始まるまで、改めて今の自分の服装ふくそうを見ていた。


 (そうだ。この服、ロズリーの……女が着る服だ……。うわっ、なんだか急にずかしくなってきたな)


 フリルで飾られた純白じゅんぱくのナイトドレス。

 高貴こうきな女性の寝間着ねまきとして特におかしいものではないが、ロズリー姫は鏡を直視できないくらいに赤面せきめんしていた。


 「う……。早く、別の服に着替えを……」

 「分かっています。それでは、本日はこちらのお召し物にいたしましょう」


 シアン先生がパチンと指を鳴らす。すると、ナイトドレスが急に輝きだし、ロズリー姫の体は激しい光に包まれた。


 (これは、魔法っ!? シアン先生、魔法が使えるのか!?)


 魔法を使えば、お姫様の「お召し替え」すら一瞬いっしゅんで終わる。光が消えると、ロズリーの服装はまったく別のものに変わっていた。


 (なっ……!?)


 本日の衣装。全体のカラーは、「ロズリー姫」が好むパステルピンク色。

 頭に銀のティアラ。首に黄金のネックレス。オフショルダーでデコルテを強調し、より大きく見せられた胸をリボンがいろどる。そして、特徴的とくちょうてきなのは、パニエでふんわりと丸く膨らんだドレスのスカート。フリルやレースなどの装飾がふんだんにあしらわれ、ゴージャスな雰囲気を演出している。

 大人の美しさより少女的な可愛さに比重ひじゅうを置いた、プリンセスドレスの完成。


 「な、なな、なんだよこれぇっ!!」


 そのドレスは、小さい女の子たちのあこがれ。町で暮らす庶民しょみんの少女なら、誰もがそのはなやかな衣装に目を輝かせる。

 ただ、着せられているのは「おれ」。こんなプリンセスドレスなんかに、憧れはない。恥ずかしさは最高潮さいこうちょうたっしていた。


 「うわぁっ!? ここ、これも、ロズリーの服だっ!! ロズリーのドレスを、おれがっ!?」

 「はい、姫様の正装せいそうです。今日一日はこちらを着ておごしください。それでは、さっそくまいりましょうか」

 「参りましょうって、どこに!?」

 「朝のお散歩ですよ。城内をめぐって、使用人しようにんたちへ『ごきげんよう』と、にこやかにあいさつをするのです」

 「この、お姫様の格好かっこうで!? む、無理だろ、そんなのっ!! そんな恥辱ちじょく、耐たえられないっ! き、着替きがえさせてくれっ!」

 「ダメですよ。どうせ、いつも着ているような短いスカートのドレスをご所望しょもうするのでしょう? あなたは姫なのですから、動きやすさより気品を重視じゅうししていただきたい」

 「違うっ! そうじゃなくてっ! おれは本当は男で……! 護衛騎士のアルセ」

 「おだまりなさい。ワガママは許しません」


 シアン先生は再び魔法を発動した。彼女の人差し指の先に、魔力が凝縮ぎょうしゅくされた小さな火の玉がともる。

 そして、シアン先生がロズリー姫を指差すと、火の玉はヒュンッと素早く飛び、さわぎ立てるロズリー姫の口の中に無理やり侵入しんにゅうしていった。


 「む、むぐっ! ゴクン……!」


 火の玉に熱はない。しかし、それが逆に気味きみの悪さを感じさせた。

 ロズリーは目をキッととがらせ、いきなり魔法をかけてきたシアン先生に抗議こうぎした。


 (おれに何をしたんだっ!)


 と。

 しかし、口から出た言葉は違った。

 

 「わたくしに何をなさったんですのっ!?」


 自分の言いたい言葉と、自分の言った言葉が、重ならない。


 (えっ……!? おれ、今なんて言った!?)


 意識いしき認識にんしきが、ズレる。心にあるのは、今まで感じたことのないような激しい違和感。

 あせほおつたう。ロズリーはもう一度、シアン先生に抗議の言葉をべようとした。


 「で、ですから、わたくしに、何をっ……!」


 気持ちが悪くなり、それ以上は言えなかった。


 (なんだこれ!? どんなにおれの言葉で話そうとしても、ロズリーみたいな話し方に変わってしまう……! これも魔法の力なのか!?)


