第213話 お宿でご飯を食べながら
森の咆哮の皆さんと別れて、チェックインしていた宿へと向かう。
ちにみにグレンはせせこましいのはやだって言って、近くの森へと姿を消したし、マウナさんは遠慮して違う宿を取るみたい。ただでさえ世話になってるのに宿をおごられたくないし、自分で出すには高すぎる、だって。ギルドでリーズナブルな冒険者も多い宿を教えてもらった、プラス、なんかもうギルドで友達作ったみたいで、その人の宿に行くんだって。ひょっとしたら僕らは二人とも男だし、別部屋を取るって言ったのを気にしたのかもしれないけどね。
別部屋を取るって言ったのは、もちろんマウナさんが女の人ってのもあるけど、実は僕がマジッグバッグを使いたいからってのもあります。
トンツーでのお話しは、なんだかんだで普及してきてて、トゼの大商人のところで秘書なんてやっていたマウナさんも知ってたみたい。まだまだ一部のギルドとかタクテリアの公館とかにあるぐらいだけど、うちはなんせ生みの親だし、各船やら支店やら、なんだったら個人用の、なんてのもあったりします。
ただ、相手の魔力を入れた魔石をつかっての念話とか、マジッグバッグなんてのは、超極秘事項。
マウナさんを乗せていたお船では、これらを使うのは難しかったんだよね。
でもそろそろ、ママのご飯とかも食べたいし、狩った魔物のおいしいのとかも食べたいじゃない?
申し訳ないけど別部屋でこそっと食べたいなぁなんて心づもりをしていたりして・・・
まぁそれだけじゃなくて、陛下の依頼書っていうの?レッデゼッサ一味の捕縛依頼を僕たちが受けてるよっていう依頼書、もらってこなくっちゃいけないしね。うん。コレが一番大事です。
てな感じで、まずは夕食。
ママのスープ。根菜たっぷりのが入ってるよ。
暖かいままだといいけど、残念ながら僕のマジッグバッグは急速冷凍仕様。なんせ宇宙空間に放り出すのと同じだからね。
器が壊れないのは謎です。まぁ宙さんのがんばりってことでそこはよろしく。
そして、パンは・・・あっ、ピザだ!
我が家の名物であるチーズをたっぷり使ったピザ。あ、乗っているソーセージも我が家で出してるやつだね。と思ったけど・・・???
なんで黄色いんだろう?新作?まぁ、勤勉なのはいいことです。なになに、ピザのお皿の下に、感想をお願いします、って書いてるよ。新作の試食で間違いなさそうです。それにしても黄色っていうか朱金?ちょっとラッセイを思い出すような色のソーセージ、ビジュアル的にどうなんだろう・・・
他には、定番のピノの唐揚げがあった!
あ、ピノっていうのは空色のウサギ。って言ってもサイズは中型か大型の犬ぐらい。お味は鶏寄りの豚肉?
これらは全部冷凍になっちゃってるけど、こういう高級お宿って室内にちょっとした厨房スペースがあるんだよね。主にお茶とかを入れるためのものなんだろうけど、そこは高級なお宿。普通に煮炊きできるよ。もちろん魔導具で、だけどね。
それと、僕も温め、すっかり上手になりました。
器ごと火魔法とか水魔法なんかを混ぜて使うと、レンジだとかトースターレベルのチン!みたいなことができるんだ。
はじめは爆発したり燃やしたり、割ったり切ったり???
