第255話 はじめての・・・
やっちゃいました・・・・
ただいま絶賛、ベッドの中・・・
ハハハ、楽しかったんだけどねぇ。
知ってました?
流氷の下って、とっても寒いんだよ。
てか、冷たいっ言った方が良いのかな、海だし・・・・
一応ね、空気の球を作って、ある程度暖かくして移動したんだけどね。あと、自分だけで移動するときだって、薄い膜を身体に張って、そこはある程度温めてたつもりだし。
実際、狩り?採取?それとも採掘になるんだろうか。
氷ごとトゲ石の確保をしていたときは、全然寒い、なんて思ってなかったし。
これは、テンション上がってたからってのもあるからなんだろうけどさ。
満足するまで結構な数をゲットして、船に上がってきたら、みんなに驚かれたり叱られたぐらいには、唇が真っ青だったらしい、です。あと顔色とかもひどくって。
「やだなぁ、みんな大げさだし・・・・ハックション!」
甲板でのお小言に、ヘラヘラと笑いながら、そんなことを言ってたら、おっきなくしゃみが急に出ちゃって、そのあと、ものすっごくブルブルと身体が勝手に震えてきちゃったんだ。
びっくりしたよ。
全然意思とは無関係に、むしろ止まれ、震えるな、って必死で自分を叱ったのに、全然言うことを聞かずに、身体の震えがとまらなくなっちゃったんだ。
ひょっとして、はじめてかもしれない。
魔力切れとか、怪我とか以外で、僕が寝込んだのって。いや、そりゃ小さな病気はあっても、なんていうか、こんな・・・
・・・どうやら僕は風邪をひいたみたいです。
お船だしね、一応船医的な役割の人もいるんだ。
てか、うちの商会は、お薬とかも扱ってるしね。
そうそう。薬草取りって、以外と冒険者の仕事としてはメジャーで危険だから、うちのパーティでもそれなりに扱ってるんだよね。
そういや前世の小説では、ぺーぺー冒険者の仕事、みたいな感じだったっけ?薬草取りって。
んなわけないじゃん。
大概の薬になるような植物は、危険な立地に生息してる。そうでないようなのなら、農家さんが栽培してるし・・・
まぁ、町の中や浅い森等、危険の少ない地域に生える薬草なんかの依頼がないわけじゃないけど、そのレベルで依頼が出るようなものでつくれる薬なんてのは、正直村人なら誰だって作れるってものが多いんだ。自分で取ってきて自分で薬にしちゃうから、わざわざ依頼にするほどじゃない。ただ自分で取りに行く時間がもったいないからって理由で出されるレベル。
そもそも秘伝のレシピで作る薬の材料を、気楽に依頼として低ランクの人に任せらるわけないよねぇ、ってことで、多くの場合は、そこそこの依頼料が出た上で、指名依頼だって少なくないって感じです。
ま、うちの場合は、珍しい薬の材料を自分たちで取ってきて、自分たちで製薬・販売まで出来る人がいるからねぇ。
身内大事のうちの商会。
薬を扱う人も一級なら、扱う薬も一級だったりするのです。当然お船にはそんな人材も薬もしっかり、って話。
なぁんて、ベッドの中でくだらないことを夢うつつに考えている僕。
寝たり起きたり朦朧・・・です。
そんなプチ覚醒状態だったんだけど、なんかざわつく感じをキャッチして、意識が覚醒したよ。
何かあった?
「ええ。ダーちゃんが寝てるから、お魚釣りをするんですって。」
と言ったのは、チリカさんだ。
えっと、商会のやり手のおば・・・おねえさん。
もともと、ママが取り戻す前の商会で奴隷をやっていた人だけど、奴隷になる前は、小さな商会のお嬢様だった、らしい。別に商売が傾いたからじゃなく、町が魔物に襲われたあとに通りがかったやばめの商人?に拉致られ売られた、らしい。それを先代?に買われた。
まぁ、その詳細はさておき、そんな感じで、そもそも商売上手。特にお嬢様時代のおうちで扱っていた商品が衣類系だったってことから、貿易でそっち系を担当してくれてるんだ。
で、今は、僕の看病担当で部屋にいた、ってことらしい。どうやら、持ち回りで誰かはずっとそばにいてくれてたみたいです。ありがとね。
ちなみにこのチリカさん、僕のおしめを替えたことがある、って、嬉しそうにいろいろ暴露しちゃう、困った人。アンナよりも年上だし、おっかない系の人、ではある。アハッ、これ内緒ね。
それにしても魚釣り?
「何でも、食材をゲットしないと、って。まぁアーチャ君もそれなりに持ってはいるみたいだけど、ね。」
あぁ、納得です。
護送中の人用に倉庫を開けて僕のポシェットへ放り込んだから、食材も大半は僕が持ってる。僕が寝ていたら取り出せないよねぇ。なんかごめん。
「アハハ、むしろみんな喜んでるわよ。おおっぴらに魚釣り出来るって。ほら、この時期に海だし、悪い人を積んでるし、で、急がなきゃ、って感じだったでしょ?でも、海が冷たいと魚に油が乗っておいしいんだけどなぁ、って未練たらたらの子たちもいるのよねぇ。誰かさんのおかげで、美味しいもののためなら危険は顧みない、なんてお馬鹿さんも多いし?」
「ウッ・・・誰かさん・・・」
「誰とは言わないけど、悪たれひきいて、嬉々として危険に飛び込む考えなしのお坊ちゃんとかねぇ。」
「・・・・」
メンモクナイデス
でも魚釣りかぁ。僕も・・・
「まさか、ダーちゃんも魚釣りやりたい、なんて言わないわよねぇ。まだまだお熱出てほっぺ真っ赤だし?」
「あ・・・アハハハ・・・」
「そうそう。起きたらミミ様が作ったスープを出してもらうように、だって。それぐらいはできるかしら?」
「え?ママのスープ?!」
「連絡取ったら、入れておく、って。」
慌てて、ポシェットを探ると、あ、あった!!
ママのスープだ。
ミルクとバターたっぷり。チーズもきいた僕の好物。
スプーンの背で簡単に潰れるまで根菜を煮込んで、お肉もたっぷりだ。
それが、ひぃふぅみぃ・・・
うわぁ。
船のみんなが3回は食べられる量有るじゃん!
「どう?」
「うんいっぱいあるよ。キッチンに持ってく?」
「いいから、寝てなさい。ちょっと台車持ってくるから、ベッドを離れたらダメよ。」
「はぁい。」
その後
僕が一人でぼうっと転がってると、わぁーーーって歓声が聞こえた。
大物が釣れたんだろうか。
僕も・・・釣りたかったなぁ。無念。
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