 ロズリー姫は混乱し、黙ってしまった。

 黙らせたシアン先生は、満足そうに微笑ほほえんだ。


 「しつけ魔法まほうです。私のような家庭教師が、言うことを聞かない子に使う、簡易かんい服従ふくじゅう魔法まほう

 「服従の魔法っ!? わたくしの体を、シアン先生がご支配しはいなされているのですか!?」

 「本来は、もっと幼い子に使うものですけどね。最近のあなたの『おてんば』は、目に余ります。今日こそ、しっかりと礼儀れいぎ作法さほうを身に付けましょう」

 「で、ですから、違うのですっ! わたくしはアルセムという護衛騎士で、本物のロズリー姫ではなくてっ!」

 「おたわむれはそのくらいで。それでは、朝のお散歩に出掛でかけましょう」 

 「い、いやですわっ! こんな格好、誰にも見られたくありませんっ! おやめになってくださいましっ! だ、誰かっ! わたくしの足を止めてーっ!」


 口でどれだけ嫌がっていても、身体は姫として上品ないをしてしまう。きゃあきゃあとわめきながら、ロズリー姫は気品のある女性のような歩き方で前へと進み出した。


 * * *


 こちらは東の森。

 ロシュフォード孤児院の子どもたちが、森の中を自由に歩き回り、薬草や木の実などを採集さいしゅうしている。


 東の森には、「もり」という別名がある。その名の通り、この森には多くの魔物が暮らしている。

 ここでのアルセムお兄ちゃんの役割は、弟や妹たちの身を守る護衛騎士だ。そして、森に入って早々、護衛騎士の出番がやってきた。


 「アルセムに代わり……いや、わたしがアルセムになってるんだから、代わりというわけでもないのかな? と、とにかく、わたくしがみなさんをお守りしますっ! お覚悟かくごなさいませ、魔物さんっ!」

 

 森の広場にて、剣を構かまえるは少年騎士。


 「ましゅー……!」


 相対するは、小さな魔物。頭にキノコのかさかぶっている、幼い女の子のような妖精ようせい。その名は下級かきゅう魔草まそうマシュルン。


 「やぁーっ!」

 「ましゅっ!?」


 ズガァンッ!!


 回避かいひされ、攻撃は当たらず。しかし、少年騎士が振り降ろした剣は、草花を吹き飛ばし大地を破壊した。その威力いりょくに、マシュルンだけでなくアルセム自身も驚いていた。

 

 (なんて破壊力なのっ!? これが、アルセムの肉体から引き出される力……!)


 数多あまたの魔物を討伐してきた男の、歴戦れきせんの剣術。それを手に入れた「シロウト」は、しばらく自分の腕に見惚みほれていた。

 しかし、すぐにハッとわれに返り、首を左右に振った。


 (いいえ、こんなものが当たったら、魔物さんがズタズタになってしまうっ! 制御せいぎょできないわたしが、使うべき力じゃない……!)


 アルセムは静かに剣をおさめると、その場にしゃがんでひざをついた。そして、魔物の前で両手を広げた。


 「魔物さん、驚かせてごめんなさい。さあ、どうぞこちらへ。平和的な解決をしましょう」

 「ましゅ……?」

 

 女性的な慈愛じあいの精神を持つ少年騎士は、魔物を友達としてむかえ入れることを選んだ。その気持ちが伝わったのか、小さな魔物は不安そうな顔をしつつも、トコトコと少年騎士へと近づいていった。

 そして、抱き止める。


 「ましゅ……」

 「ふふっ。魔物さん、あたたかい……」

 「ま……しゅ……」

 「ねぇ、魔物さん。わたし、思うの。ハグは……き合うことは、魔法をかけることなんだって。心にある不安を消して、言葉以上に愛を伝えられる、とても素敵すてきな魔法……」