まぁ、いろいろ失敗もしたけど、今ではみんなにお願いされる腕になったよ。でも突然声をかけないでね?びっくりすると爆発しがち・・・・
今日は、アーチャと僕、そしてなぜか姿を見せたエアとキラリン。
4人で食卓を囲みつつ、ドクと念話をしています。
アーチャもエルフだけあって魔力が強いから、僕とドクの会話に入ってこれるんだよね。
話は、僕が陛下の依頼を取りに行くので作ってもらってね、って言うお願いと、今、タクテリアでのレッデゼッサの人たちの状況。そして、こっちで聞いたおはなしとか・・・
ちなみに、南部で捕まえた冒険者と商会の人たちは、現在、王都へ向かって移送中で、南部に遠征していたうちのメンツで、護送任務をやってる最中なんだそうです。
馬車を引いてるのはシューバではなくランセルなんだって。
まもなく王都に着くだろう、って。早いね。さすがランセル。
あと、レッデゼッサのお店はダンシュタもトレネーも、全店閉まっていて、ていうか、憲兵さんとかが閉じていて、お客さん達も大変みたい。
そのとばっちり?で、うちの商会も、忙しいみたいです。
で、今はエッセル島で遊んで・・・じゃない、研究中のカイザーとか、うちの領地に来てくれている鍛冶師軍団が、頑張って初心者から中堅用の武器や防具、道具なんかをせっせと作ってるそう。あ、その回収も僕の任務なんだね、了解です。
僕らからはミゲル商会のことと、ライライさんのことも報告したよ。
ドクってば「ムー・・」ってうなっちゃった。
ライライさんところのおうちは、評議員の中でも重鎮で、僕とセスの関係とか探ってるやっかいなおうちなんだそうです。
セスは正義の味方!みたいなことを言ったところで、人が集まればまぁいろいろいます。当然、評議員の人が送り込んだ人材、なんかも・・・
そもそもセスからも評議員は出てるしね。
ドクのおじさんなんて、ずっと評議員してて、セスにはン百年帰ってない、なんて噂も・・・実際視察レベルでの帰郷はあってもお泊まりすらしてないみたいだけどね。
とりあえず、グイグイくるライライさんに関しては、アーチャが防壁になるように、なんて指示されました。あとは、この村の冒険者なら障壁になってくれる、とも・・・アハハ・・・僕、守られてばっかりでちょっと、ねぇ・・・
ただ、ね、ライライさんはともかく、彼女がこういう風に純粋に(?)僕にグイグイくるのをあえて放置して、僕を僕の意思で取り込めたらめっけもの、ぐらいにおうちの人は思っているんだろう、ってちょっぴり怒ってるみたい。
このことは、陛下達に報告する、って。
外交筋できっちりお話しがされるだろう・・・って、なんか大げさな気もするけど・・・。うんいい子は、大人の話に口は出さないよ?
あとは、ミゲル商会。
ドクの感覚でもうさんくさくとも、初心者にはありがたい商会なので、扱いは難しい、とのことです。なんていっても、対冒険者の商いは商会のごく一部。この国の流通の大きな役割を担っているのだとか。
セスやら、そもそも世界のことを考えると、あの瘴気を使う商売には首をかしげちゃうけどね。これだけは許しちゃダメだと思います。
僕のそんな意見にドクもアーチャも頷いてくれたよ。
セスにしたら、僕よりももっと許せない相手だと思うだろうし、ミゲル商会関連は後を考えずに好きにしたらいいってお墨付きもらいました。
落とし所はドクとかセスがつけちゃうって。いっつもありがとね。
なんて話をご飯食べながらしつつ、魔石が空になるまでつまんないことも含めて話しちゃった。
やっぱり、周りを気にせずいろいろお話しできるのはうれしかったみたいです。
ストレス感じてる、とかは、全然思ってなかったのになぁ。
ともあれ。
明日は、ママのバッグにお昼ご飯のちょっと前に着くように、だって。
ママのところの前に、トレシュクに行かなくちゃ。それとエッセル島ね。
トレシュクにはナハトが、エッセル島にはドクとかモーリス先生とかニーもいるのかな?マジッグバッグを持っている人はそんな感じ。
それぞれの場所で商品をバッグに入れてもらってもいいんだけど、取り出す前に一度それぞれのバッグのフォルダーを共通部に入れてから出す、ってしなきゃならなくて、以外とコレが面倒なんです。僕が行って、自分のバッグに放り込んだ方が後が楽なので、僕が行くことにするんだ。それに生でみんなに会いたい、ってのもあるし・・・
てな感じで、明日はちょっぴり忙しい、かな?
アーチャも僕の不在をごまかしてもらわなきゃならないので、結構大変、だろうなぁ。アーチャはグレンと森の中を見てくる、って言ってるけどね。
僕らの予測では、森の中にレッデゼッサ一味の隠れ家があるはず、なんだよね。アーチャはそれを探す予定。僕も一緒ってことに対外的にはするんだって。
て感じで、明日はそれぞれ忙しくなりそうです。
だから早く寝ましょう。おやすみなさい・・・
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