第3話 なんかすごいことになってた

-side ラインハルト-




「ふああああっ」



 それから、1ヶ月間、夢のような時間が流れていたので、……本当に夢かと思い覚めるまで待つかとぼーっとした日々を送っていた。



 ふっ。どうせこの体では何もできない。

 決して幸せすぎて、思考放棄した訳ではないのだ。

 とはいえ、周りの人たちの生活を観察したり、母親の話を聞いたりする程度はできる。



 なぜかわからないが、俺はこの世界の言語を既に結構取得しているのである。

 前世では物覚えが悪かったのに、赤ん坊だからか?

 暇だし、仕方がないので、今知っている範囲の情報をまとめてみた。



 今世の俺の名は“ラインハルト・ラッキー”というらしい。

 とてもキラキラしている名前に生まれた。早くも名前負けしそうで、胃が痛い。



 そしてなんと、父のエドワードは王族を離脱した元第7王子。

 隣国との戦争において、功績を上げ、ラッキー公爵家として、爵位と広大な領土を与えられたらしい。

 今の国王は彼の兄にあたるそうだ。

 道理でキラキラオーラ全開なわけだ。



 一応、俺にも王位継承権があるみたいだ。あまりにもあれな話だったので、そっと耳を塞ぎ、聞かなかったことした。



 母のレベッカは、由緒正しき、伯爵家の御令嬢だったらしい。こちらも納得の美人だ。

 どうでもいいけど、レベッカの愛称ってベッキーなんだな。覚えておこう。



 この国はハワード王国という。現在の王様はセオドア・ハワード。まだ会ったことはないが、俺の叔父にあたるそうだ。

 そして、俺にも王位継承権があるらしい。

 ぶっ飛んでる〜。これ絶対、あの女神の仕業だな。



 この国の貴族位は上から順に、大公、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の6爵位ある。

 しかし、基本的に大公領は独立した国とみなす場合が多いため、王族の部下にあたるのは、公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の5爵位である。

 その他、世襲制ではないものの、一代限りの準爵位として戦争などで武勲をあげた人がなる騎士爵、官僚など王宮で働く人たちがなる名誉男爵などがあるようだ。



 これらの情報源は全て母だ。

 父や母と仲のいい貴族たちも沢山面会に来るため、その度に説明してくる。

 絵本の読み聞かせではなく、政治関係の小難しい話をしてくる母上。

 うん、こちらもぶっ飛んでる〜。



 まだ、生後1ヶ月のため、寝返りも打てない。外の街の様子や、この世界が日本と違うところとわかるのはそれくらいだ。

 他にも気になるのは、母やメイドなど周りの人たちは、魔法らしきもので、電気や温度を調整しているらしいということだ。

 今は情報不足だが、そのあたりも知りたいと思う。



 それはさておき、なぜかわからないが母親やメイドは俺が「あー」しか発していないのに言っていることを理解できるようだ。



 もしかして、エスパーか?

 気遣いが半端ではない。あ、久々に頭を使って考え事をしていたら急に眠くなっ…、むにゃむにゃ…すぴーすぴー。



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