 「ましゅ! ましゅ、ましゅー!」

 「えっ? あ、ちょっと! 魔物さん!?」


 ポエムのように語りかけるアルセムを無視むしして、マシュルンは何やら騒ぎ始めた。そして、小さな体をモゾモゾと動かし、アルセムの服の襟口えりぐちから中へと侵入した。


 「ふぇっ!? そ、そんなところにっ!? くふふっ、きゃはははっ! く、くすぐったいっ! ダメです魔物さんっ! 早く出てっ! きゃははっ!」


 アルセムは立ち上がり、服の中からマシュルンを追い出そうとした。しかし、マシュルンはそれに抵抗ていこうし、上へ下へ右へ左へと、アルセムの上半身をくすぐりながら、ちょろちょろ逃げ回った。

 そして、ズボンの隙間すきまから下半身へと侵入したところで、マシュルンの動きはピタッと止まった。


 「あぁっ!? そ、そこはいけませんっ!」


 手出しができない。一刻いっこくも早くマシュルンをのぞきたいが、男のズボンやパンツを脱がせたり、男子の下半身をまさぐったりする勇気が、まだ「わたし」にはなかった。

 この場所は安全だと確信したマシュルンは、逃げ回るのをやめ、すやすやと休眠きゅうみんを始めた。


 「どうしましょう……! どうしよう、どうしよう! こんなときって、どうすればいいの!?」


 パニック状態じょうたい

 自分の下半身にさわれないアルセムは、女々しく涙目なみだめになりながら、誰かに助けを求めていた。魔物のあつかいにくわしく、男子の体のことについてもくわしく、困った時はいつもたよりなってくれる、「誰か」に。


 (助けて、アルセムっ……!)


 * * *


 「もぐもぐ……。シアン先生はわないんですか?」

 「気品のある言葉遣いを」

 「あっ! えーっと、シアン先生は、おいにならない……おべにならない? お食べ物をお口におれにおならないんですか? ですわよ?」

 「躾魔法発動」

 「きゃあっ!? し、シアン先生は、おし上がりになりませんの……?」

 「食事をしている場合ではありませんね。あなたの礼儀れいぎ作法さほう見張みはるのにいそがしくて」


 朝の散歩を終えたロズリー姫とシアン先生は、王城おうじょうのメインダイニングルームにて、朝食を「お召し上がりに」なっていた。

 燭台しょくだいが並んだ長いテーブルに、パン、スープ、フルーツなどの料理が次々と運ばれてくる。高貴こうきな姫であるはずのロズリー姫は、まるで庶民の少年のように、カチャカチャと食器を鳴らしながらガツガツと料理を食べ、そのたびに躾魔法を発動させられていた。


 「うぅ……。メシを食うだけで、こんなに苦労するのか。やっぱりおれには合わないな。上流じょうりゅう階級かいきゅうの生活は」

 「姫様、何かおっしゃられました?」

 「お、おっしゃってませんっ。お食事中はあまりおしゃべりをしないのが、お上品なのでしょう?」

 「そうですね。やっと身に付きましたか」

 「チッ……」

 「したちはダメです。はい魔法発動」

 「あててっ! 舌が引っ張られるーっ!!」


 お姫様のさけび声が、城内に反響はんきょうする。

 声や食器の音がよく響くのは、他に人がいないからだ。席について食事をしているのは、ロズリー姫ただ一人だけ。周りでそれを見ているのは、給仕きゅうじの女とシアン先生の二人だけ。

 広さを持て余しているダイニングルームに、ロズリー姫は疑問ぎもんていした。


 「あの……。わたくしの他に、誰かいらっしゃらないの?」

 「と、言いますと?」

 「いや、食事ってさ、みんなで一緒に食べるものじゃないのかなって。たとえば、ロズリーの家族みんなで、とか……」

 「家族みんなで? それは、国王様とおきさき様と第一王女様と第二王女様と第三王女様とあなたの、6人でということですか?」

 「えっ? 6人? ロズリーの父親と母親である2人、と……?」

 「姉である3人の姫様です」

 「さ、3人の姫っ!? ってことは、この国のお姫様は、ロズリーだけじゃないのか!?」

 「今さら何をおっしゃるのですか? あなたは第四王女、ロズリー・ピアメル様ですよ」

 「ロズリーが第四王女!? あいつ、そんなこと今まで一度も……!」


 そして、ロズリー姫は食事の手を止め、深く考え込んでしまった。


 (3人の姉がいることを、おれにかくしてたのか!? でも、どうしてそんなことを……!?)

 

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