第116話 ホーム

 セスの人達と別れて、グレンの背に揺られ、僕は華さんの空間へと行ったよ。

 華さんに聞いたけど、あのでんでん虫みたいなのは、妖精とか精霊とは関係のないものだって。

 何人かの妖精達が、あれと似たのを見たことがある、って言ってるみたいだけど、時間とか空間の認識が微妙な妖精さんたちが、いつどこでどんな風にを見たのかは、よく分かんないや。


 ともあれ・・・・


 華さんが気にしたゆらゆらはなくなって、南の大陸のも同時に消滅したようです。

 えっとね、森の精霊がそう言ってるんだってさ。

 精霊同士は僕の魔力を通じてお話しができるらしい。

 僕?

 残念ながら、精霊さんからコンタクトをとってくれなきゃ無理だし、離れていたらちゃんとはわかんないです。

 ただ、宙さんは、その精霊様だから、宙さんを通じたら連絡はつくようで・・・・

 まぁ、精霊様は気まぐれで、いつなら間に立ってくれる、とかは、わかんないからね。いろいろと難しいです。


 ちなみに、宙さん、ひいじいさんから宇宙船のAIをイメージしてつくられたってことで、「コンピューターは命令されたことしか実行できませんので。」だそうです。

 いや、いつもかなり自由にやってるよね?

 どうやら、いろいろと察して行動するのは、ひいじいさんの時代のAIとしては、美しくない、んだそう。てことで、僕が聞かない限り、基本、知ってても、だんまりみたいだね、ハハ。




 僕は、グレンを伴って、華さんのとこから森の精霊の空間に移動、無事、ランセルの巣へと戻ってきたよ。


 ちなみに僕が入れる異空間なんだけど・・・・


 華さんのとこは、華さんが許す人は誰でもウェルカム。実際、パッデ村の子供たちは、かなりの頻度で遊びに行ってるみたいだよ。


 森の精のとこ。

 ここは、一応ダンジョンだし、入り口がランセルの巣になってる。

 しかも場所がダンジョンコアの空間、なんだよね。

 てことで、ランセルがOKして、ダンジョンに認められなきゃダメ、だそうです。

 なんかね、ダンジョンコアには、人間とは違うけど、意志、に近い物があって、ダンジョンが服従するっていうの?そんな気持ちにならなきゃダンジョンコアの空間に入れないみたい。

 この意志ってのは、どうもダンジョンマスターとはちょっと違う。

 実際、ナッタジダンジョンっていう、僕が、これもひいじいさんから継いだ形になってるダンジョンも、ダンジョンコアの置いてある空間には、僕しか行けない。正確には僕とサー・ローディネス、だけどね。

 サー・ローディネスってのは、ダンジョンになった遺跡の、その遺跡時代の人、ってかアンデッド。もともとはお城の執事的な人?よくわかんないな。一応ダンジョンの管理人、ってことになってる人?です。

 てことで、森の精霊の空間には入れるのが、今のところ僕とグレンだけみたいなんだよね。森の精霊としては僕の仲間なら、って思ってくれるけど、ダンジョンがOKしないようで・・・・


 ちなみに宙さん。

 宇宙空間で生きれる人以外は無理。マスターの僕は除く、だけどね。

 ただし・・・・

 出入り口が複数作れるし、移動が可能。

 で、僕だけで言えば、全出入り口が出入り出来る。

 ってことは、だよ?

 僕だけだけど、出入り口を用意すれば、どこでもワープ可能ってこと、みたいです。

 あ、ちなみに宙さんは、この移動のことを「ワープ」って呼びます。転移、とか言った方がわかりやすそう、だけど、SFを基盤にする宙さんのこだわりだそう。うん。よくわかりません。



 で・・・・


 華さんのところから、宙さんこだわりのワープゾーン効果っていう、よくわかんない視聴覚効果を伴って、森の精霊のところへ戻った僕。

 ランセルの洞窟を、彼らに挨拶しつつ出ると、すぐ側に、ゴーダンとアーチャ、ドクがいたよ。


 話を聞くと、僕のあとを追ったパクサ兄様は、でも、なかなかランセルの巣を発見できなかったようです。

 えっとね、さすがに森の中を王子一人に出来ないってことで、ここにいる3人以外、兄様についていったらしい。

 3人はね、現場に残って、僕と遠話したり、周辺を調べたり、あとはグレンの仲間のランセルとお話しして待ってたんだって。

 はじめはアーチャじゃなくてミランダが残ってたみたいなんだけど、ほら、ウィンミンさんの連絡があったからね。どうやら、ミモザからの商会からのドク、っていう伝言ゲームがあって、アーチャとミランダが交代したようです。

 ちなみに、森の中をウロウロしている間は森の精霊が場所を把握できるみたいで、ランセルと森の妖精に協力して貰ったんだって。


 どうやら、パクサ兄様のことは、上手に街道へ追いやったみたいだよ。

 ラッセイたちは巣の場所を知ってるけど、そのことを兄様に告げず、ただ、後方をついていってたようで、ちらりと姿を見せるラッセルを追ううちに街道へと誘導された、そう。

 何度か、それを繰り返すと、くやしそうにしながらも、兄様は街道沿いに北上したようだから、無事王都へと向かったんだろうね。




 そうして・・・・



 僕も、グレンと別れて、王都へと向かうことになりました。


 えっとね、その際、森の精霊様が僕の連絡係にってことで、キラキラの妖精さんを一人?つけてくれたんだけど・・・

 請われるままに名前を付けて、キラリン、って。

 ごめん。僕、急に言われて、センスの欠片もない名前を口走っちゃったら、それが名前に・・・・

 キラキラのキラリン。

 名前をつけたら存在がはっきりしちゃって、どうやら、ソフトボール大のマリモっぽくなりました。

 ちなみにエアといっしょで、見せようと思わない限り、ドクレベルの魔力がないと見えないもよう。


 さらにさらに・・・


 名付け、ってのは、どうやら僕の魔力を取っちゃうってことのようで・・・・


 そこそこ魔力使っていた僕は、キラリンが変化している最中に気を失ってて・・・・


 気がつけば、シューバの背に乗るアーチャの腕の中。

 どこで調達したのかパカパカと揺られながら、街道を北上していたよ。



 数日後。


 「ママ!!」


 無事王都は、リッチアーダのお屋敷に到着した僕ら。

 

 玄関を入ると、ニコニコと待っていてくれたママの胸にダイビング!


 帰ってきた!


 僕の帰るのは、いつでもママのところ。


 距離的にも、時間的にも、随分離れていたけど、やっと僕は僕のホームに戻って来れたんだ。

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