第170話 南へ・・・
ゴーダンが引き連れてきたトレネーの騎士とか憲兵さんとか冒険者とか・・・
彼らが実際にホーリーをかけた瘴気の後を見たのは初めてで(まぁ、何人かダンシュタにもいたって冒険者はいたんだけどね)、話には聞いていたけど絶句です、みたいな感じになってたよ。
倉庫はもちろん、小屋の方がすごい。
崩れて白い粉になったのもたくさんあるし、硬めの素材なんかは形を留めたまま白っぽくなってるし、その間の状態のだってある。
ゴーダンが、影響を及ぼしていた強い魔力(=瘴気のことだね)と、特殊な魔法とが相殺して、魔力がなくなるとこうなるんだ、と、説明しているよ。
剣士系の人はどん引きしてるけど、魔導師系の人は興味津々。
これはドクが開発して弟子の僕が使える魔法ってことになってるから、ゴーダンとかの目をかいくぐって僕に突進してこようとする魔導師が数名。まぁ、騎士の人とか、仲よしの冒険者とかに阻まれてるし、最後の砦にヨシュアがそばにいるから、僕にはたどり着かなかったけどね。
みんなが来るまでに、壺はちょっと覗いたんだけど、やっぱりあのタールになった魔物の一部を入れていたようです。一部その残骸っぽいのもあったし、例の魔法陣もあったよ。ヨシュアとも話して、すでにドクが調べている途中の壺の魔法陣と同じ物だってことで、これはお持ち帰りしません。
あと、テーブルの上の鉈。
これ、たぶん何らかの魔力を帯びていた刃物だったんだろうってヨシュアと話していたんだ。これも随分白くなってるけど、状況から見てタールをこれでぶった切って小分けしてたんじゃないかな。小分けして壺に入れて、各地に輸送?いやわかんないけど・・・
そのためなのか、白くなってほぼ消えてるんだけど、鉈の刃の部分になんか瘴気じゃない魔力が帯びていたみたいで、しかも魔石が嵌められていた跡もあるんだ。一種の魔導具だったのかも。
ドクに見てもらおうか、って思ったんだけどね、・・・ハハ、これは内緒だよ。
一緒に置いてあった魔法陣(結界っぽいシート状のやつね)と同じように持ち上げようとしたら、粉を固めたみたいになってて、慌てて元に戻したの。
あれ触ると崩れるやつだ。
僕が崩したんじゃないからね。
だから、僕が触ろうとしたことは内緒だよ?
とりあえずゴーダンのいろいろな説明は済んだようです。
ずっと、商会の偉い人を探しているけど、今のところ会頭とかそれに近い人達は見つかっていないって。
全国指名手配?なんかそういうことをやる予定のようです。
って、僕にお手紙渡されちゃったよ・・・・
はい、王都にお届けですね。
内緒にしてても、僕が凄い移動手段を持ってるらしい、というのは公然の秘密になってきたようです。ハァ・・・
この後は領都の人にお任せ、ってことで、僕らはアジトへいったん戻ります。
で、遠出の準備をゴーダンとヨシュアでしている間に、僕は王都へ。
モールスとかで一応知らせているけど、南部での合流について話をして、王様宛のお手紙をなんとかして・・・・
そう思ったんだけど、どうやらラッセイとミランダ、ドクにバンミ・バフマ・クジ・ナザが、すでに南部に向かって出発したんだって。
こっちからも進んで、途中でアンナとランセルたちに合流して向かうということのようです。
ママは王都でお留守番。レーゼがいるからね。それと何かあったときの連絡要員。僕となら魔導具でも話せるし、他の場所にいる仲間達との連絡も必要だからね。
ちなみに、そろそろアーチャは北の大陸に着きそうです。
アーチャのママのウィンミンさんに呼ばれて出かけたよう。僕があっちでウィンミンさんと会った後に何か言われたようで、里帰りしてるんだ。
ちなみにカイザーとモーリス先生、ニーは、今はエッセル島。
ゲンヘの利用に夢中みたい。
ママもこの後、レーゼとダンシュタに帰ろうと思ってるんだって。
商会の馬車に合流してゆっくり帰るから、レーゼだって安心です。
リッチアーダのおうちで、ママからそんな話を聞いて、レーゼとちょっぴり遊んで、ってしてたら、どうやら玄関先が慌ただしい。
耳を澄ませて、魔力を感知のために伸ばして、ってして分かったんだけど、パクサ兄様が従者といっしょにやってきたみたいです。
どうやら、人を出して王様にお手紙を届けてもらったんだけど、それで僕が王都に戻ってるって気付いてやってきたようです。
パクサ兄様のことは好きだけど、なんか焦ってる様子のパクサ兄様と今会ってもトラブルの予感・・・
塀の外でドクと二人ホーリーをしたあと、ずっと物問いたげだったから、なんていうか、・・・気まずいんだよね。
てことで、ママとレーゼにいってきますをして、慌ててポシェットへ潜ったよ。
あ、ママから嬉しいお知らせ。
おいしいご飯を作ってマジックバックに入れておくから食べてね、だって。王都からの出発組のためにも配るように言われたよ。あと、リクエスト大歓迎、だって。
うん。
魔力をいっぱい取られながらも頑張ってマジックバックをつくって良かったよ。へへへ。
トレネーに戻ると、もうすっかり準備は整っていたようです。
王都組がすでに出発して少しでも距離と時間を稼いでるって言ったら、僕らも出発するぞ、ってなったよ。
今日は早く寝て、明日朝早くに出発です。
今年2度目になる南部へ。
翌日昼にはグレンたちと出会ったよ。
ランセルってやっぱりびっくりするぐらい早いね。
まさか2日ほどで、領都とダンシュタを走れるなんて、凄すぎです。
僕はグレンに、二人も一緒に来てた2匹にそれぞれ乗って、森の中を突っ走ります。
南へ。
人が生きる土地と魔物の地の境目へ。
怪しい動きをする人がいる、という、その未開の地では何が起こっているのか。
なんともいやな予感がするよ。
けど、僕には共に進む頼りになる仲間がいるからね。
ゴーダン・ヨシュア・グレン達。
走るグレンに、姿を見せてキャッキャッとしがみついてるエアにキラリン。
うん。
なんにも怖くない。
どんとこいだ!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます