第117話 王都に戻った。
王都に帰ってきた僕。
んとね、依頼は一応完了、てことになってました。
謎の学生失踪事件、実行犯は捕まって、ボスだろうなぁっていう第一容疑者は辺境領主の甥っ子レージラム・テッセンだろうってことで調査中。
辺境領の冒険者キルドにて、完了報告をゴーダンがした上で、ミランダが王都のギルドでも帰還報告したみたい。で、このときに正式に調査終了&依頼完了、が確定しました。
レージラムの父で、領主弟でもあるジラドムさんは、辺境領運営に必要な方ってことで、落としどころは政治的決着が入りそうって聞いてます。
てことは、依頼終了!
で、学校も行く必要なし!!
やりたいことやるぞ!
・・・・
のはずだったんだけどね。
ほら、僕ってば、こう見えていろいろ忙しい。
王様から代官として派遣されている2つの地域あるし。
ママのお店のもろもろのお仕事。
一応は冒険者・・・見習いだけど、あるし。
悠長に学校とか行く暇ないんだよね。
だいたい、世界一の教育機関、とも言われている王都の養成校群とはいえ、僕の周りにはその教師陣をはるかに超える優秀な人材が盛りだくさん。
彼らから日々学んでいる僕としては、学校に行く必要性ってないんだよね。
ん?学校って学ぶだけじゃなく、友人を作る場所?
そりゃね、同年代の損得なしの人達が集まるなら、そういう利点もあるだろうけど・・・・
僕が所属するのは治世者養成校。ダントツの最年少。
なかなかに、そんなお友達を作る環境になんてないわけで・・・
てことで、依頼の潜入捜査だけ、のつもり満々だったんだよね。
だいたいさ、養成校ってば、入学は年4回で決まってるけど、卒業は好きな時でいいし。
入学だけして来ない人もいれば、養成校を渡り歩いて、5年6年在籍する人もいる。
けどさ。
ママがね。
「ダーの学校、見てみたい!」
だそうです。
ママは、当然、学校とか知らない。
冒険者になって、商会を奪還しようとしたときに、ここリッチアーダで世話になったんだけど、その時に家庭教師を雇って貰ったんだって。
ママは、ぼんやりさんと思っていたけど、僕を産むまで何も教わってなかっただけで、頭が悪いわけじゃなかったんだ。
いろんなことの吸収速度と、商人的な勘は、当時、周囲の人をざわめかせたようです。まぁ、勘だけでいえば、ほとんど予言者レベルだし、商人的な、なんて限定しなくても、正しい行動がなんとなく確信めいて浮かんでくるようで、今までも僕らは随分助かってるんだけどね。
まぁ、そんなこんなで、ママが家庭教師の下で頑張っているときに、いろいろ学校の話を聞いていたみたい。
当時のママの年齢だったら、まだ学校へ通う人もいた時分だったから、そこで聞いたいろんな話は、うらやましかったんだろう。
てことではなかったようで・・・・
僕が行ったら喜ぶんじゃないか、って、そのとき思ったそうです。
お友達同士で競うのは、僕が好きかも、って、そのとき思ったんだって。
まあね。
ママが聞いたのは、僕が考える普通の学校生活だろうから、同年代の子と切磋琢磨して、ワイワイと成長できたら、そりゃ楽しいんだろうね。前世の学校みたいに・・・
て、僕、前世で友達100人いたのかな?
僕としては学校はいかなくていいと思ったんだけど、学校へ通う僕、っていうのをママが喜んでくれるし、どうも制服姿の僕をレーゼがお気に入りみたい。
ママ達がどうやらしばらく、王都にいるっていうから、じゃあその間は学校に通うとするか、ってことになりました。
なんかね、本拠地であるトレネー領の領都がちょっとばかり不穏なんだって。
トレネーにはいくつか大きな商会があって、その中にレッデゼッサっていう商会があるんだけどさ。そこが不穏な動きをしていて、我がナッタジ商会に実力行使をするかもしんない、なんて動きがあるんだそうです。
そうレッデゼッサ。
僕に喧嘩を売ってきた剣使養成校のガイガムのおうち。
まぁ、ナッタジっていえば、それなりに戦力がある。
なんたって、トレネー1の凄腕冒険者パーティと関係が深いってのは知られているからね。
質が良い商品。目新しい商品や商法。
新会頭になってメキメキと頭角を現す評判の商会。
うん。
客観的に見たら、老舗さんから嫌われても仕方ないよね。
だいたい、長い歴史を持って、辺境領バルボイの貴族を顎で使えるって思っている大商会のこと。
戦力云々言ったって、たった1つの冒険者パーティなんて、歯牙にもかける必要はない、って思ってそうです。
マッケンガー先生みたいな人を何人も雇える環境が、かなり強引な行動を起こしているようで・・・・
そんなこともあって、ママとレーゼはしばらく王都ですごすことになったんだって。
これはトレネー領の領主からのお願いでもあったらしく、
「会頭自ら、トレネーの新商品を王都で流通させて、トレネーの発展に寄与して欲しい。」
なんて要請も受けたらしいです。
てことで、王都支店の発展がママのミッション。
これについてはおまけっていうか・・・・
今回の依頼で潜入にあたって、もともと学長のドクだけじゃなく、医者のモーリス先生や、鍛冶師のカイザーも、臨時教師的に先生やってるんだよね。
で、設備や情報はさすがに王都。
研究するならとっても便利ってことで、もうちょっとここの設備を使いたいようです。
ちなみに今は、二人ともゲンヘに夢中。
ゴムの性質を利用していろいろ加工しようと奮闘してるんだ。
間もなく、医療用のチューブ、っていうか点滴セット?完成しそうです。
そのあとはチューブタイヤができればいいなぁ。
僕ら3人の前世地球人は、集まっては、いろいろ妄想中。
てな感じで、王都に戻った僕は、もうしばらく学生をやることになりました。
明日からは、またみんなで登校だ!
今日?
今日は親子3人、偵察という名の王都ショッピング。
ママとレーゼと一緒に、鞄用の布なんかを探そうってことになりました。
なんの鞄かって?
もちろん、メンバーそれぞれが持つマジックバック用鞄だよ。
布にするか革にするか、形はリュック?ポシェット?それとも・・・・
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