第5話 3歳になりました

-side ラインハルト-




 時はたち、両親に協力してもらいながら魔力器官を使いこなせる訓練をして、約2年間。

 もはや俺は完全に夢だと思うことを諦めて、人生を謳歌していた。

 そんな俺は今、新しい生命の誕生の場に立ち会っている。そう、弟が生まれたのだ。



「おぎゃーおぎゃー」



 か、かわいい……。

 弟の名前は、ラリー・ラッキーだ。

 母親と同じ赤色の髪の毛、くりくりした透き通るような青い目、可愛すぎる。

 正直な話をすると、最初弟が生まれると両親から聞いた時、この二人がベッドであんなことやこんなことをやっているのかと想像してしまった。



 いやだって、俺、前世の年齢から合わせると、そろそろ80歳。

 知識もある少年なのだ。目の前の美男美女がイチャコラしてるのかと思ったら、“爆発しろ”と心から願わずにいられなかった。



 そんな気持ちが、一瞬で消し飛ぶほど弟は可愛かった。

 俺は父上と一緒の金髪青眼だが、本音を言えば、赤髪が良かったんだよな。

 赤髪の方が主人公っぽいからだ。

 戦隊ものとかも大体主人公は赤髪だし、ヒーローの色という感じで。

 弟がこの世界でも珍しい赤髪なのを家族として、とても誇りに思うし、生まれてきてくれて本当にありがとうと思う。



 --さて、弟の話で持ちきりだったが、この2年間の俺の話もちょっとしよう。

 まず、コントロールはいまいちだが、神様から貰った能力のおかげでこの年で基本属性だったら、上級魔法まで使えるようになった。

 また、空間魔法、身体強化魔法、回復などの上位属性も初級魔法なら使えるようになった。

 普通、この世界では5歳の時に洗礼を受けるのだが、それまで魔法は使えないらしい。

 うちの親バカな両親のおかげで、もう既に、国中に才能のことが広められてしまったようだ。

 体も成長した。ようやく安定して走れるようになったのだ。身体強化を駆使すると、100メートル7秒くらいで走れる。



 --この2年間、外に出たのはわずかだが、公爵家の領地はとてつもなく広いことはわかった。場所も王都の一等地や交通の重要拠点などだ。

 王族とはいえ、ここまで広大な領地を与えられた父上って一体何者なんだろうと思う。



 母上も父上の功績は父上に話してほしいみたいで、父上も自分の功績をあまり話したがらないからあまりよくわかってない。

 10歳になったら、王立学校に通えるようになるし、冒険者登録もできるようになる。

 どちらにせよ、その時調べられたらいいなと思う。

 それまでは、日々精進していきたい。



 --あと余談だが、俺の性格が変わったのかと思うことが多々ある。前は、慎重で石橋を叩きまくるという感じだった。

 今もその気持ちはあるけど、好奇心や冒険心、誠実心も強く心の中にある。



 これは、子供だからなのか、それとも魂はそのままでも、肉体は両親から受け継がれたものだから両親の性格を受け継いだのか。

 精神も若返っている感じがするしな。

 


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